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2014年10月 1日 (水)

インダクタンスの測り方

どれも全体的に中途半端な記事です。まず

  「インダクタンスの測り方・まとめ

を読んでいただいてからの方がいいと思います。

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インダクタンスをどうやったら測ることができるか?

まあいろいろ方法はあると思いますがインダクタンスの定義にしたがい先日作った

  「PICのDAC(DAコンバータ)を使ってみた
  「PICのDAコンバータ(DAC)を使ってみた - 補足

を利用してインダクタンスを測定してみたいと思います。

インダクタンスの測り方はいろいろかんがえられます。

  「インダクタンスの測り方 (2)」  (抵抗と直列にしたときの分圧から)
  「インダクタンスの測り方 (3)」  (発振回路の発振周波数から)
  「インダクタンスの測り方 (4)」  (直列共振回路の共振周波数から)
  「インダクタンスの測り方 (5)」  (交流ブリッジ)
  「続・インダクタンスの測り方 - 5 - 交流ブリッジ
  「インダクタ(コイル)の複素インピーダンスを測ってみた

========

まず電磁誘導の式(逆起電力の式)

   E = L dI/dt

でのLがインダクタンスということになります。インダクタンスに流れる電流が一定の割合dI/dtで増えるときインダクタンスの両端に発生する電圧Eを測れば

  L = E / (dI/dt)

でインダクタンスを知ることができます。

ということでこれを実際にやってみることにします。

まず“電流を一定の割合で増やす“仕組みが必要です。そこで「PICのDAC(DAコンバータ)を使ってみた」で作った発振器もどきというかファンクション・ジェネレータを使います。

これには三角波の出力があります。三角波というのは電圧が一定の割合で増えたり減ったりするわけですが、このファンクション・ジェネレータの三角波出力は階段上の出力になっておりこういう目的には使えません。

そこで矩形波を利用します。矩形波をローパスフィルターに通すと(つまり積分すると)三角波が得られます。これは滑らかに変化しますので今回の目的には最適です。

得られた三角波の(電圧)出力を比較的大きな抵抗を通してインダクタンスに与えればインダクタンスに流れる電流も三角波__一定の割合で増えたり減ったりするはずです。

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ということでさっそくやってみます。こういう回路を使います。
Ckt_04_2



まずA点はPICのDAC出力で矩形波です。
Ckt_04a

発振周波数は450Hzくらいです。

次にB点は上の矩形波を積分したものでこのような波形になります。
(上の矩形波とは別にキャプチャしているのでタイミング(位相)はあっていません)
Ckt_04b

けっこうきれいな三角波になっています。
これはB点の電圧ですが、R2(5kΩの抵抗)を通してこれとほぼ同じ波形の電流がインダクタンスに流れるはずです。

C点つまりインダクタンスの両端の電圧はこうなります。
Ckt_04c

インダクタンスの両端の電圧はレベルが低かったので表示を拡大してあります。
これは上の図とタイミング(位相)を合わせてあります。
電流が増え続けているときはインダクタンスの電圧が上昇し、減り続けているときは下降しています。

B点の波形を見ると直線的ですから、C点の電圧は一定の電圧になるように思えるのですが、少し傾いています。これはインダクタンスと言っても抵抗分がかなりあり、電流の変化に伴って抵抗分による電圧降下も変化しているためと思われます。
(このことについては最後に書きます)

抵抗の電圧降下が等しくなる点(つまり三角波の直線部分の中点)でインダクタンスの端子の電流が上昇するときと加工するときの電圧の差を測れば、その電圧の差の半分がインダクタンスの逆起電圧ということになると思われます。

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具体的なインダクタンスを求めてみます。

まず三角波の電圧がどのくらいの範囲で変化しているかを調べます。
面倒なので上のグラフの目盛りを電圧と考えます(電圧/電圧の計算が行われるので電圧の絶対値はわからなくても計算ができます)
-0.3Vから0.26Vの範囲で変化しています。つまり0.56Vの変化があります。
5.1kΩの抵抗を介してインダクタンスに電流を流していますので電流は0.11mA変化することになります。
周波数は450Hzですから1サイクルは2.2m秒です。電流は1.1m秒かけて増加し次の1.1m秒で減少するということを繰り返します。
これらから電流の増加率は毎秒0.1A変化していることがわかります。

一方インダクタンスの両端の電圧は-0.17V~-0.1Vの範囲で変化しています。差は0.07Vですからこの半分0.035Vが逆起電圧です。

結果として

  L = 0.035 / 0.1 = 0.35[H]

となり実験に使ったインダクタンスは0.35H、350mHである、ということになります。

このインダクタンスはじつは小型の5V30mAのリレーを使っています。使用したリレーのインダクタンスはわからないのですが、似た仕様のリレーのデータシートを見ると0.2Hとかその程度のものだったので上で得られた結果はまあまあ妥当な値と思われます。

なお、インダクタンスの端子の端子電圧が本来平坦になるべきところが傾きを持っている件ですが、0.02Vほど変化しています。電流の変化は0.11mAですからこのリレーの巻線抵抗は200Ω程度であると思われます。これもデータシートと比較すると妥当な値であることがわかりました。


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関連

  「インダクタンスの測り方
  「インダクタンスの測り方 (2)
  「インダクタンスの測り方 (3)」  (コルピッツ発振回路の発振条件と発振周波数 (1)
  「インダクタンスの測り方 (4)

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コメント

ありがとうございます(≧∇≦)
交流にして測るのですね〜
そうすれば延々と上がらないというわけですか。

測定自体は1サイクルのうちに終わっていますから交流で測定しているというのとはちょっと違うような気もしますが、おっしゃるとおり電流を一方的に増やして行くわけにはいかないしちょうど先日作ったものがあったのでこうしました。
テスターだけで測定できたらよかったのですが....

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