バックアップあれこれ
時計(RTC)やGPS受信モジュールでは主電源を失われても時を刻み続けるあるいは測位情報を保持する必要があります。
このためにバックアップ電源とそのための回路が必要になるのですが、これがけっこうデバイスによってまちまちです。いろんなバックアップ方法についてそのやり方を考えてみます。
この記事は「GPS受信モジュールGE-612Tのバックアップ」に必要な予備知識ということで書いています。
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いちばん簡単なもの。GE-5157A(「はじめてのGPS受信モジュール - GM-5157A - 概要」)がその例です。
バックアップ電源端子はバックアップ電源を与えるためだけにあります。
単に電源をつなげば動作します。バックアップしたいときはバックアップ電源端子をバックアップ用電池に接続するだけです。もし電気二重層コンデンサを使うようなときは上の図のように接続すればOKです。
R1は突入電流を避けるためですが市販の電気二重層コンデンサは適度な内部抵抗があるようでその場合は不要です。
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これとほとんど変わらないですが、ちょっと気をつけなければならないもの。GM-316(「GPS受信モジュールGM-316による星食(掩蔽)観測用1PPS発光 」)です。
バックアップ電源の与え方は同じなのですが、バックアップ電源を使わないときはバックアップ電源端子をVCCに接続しておかないと動作しません。データシートをちゃんと読んでないとハマります。
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バックアップ動作に入る条件があるもの。DS1307+(「PICでI2C - リアルタイムクロック(RTC) DS1307+の使い方」)
これはVCC < VBAT * 1.25 になると待機状態になります。
したがってGM-316と同じようにしてしまうと常に待機状態になってしまいます。
バックアップ電源を使わないときはVBATをGNDに落として使い、使うときは上図のようにVBATがVCCの8割以下になるようにします。
時計であればそんなに頻繁に電池の交換をするわけでもないし消費電流を抑えたいのでR1、R2はもっと大きな抵抗値にした方がいいと思います。ただこれはGPS受信モジュールよりバックアップの重要性は大きいわけで素直にリチウム電池を使うべきでしょう。
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そしてGE-612T(「はじめてのGPS受信モジュール - GE-612T編 - 1」)
これがけっこうやっかいです。これも待機状態に入る条件があるケースと言っていいと思いますが、その条件がちょっと変わっています。
上図ではVBATと書いてしまいましたがこのデバイスの場合はPWR_CTRLという端子名になっています。PWR_CTRLはHighであれば待機状態(かつバックアップ電源の供給)、Lowであれば稼動状態になります。
メイン電源を切る前にいったんPWR_CTRLをHighにし、それからメイン電源を落とす必要があります。つまり稼動状態ではGNDに落ちた状態にしておき、メイン電源が失われる直前に電圧を与える必要があります。
これはどうしたらいいのかけっこう悩みました。ひとまず比較的簡単な回路でこれを実現できたのでその方法を「GPS受信モジュールGE-612Tのバックアップ」として書こうと思っているのですが、ひょっとしたら考え過ぎで単純な方法があるのかも....
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関連
「時刻標準について」
「GPS受信モジュールあれこれ」
「GPS受信モジュールGM-316による星食(掩蔽)観測用1PPS発光 」
「GE-612T vs GM-316 1PPS対決 - GPS受信モジュール」
「GPS衛星の電波を失ったGM-316の1PPS出力はどうなる?」
「1PPS信号を音声で記録すると遅延するか?」
「星食観測でのGPS・1PPS信号の利用法 (1)」
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 1」
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 2」
「はじめてのGPS受信モジュール - GE-612T編 - 1」 (動作確認)
「はじめてのGPS受信モジュール - GE-612T編 - 2」 (配線の仕方)
「はじめてのGPS受信モジュール - GE-612T編 - 3」 (1PPS出力の確認)
「はじめてのGPS受信モジュール - GM-5157A - 概要」
「はじめてのGPS受信モジュール - GM-5157A - 実装」
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