月の赤経・赤緯・地心距離を求める(海洋情報部の計算式) 2015年版
2017年版(2013年1月1日~2017年12月31日)のExcelシートを作りました。
「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
「月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
(Excelシートは同じものです)
「惑星(金星・火星・木星・土星)の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2017年版」
(太陽、月、恒星の視位置の計算シートも含まれていますが、それらの暦象年表との視位置の比較は含まれていません)
-------------------------------
2016年版を作りました。
「太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2016年版」
「月の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2016年版」
-------------------------------
今年の初めに同じタイトルの記事を書きましたが今回はその2015年版です。
2013年1月1日~2015年12月31日の範囲で月の視位置を有効数字7桁~8桁で求めることができます。
---------
目的
任意の中央標準時における月の赤経・赤緯・地心距離を求める
座標系
ICRS/ICRF、J2000.0座標系、平均位置、真位置、視位置(地心)、視位置(測心)
適用期間
2013年1月1日~2015年12月31日(拡張可能)
計算手法
海上保安庁海洋情報部の計算式による(記事本文参照)
精度
度の表示で小数点以下第5桁目に若干の誤差あり
(小数点以下第5桁=度分秒の0.04秒、時分秒の0.002秒)
備考・使用上の注意
同様の太陽の視位置の計算も含まれています。
恒星の星表位置から視位置を求めるシート(「基本公式」)も用意しました
Excelファイル
「ダウンロード Excel_Sun_Moon_Star_2015.xls (349.5K)」
-------
なお「度の表示で小数点以下第5桁目に若干の誤差あり」というのは(カメラにもよるわけですが)1000mmのレンズで写したときのセンサー上での0.1ピクセルくらいの違いに相当します。
======
「海上保安庁海洋情報部」では月の視位置の概算式を提供しています。概算式とは言ってもけっこうな精度があります。
ちょっとわかりづらいところにあります。 「海上保安庁」のトップページのデータ集のところの 「天文・測地&水路観測」 (天文・測地情報 & 水路観測所のページ) にある 「「天測暦」、「天測略暦」(市販品)」 のところです。
「解説と計算例(PDF)」 (2014年版)
「解説と計算例(PDF)」 (2014年版)
に計算方法があり
「計算用数値(PDF)」 (2014年版)
「計算用数値(PDF)」 (2015年版)
あるいは
「計算用数値(テキスト)」 (2014年版)
「計算用数値(テキスト)」 (2015年版)
が計算に必要なデータ(係数)があります。
「海上保安庁海洋情報部」からですと海の情報のところにある 「天文・暦情報」 からたどります。
なお海上保安庁海洋情報部というのはその昔海上保安庁水路部という(天文計算マニアには)懐かしい名前だったところです。
なおこの式で求められるのは地心から見た座標です。任意の観測地から見た月の赤経・赤緯の求め方は「観測地から見た月の視位置(赤経・赤緯)を求める 」にありますが、今回はそれ用のシート「観測地の月視位置」も用意しました。
-------
月だけでなく、太陽(つまり太陽に対する地球)、惑星(金星、火星、木星、土星)、黄道傾斜角、主な恒星の位置を知るためのデータ(係数)が提供されています。
ただ一点難点があって月の場合毎月計算に必要な数値を変更しなければなりません。 月がいちばん複雑で他は係数の一つの組で四ヶ月くらい使えます(この記事からダウンロードできるExcelのファイルでは係数の切替は自動的に行うようにしてあります)
こういう略算式には
軌道計算(+摂動)から理論的に得られたもの
軌道計算の結果を数学的な関数と考えて近似したもの
があるようですが、上記で提供されているものは数式の形から考えて後者と思われます。
-------
今回作成したExcelのシートでは年月日から使用する係数の組を選択することによって2013年1月から2015年12月の期間で使えるようにしてあります。計算方法は「解説と計算例(PDF) (2013年版)」にしたがっています。
来年(夏、秋?)になると2016年用の係数が公開されるはずなのでその頃になったら2013年~2016年に渡って使えるものが作れます。データは2008年のものからあり2008年から通して使えるものも作れるのですがあんまり必要性がないのでまだ作ってません。

関連
「記事目次・趣味の天文計算」
« MCP3425のもうちょっと詳しい使い方(ソース付き) | トップページ | 移相型CR発振回路の発振条件 »
「天文計算」カテゴリの記事
- 太陽の赤経・赤緯・地心距離をExcelで求める(海洋情報部の計算式) 2018年版(2017.12.25)
- 海上保安庁水路部の惑星位置の略算式 - 天王星の視赤経・赤緯(2017.07.22)
- 海上保安庁水路部の略算式 - 水星の視位置(視赤経・視赤緯)(2017.07.15)
- 海上保安庁水路部の惑星位置の略算式 - 火星の視赤経・赤緯(2017.07.13)
- 海上保安庁水路部の惑星位置の略算式 - 火星の(日心)黄経・黄緯(2017.07.11)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
質問です。
エクセル超初心でかなり初歩的な質問だとは思いますが、よろしくお願いします。
ΔTを求める表で("Moon!R4C"&C19+1,0)とありますが、これを実際の数式で表すとどうなるのでしょうか。
それともう一つ、「月表インデックス」とは何なのでしょうか。
投稿: 鈴木 | 2014年12月 3日 (水) 17時15分
はじめまして。コメントありがとうございます m(._.)m
これ確かにExcelに慣れた方でもややこしいと思います (^^;;
“超初心”と謙遜されていますので、できるだけ詳しく書いてみたいと思います。そんなのわかってるというところは読み飛ばしてください (^^)
まずこのΔTつまりC22のセルのところあるINDIRECTを使う手法は“間接参照”と言われるものです。
これについては例えば
Excel で INDIRECT 関数を使用して参照を作成する方法
http://support.microsoft.com/kb/213933/ja
にあります。これは計算するときの元データをデータ(この場合は年月日)に応じて動的に変化させたいときに使います。
ご質問の“("Moon!R4C"&C19+1,0)”の具体的な内容ですが、これはC22のセルの内容が
=INDIRECT("Moon!R4C"&C19+1,0)
となっているところを
="Moon!R4C"&C19+1
と変えてみるとわかります。実際にやってみると
Moon!R4C39
となります。つまり
=INDIRECT(Moon!R4C39,0)
ということでこれは「Moon」というシートの4行目39列目のセル(=“AM4”)の内容を参照しています。
けっきょく
=INDIRECT("Moon!R4C"&C19+1,0)
は
=Moon!AM4
と書いたのと同じことになります。
この“R4C39”という書き方は“R1C1形式”と言われるものです。これについては例えば
「A1形式とR1C1形式の表記の違い。」
http://www.asahi-net.or.jp/~ef2o-inue/shiki/sub03_010_02.html
に説明があります。
次に「月表インデックス」の意味について説明させていただきます。
月の位置を計算するためのデータは“Moon”シートをご覧になるとわかるように1ヶ月ごとに変える必要があります。
1月のデータは2,3,4列(B,C,D列)、2月のデータは5,6,7列(E,F,G列)にあります。月表インデックスというのはどの列を参照すればいいかを年月から計算したものです。
ダウンロードされたExcelファイルでは2014年1月1日にたいして38、2015年1月1日にたいして74になっていると思います。これは2014年1月1日の位置を計算するときはMoonシートの38,39,40列(=Al,AM,AN列)のデータを使い2015年1月1日の位置を計算するときは74,75,76列(=BV,BW,BX列)のデータを使うことを意味しています。
以上簡単に説明させていただきました。もしご不審の点等ありましたらまたコメントいただければと思います。
投稿: セッピーナ | 2014年12月 3日 (水) 20時03分