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2014年11月27日 (木)

移相型CR発振回路の発振条件

Excelを使ってちょっと“泥臭い”方法で移相型発振回路の発振条件を求めてみました。
“泥臭い”のであんまり見通しがよくないですが、そのかわりとても応用が効きます。

例えば

  「コルピッツ発振回路の発振条件 - LCだけでは決まらない発振周波数

にあるようにコンデンサやインダクタのESRを考慮した発振条件を求めるという目的にも使えます。

ただ若い方(時間に余裕がある方?)はこういうのはちゃんと勉強した方がいいと思います。
例えばこういう記事が参考になると思います。

  「山本 研究室 - 講義ノート - 2005年度 - 実験実習 - 発振回路 - 1 発振回路 - 2 原理

========

オペアンプで作る移相型発振回路 (1)」ではこういう発振器を作りました。
Opamp
(R4はR3の29倍よりちょっと大きくしておきます)

そしてこの回路は次の回路と等価です。

Photo

この回路の発振条件は記事の最初にあるリンクや「基礎電子回路」というような本を見ればわかるように理論的(?)に決定できるのですがここではExcelで求めてみます。

上の回路はCRの組が三段になっています。そこでまず一段分に注目します。
Cr

内部インピーダンスがZinであるような信号源にC1、R1が接続されていると考えます。これは

  e(2)in = ein / ( Zin + 1/(j*ω*C1)*R1/(1/(j*ω*C1)+R1)) * R1
  Z(2)in = ( Zin + 1/(jωC1) ) * R1 / (  Zin + 1/(j*ω*C1) + R1 )

    ただし j=sqrt(-1)、ω=2*pi()*f

と考えると次のような回路と等価であると考えられます。要するに「鳳テブナンの定理」です。
Creq

これを左から順番に同じ計算を三回適用すると増幅器の出力から入力となる電圧・位相を計算することができるはずです。

複素数の計算はけっこう面倒なのでExcelのファイルを用意しました。
  「ダウンロード WB_CndOsc.xls (45.5K)


実際に計算してみたらこんなことになりました。
Cr3

グラフは青が移相回路の出力の絶対値、赤が偏角つまり位相を示しています。
この移相型発振器の場合位相(ラジアンで表示してあります)が反転してπ(=180度)になると発振します。これはf=650Hzで満たします。そしてこのときCR三段の左端の電圧に対し右端の電圧は0.0345倍つまり1/29になります。

つまり発振条件は増幅器のゲインが29以上あることであり、そのときの発振周波数は650Hzであるということになります(実際に作った回路が650Hzで発振しているのは「オペアンプで作る移相型発振回路 (1)」にあるスペクトラムを見るとわかります)

この650Hzという周波数について考えてみます。発振の角周波数はC1とR1の積に反比例するはずです。そこで2πCRを650で割ってみます。

  2πCR / 650 ≒ 2.45

この2.45というのが何かというとじつは√6のことです。つまりこの回路の発振周波数は

  f = 1 / ( 2*PI()*sqrt(6)*C1*R1)

となります。こういうことについては

  「山本 研究室 - 講義ノート - 2005年度 - 実験実習 - 発振回路 - 1 発振回路 - 2 原理

にわかりやすく説明してあります。

ちなみに必要な増幅率 “29” というのは 1 / ( 1 - 5 * sqrt(6) ^ 2 ) です(マイナスになりますがこれは反転増幅器が必要なことを意味しています)

まだまだ続きます。

  「発振周波数が二つある(?)移相型発振回路

-----

関連

  「ウィーンブリッジ発振回路の帰還量(増幅率)と波形の関係
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コメント

若いかどうかは別として勉強します(;´Д`A
今は、ある疑問が壁になってなかなか進まずにいます^^;

はい、私ももう残された時間はあんまりないのですが、がんばって勉強します (^^;;
「鳳テブナンの定理」のことを書いていて惑さんのことを思い出しました (^^)

このへんの基礎の話はためになります。実はあちこち読みまくってます。
ところでGoldWaveで方形波を見たいときはどうしたらいいのでしょう?
さきほど1ppsの出力を入れてみたのですが、長方形にはなりません。
周波数が数百くらいにならないと無理なのかも知れませんが・・・

はい、GoldWaveというかPCオーディオは帯域が可聴周波数に限られているので低い周波数は(直流を含め)は残念ながら見られませんね。
1PPSの信号を入力すると微分したものになるので脳内で積分してもとの波形を想像するしかないと思います (^^;;
矩形波の“品質”とかそういうのが気になるのだったらやっぱりオシロスコープでしょうか。

5年も過ぎてからのコメントです。RC位相シフト発振回路について、この夏から最近まで、調査していました。
セッピーナさんとは、違ったアプローチで次のような結果を得ました。

①RC位相シフト回路の伝達関数は、パスカルの三角形から得られる。
②積分型と微分型の伝達関数には、強い関連性がある。
③発振に要するゲインは、段数に応じて小さくなり -12 辺りに収束しそうだ。
④発振周波数は、段数に応じて積分型では下がり、微分型では、上がって行く。

もし、この結果に、興味をお持ちなら、関連文書をメールで送付します。

bachさんコメントありがとうございます。
逆に5年も前の記事にコメントをいただきありがたいです m(._.)m
もしよろしければご連絡いただければうれしいです。
(不勉強なもので...)
コメントを書くときメールアドレスを記入していただければやりとりができるかと思います(このメールアドレスは公開されません)

セッピーナさん、今晩は。コメントに気をとめて頂いて有難うございます。
色んな発振回路について、暇に任せて調べています。
RC位相シフト型発振回路については、Webでも本でも見られない結果を得ました。
連絡をお待ちしています。

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