GPS受信モジュール(GE-612T) vs 電波時計モジュール(CME6005) 1PPS対決
「GE-612T vs GM-316 1PPS対決 - GPS受信モジュール」や「GE-612T vs GM-5157T 1PPS対決(GPS受信モジュール)」に書いたようにGPS受信モジュールの1PPS信号の出力時刻を比較すると非常にいい一致を示します。
これまで二つのGPS受信モジュールで1PPSの出力時刻が違っているという確証が得られたことはありません。これまで得られた結果は「1/10,000秒以上の違いは認められない」、「1/50,000秒以上の差がある形跡はない」と言ったものでした。
===> 1/48,000,000秒の分解能で比較したらちょっとだけ違いました。
「“ガセ”だったGPS受信モジュールの1PPS出力タイミングの違い」
「だからGPS受信モジュールの秒信号は正確」という結論は出てこないのですが、これだけ違いがなければそれを正しい時刻と信じてもいいのではないでしょうか(これまで比べた三つのGPS受信モジュールは使用しているチップセット(?)も違うものです)===> より高い精度で比較するとGPS受信モジュール同士でも若干のズレがあるようにもみられます。
「100万分の1秒くらいずれている?GPSの1PPS出力 GE-612T vs. GM-5157A」
こういうのになれてくると正確な時刻というのは簡単に手に入るものだというような気持ちになってくるのですが、何でもそうそう正確なわけではありません。
今回はGPS受信モジュールと電波時計モジュールの対決です。
電波時計モジュールも日本でいちばん正確なNICTの時刻標準で管理されている標準電波JJYをベースにしていますからちょっと考えるとそうとうな精度が期待できそうに思えるのですが、じつはそうでもありません。
念のために書いておきますがこの記事は電波時計モジュールとGPS受信モジュールの対決であってJJY/標準電波とGPSの対決というわけではありません。JJYもそれなりの受信方法ではそれなりの正確さを示します。ただこれを秒信号(1PPS)として取り出すのはなかなかたいへんです。
「シンクロダイン検波によるJJY秒信号の取得 - GPSとの比較」より
====
比較の方法は「GE-612T vs GM-5157T 1PPS対決(GPS受信モジュール)」に書いた方法と同じです。
左の赤色がGPS受信モジュールの1PPS信号、右の緑色が電波時計(=JJY)モジュールの秒信号です。
今回は諸事情あって負論理(秒信号の開始で色(LED)が消えます)になっています。
No.0161
秒信号が出力される直前のフレームです。
No.0162
GPS受信モジュールの1PPS信号が出力されましたが電波時計モジュールの秒信号ままだです。
No.0163
電波時計モジュールの秒信号がやっと出力されました。
No.0164
GPS受信モジュール1PPSも電波時計モジュールの秒信号も出力中です。
No.0165
0.1000秒経過し1PPS信号は終了し赤いLEDは点灯します。
(162-161) / フレームレート + (426-51) /画像縦サイズ * センサー走査時間
= (162-161) / 29.97 + (426-51) / 640 * 0.0133
= 0.041
ということで電波時計モジュールの秒信号はGPS受信モジュールに比較すると0.041秒遅れて出力されています。
なお、GPS受信モジュールと違って電波時計モジュールは電波の到達に要する時間を補正する機能はありません。
だから遅れているからと言ってすぐに不正確とはいえないのですが日本国内で0.01秒(=3000kmに相当)以上遅延することはないはずです。
GPSは受信位置がわかるのでそれをもとに到達時間の補正が可能です。GPS受信モジュールがポジションフィックスしないと1PPS信号を出力しないのはこれが理由だと思います。
----
(あくまで推測ですが)電波時計モジュールがなぜ正確でないのか考えたことはあります。
「電波時計モジュールが「使えない」理由」
この理論(?)を実証すべく今準備に入っています。受信機の製作をはじめました。
(「JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに」)
-------
時刻と時間・記事目次
「時刻標準について」
「GPS受信モジュールあれこれ」
「JJY受信機で作る高精度発振器と時刻標準 - はじめに」
「高精度発振器をGPS受信モジュールとPLLで作る - はじめに」
「はじめてのGPS受信モジュール - GE-612T編 - 3」
「はじめてのGPS受信モジュール - GM-5157A - 概要」
「GE-612T vs GM-316 1PPS対決 - GPS受信モジュール」
« 発振周波数が二つある(?)移相型発振回路 | トップページ | オペアンプ(NIC)で負性抵抗を作る »
「時刻と時間」カテゴリの記事
- 星食観測ハンドブック2016とaitendoのGPS受信モジュールNEO6M-ANT-4P(2016.03.15)
- 毎日送信してほしいJJY(標準電波/電波時計)の試験電波(2016.01.26)
- GPS受信モジュールu-blox6/NEO6M-ANT-4Pと温度補償型水晶発振器VM39S5Gの周波数(位相)を比較してみた(2016.01.15)
- GPS受信モジュールNEO6M-ANT-4Pはまじおすすめ、現在在庫数 76(2016.01.13)
- (非公式)JJY(標準電波/電波時計)の呼び出し符号(コールサイン)送出方法(2016.01.13)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント