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2014年11月 1日 (土)

デジカメ PENTAX Q7 のセンサーサイズを実測してみた

最初にお断りしておきますがこの記事は、PENTAX Q7のセンサーの大きさをノギスやマイクロメーターで測ってみた、ということではないです。

恒星の位置が(「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 恒星の視位置」によれば)有効数字9桁の高精度で求めることができることを利用して、撮影された写真の恒星の相互の位置関係(離角)を調べることによってセンサーのどれだけの大きさが有効に使われているかを測定してみた、という記事です。

先に結論だけ書いておきます。

4000x3000の静止画を撮影するとき使われているセンサーのサイズ

  横 7.39mm
  縦 5.54mm

動画(VGA)を撮影するとき使われているセンサーサイズ

  横 5.01mm
  縦 3.76mm

恒星の視位置が有効数字9桁でわかると言っても結果の精度は画像の分解能(ピクセル数)レンズの焦点距離の精度に依存するので結果の有効数字が9桁あるわけではありません。さらに大気差やレンズの歪曲収差の影響まで考えるとたいして精度はとれないはずです。上の3桁目はかなりあやしいと思います。ただ二つのまったく違うレンズで同じ結果が出ているのでひとまず3桁まで書いています。

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センサーサイズの測定法の概要

焦点距離がわかっているレンズを使用して星野写真(恒星の写真)を撮ります。

恒星は実質無限遠にありますのでピントをきちんと合わせるとレンズとセンサーの間隔は正確に焦点距離と等しくなります。

画像上の恒星の相互の位置関係は(上記によってレンズとセンサーの距離が正確にわかっていることを前提に)恒星相互の離角から求めることができます。

こうやって求めた恒星の相互の位置関係と画像上の恒星間のピクセル数を調べることによってセンサーのサイズを正確に算出することができます。

具体的にどのような計算を行うかは実際に計算に使用したExcelファイルをダウンロードできるようにしてありますのでそれによって確認していただくことができます。
  「ダウンロード SensorSize.xls (44.0K)


二つのレンズで実際に測定してみました

レンズ センサーサイズ横 センサーサイズ縦
NIKON f180mm F2.8 7.386mm 5.540mm
ScopeTown 80mmφ f=700mm 7.386mm 5.540mm

こういうことをやるときいちばん問題になるのはレンズの焦点距離がどれほど信用できるかということでしょうか。私にはそれはわかりません。でもメーカの違うレンズを使ってまったく同じ結果が出ているのである程度信用してよさそうな気がします。

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このようなことをするときは画像上の恒星の座標を0.1ピクセルのオーダーまで正確に読み取る必要があります。
この目的のためほよほよさんのつくられたKeypointというアプリを使用しています。Keypointについては「「写真から星の座標を得る」アプリ」で紹介させていただきました。またほよほよさんの関連する記事は「これからのブログネタ」に一覧(リンク)があります。

さらに測定結果の検証のためほよほよさんのつくられた「写真から星の座標を得る」斬新なアプリTetraも利用させていただきました。Tetraについてはあらためて紹介記事を書く予定ですが、これについても参考となる記事の一覧(リンク)が「これからのブログネタ」にあります。

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デジカメのセンサーサイズに関して参考になりそうな記事を二つ紹介しておきます。
  「アンタレスのデジカメ部屋 - 画像(イメージ)センサー・(CCD・CMOS)の大きさ比較
  「デジカメのセンサーサイズ(撮像素子)一覧表[カメラメーカー別]

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NIKON f=180mmF2.8で撮影したプレアデスの画像です。
大気差の影響を避けるためできるだけ天頂に近いところで撮影します。
Tetraで得られたデータを追加し恒星名がわかるようにしてあります。
(2014/10/25 ‏‎4:01:26 ISO12800 1/2秒)

Imgp2989hip2

スコープタウン 80mmφ f=700mmで撮影したプレアデス(の一部)の画像です。
(‏‎2014/10/25 3:34:48 ISO12800 1/4秒)
Imgp2976hipe1000

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関連
  「ISO値の設定によるラティチュードの違い
  「デジカメPENTAX Q7の静止画と動画の明るさ比較

  「デジカメのセンサー走査時間を測る方法
  「動画の撮影時刻を知る(1)
  「動画の撮影時刻を知る(2)
  「NY NEX-5Nの1/15秒露出の動画を調べてみた
  「デジカメの特性を比較する

  「振動する焦点距離

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カメラとレンズ」カテゴリの記事

コメント

恒星を原器としてセンサーサイズを求めたわけですね^^。
少しでもお手伝いできたようで嬉しいです。

それはそうと「これからのブログネタ」を見たらすごいことになってました。実用できる科学ネタ満載ですね。
飽くなき探究心というか情熱を感じました\(^o^)/

はい、角度の原器として恒星の位置ほど正確なものはありませんね。
じつはもう一つTetraを利用してやりたいことがあるのですが、これは難航中です。
こんなことやってみたいな、というのを書いていたらあんなことになってます (^^;;

あれ?一枚目の写真の文字が白抜きになって見やすくなってる。
tetraのiniファイルのバグで難航してたら申し訳ないです;;

いやいや、それはもう解決済み(?)なのでご安心ください。
画像はあまりにみっともなくてTetraにも申し訳ないのでちょっと手直ししてみました (^^)
じつは人工衛星を800mm相当で追った動画があるので軌道を計算してみたいと思っているのですがどこを飛んでいるのかさっぱりわからなくて (^^;;

人工衛星の軌道計算まで挑戦ですか~(゚0゚)
それで動画のセンサーサイズまで正確に求めていたのですね。
どこを飛んでいるのかさっぱりわからない⇒まさにどこを撮影したのかさっぱりわからないから作ったTetraの作成動機です。
動画で7等級くらいまで写るならTetraの守備範囲ですが、動画からの静止画切り出しで手ぶれや追いかけ撮影だと星像が上下で微妙にずれて難しいのではないかと思ってしまいます。

今のところ何が原因かよくわかっていません。
ひとまずすべての可能性を考えて一つ一つ検証してみたいと思っています。
何かわかったらお知らせします (^^)

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