負性抵抗の抵抗値の測定法(オペアンプで作るNIC)
抵抗値ならテスター(DMM)で測ればいいのですが、負性抵抗となるとやっかいです。テスターの抵抗計にはマイナスの表示がありません。
例えば-5kΩの負性抵抗なら10kΩの抵抗と直列に接続すれば5kΩになるはずです。テスターでこの直列に接続した抵抗の抵抗値を測りこれから10kΩを引くというのはどうでしょう?
残念ながら今回作る負性抵抗はこの方法では測ることができません。10kΩの抵抗を接続したら前記事
「オペアンプ(NIC)で負性抵抗を作る」
に書いたように正帰還が負帰還を上回り回路(NIC)が不安定になってしまうためです。
ではどうやって負性抵抗の値を測定するかというのが今回のテーマです。
※ 実際に測った例は
「オペアンプで作った負性抵抗の抵抗値を測ってみた - 1」
にあります。
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抵抗値を測るわけですから電圧をかけてどれだけの電流が流れるか測るというのでぜんぜん問題ないはずです。
もし1Vの電圧をかけて-0.1mA流れたら 1/-0.0001= -10000 で-10kΩということになります。
注意すべき点がいくつかあります。
まず電流の向きは電源(の+)から抵抗の方へではなく抵抗から電源の方へ向かって流れるはずです。だから電流に“-”が付くわけです。定電圧電源は(電流をシンクできることがわかっていない限り)使わない方がいいでしょう。
次に上の図のように可変抵抗で分圧するときは可変抵抗の抵抗値をあんまり大きくするとまともに測れなくなります。R1=R2であれば可変抵抗(の合成抵抗、つまり電源の内部抵抗)の抵抗値はR3より小さくしておく必要があります。
そして電源の電圧は例えばR1=R2であればオペアンプの電源電圧の1/2以下でテストする必要があります。
「オペアンプ(NIC)で負性抵抗を作る」に書いたことからこのように制限されます。
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抵抗を直列に接続して抵抗値を測るのはできないわけですが、では並列に抵抗を接続したらどうでしょう。
負性抵抗の値を Rx とすると合成抵抗をRとしたとき
1/R = 1/R4 + 1/Rx
となりますのでここから
Rx = 1 / ( 1/R - 1/R4 )
で負性抵抗の値を求めることができるはずです。
この場合はR4 < |Rx| である必要があります。そうでないと今回作った回路は安定しないからですが、もし安定したとしても合成抵抗はマイナスになってしまうので測ることはできません。
R4の両端の電圧が電源電圧の...というのも同じですが、(オペアンプの電源電圧がよほど低くない限り)ふつうのテスタであればこれは問題にならないでしょう。
この場合テスターの極性は問題になりません。というか極性を変えて同じ抵抗値になることを確認すべきでしょう。“ただの抵抗”ですからテスターの極性が変わっても抵抗値が同じにならないとおかしいです。
回路の特性もわかってきましたし、実験方法も決まりましたので次は実際に回路を組んで実際に抵抗値を測ってみたいと思います。
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ところでこういうことをいろいろ考えていると負性抵抗というものがどんなものかなんとなくわかってきます。
ふつうの抵抗は電流を流すと電流の自乗に比例する電力を消費します。一方負性抵抗は電流が電源の方に向かって流れていきます。最初の図で電流計のところから右側を見るとあたかもそこに電源があるように見えます。電圧は外部に依存しているので電源ではありませんがそこには電流の自乗に比例する電力を供給するものがあるように見えます。
(電源ならば(電流の自乗にではなく)電流に比例した電力を供給します)
けっきょくふつうの抵抗は電流・電圧に依存したエネルギーの消費先であるのに対し負性抵抗は電流・電圧に依存したエネルギーの供給源になっているようです。
さらに余談になるのですが、今回作った回路では回路が安定する条件として R4 < |Rx| というのがあります。これは回路を見れば明らかなのですが、単にこの回路に限ったことなのでしょうか?
なんとなく負性抵抗の性質に本質的な理由があるような気がしています。
(「オペアンプで作った負性抵抗の抵抗値を測ってみた - 1」へ続く)
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関連記事へのリスト
「オペアンプ(NIC)で負性抵抗を作る」
「負性抵抗の抵抗値の測定法(オペアンプで作るNIC)」
「オペアンプで作った負性抵抗の抵抗値を測ってみた - 1」
「オペアンプで作った負性抵抗の抵抗値を測ってみた - 2」
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