発振周波数が二つある(?)移相型発振回路
前記事「移相型CR発振回路の発振条件」では教科書、例えば
「山本 研究室 - 講義ノート - 2005年度 - 実験実習 - 発振回路 - 1 発振回路 - 2 原理」
あるようなスマートな方法ではなくExcelでゴリゴリやって発振条件を求めました。この方法はあんまりエレガントではありませんが、どれだけでもゴリゴリやれます。
移相型発振回路と言えばCRの組み合わせ三段がふつうですがもっと段数を増やしてやってみました。七段になるとちょっとおもしろいことになります。
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Excelでやっていますから移相型発振回路の段数(CRの組み合わせの数)が増えても同じようなやり方でどこまでもついていけます。
四段
四段になると一段あたり45度だけ位相が変化すればいいので回路定数が同じであれば発振周波数は高くなりそして増幅率の点では有利になります。
五段
五段となると一段あたりの位相の変化は36度ですみます。
そして七段
七段になると発振条件が二つあります。ひとつは一段あたりの位相の変化が180/7=25.7度の場合ですが、もうひとつは540/7=77.1度のケースです。
一段あたり77.1度だと減衰が激しいです。それを七段も重ねるわけで必要な増幅度はとんでもない値になります。オペアンプのオープンループ100dBでさえ不足する値です。
七段の移相型発振回路を作ればもちろん180/7=25.7度の方で発振すると思います。そちらの方が10万倍も発振条件が“甘い“わけですから。でも増幅器の増幅率をとことん高くして強制的に励振した場合540/7=77.1度の方で発振するということはないものなのでしょうか。
ちょっとやってみたい気になっています。七段ではムリかもしれませんが、八段、九段と増やしていった場合どうなんでしょう。
「ダウンロード Cond-CR.xls (107.0K)」
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