バーナード星 - 固有運動の実測値
前記事「バーナード星は動いているか? - 3 - その固有運動と年周視差を測定する」に書いたようにバーナード星は赤緯方向(北極方向)に動いておりその早さは毎月0.0002度(f=1950mmの反射鏡+APS-Cのカメラで撮ったときの1ピクセル程度)になるようです。
そこで「その後のバーナード星」に紹介したサダルテミスさんの5月9日、7月28日、9月14日の三つの画像を「バーナード星は動いているか? - 2 - その固有運動と年周視差」に書いた手法で分析してみました。
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その後サダルテミスさんが2015年5月14日にバーナード星を撮影され、昨年5月9日に撮影された写真とあわせてアニメーションGIFにされています。
「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - あれから1年! バーナード星☆彡 」
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得られた結果はこのようなグラフになりました。
前記事に書いたグラフに似ていると言えば似ています。赤経方向の動きはあまりなく赤緯方向に毎月0.0002度ほど動いているようです。
具体的な数値を見てみます。5月と9月のデータから計算しました。
固有運動の大きさ自体はヒッパルコス星表1.04秒、実測値1.04秒ですからだいたいあっています。問題は固有運動の方向です。ヒッパルコス星表によれば赤経方向の成分はあんまりないはずですが、実測値はかなり大きいです。角度で言えば15度も違います。
9月14日だと実測値とヒッパルコス星表は0.0002度程度つまり画像上で1ピクセルくらい離れていることがわかります。しかし画像の分析結果から考えるとここまで違うというのは考えにくいです。
つまりこの結果には何か別の意味がありそうです。じつは今回10月29日のデータを使っていないのはこのことに関係があります。
(「固有運動だけでは説明できないバーナード星の動き」へ続く)
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「バーナード星は動いているか? - 1」
「その後のバーナード星」
「バーナード星は動いているか? - 2 - その固有運動と年周視差」
「バーナード星は動いているか? - 3 - その固有運動と年周視差を測定する」
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