流星の経路を一枚の写真と放射点から計算する - 原理とExcelファイル
ふつう流星の実経路を決定するためには2枚の写真が必要ですが、流星群に属する流星であれば放射点が一定していることを利用して実経路を特定することが可能なはず、ということを
「一枚の写真だけで流星の経路を計算する方法」
に書き、実際にやって見たらそれらしい結果が得られたということを
「一枚の写真と放射点から流星の実経路を計算してみた」
に書きました。
今回は具体的にどうやって計算するかをExcelのファイルとして示します。
なお前記事からもわかるように理科年表などにある放射点というのをどこまで信用していいものかよくわかりません。この記事は放射点がわかっているものとして、また流星群の流星は放射点の方向からやってくるというのを前提として計算の手法を記しています。
検討しなければならないことはまだまだたくさんあります。
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Excelとその動かし方だけ必要な方は最後のところだけ読んでいただければいいと思います。
まず最初にどうやって計算するかを簡単に書きます(Excelのシートにある計算式と見比べながら読むとわかりやすいと思います)
まず観測データを入力し、流星の出現位置と消滅位置を適当に決めます。
観測地と出現位置、消滅位置の地心直交座標を求めます。この座標は地球に固定された座標です。
観測地に対する出現位置と消滅位置の相対的な位置を求めます。このとき地球の回転を考慮します。これによって得られた相対位置は測心赤道直交座標ということになります。
シートの下の方で章動とかいろいろ計算していますが、これは地球の回転量=グリニッジ視恒星時を求めるのに必要だからです。
得られた座標は赤道直交座標ですからこれからすぐに出現点消滅点の赤経・赤緯を計算することができます。
また消滅点から見た出現位置の相対位置を求めます。これも赤経・赤緯に変換するすることができそれは輻射点の位置を意味しています。
適当に出現位置・消滅位置を決めていますからこうやって求めた出現点、消滅点、放射点は実際のものとは異なっています。
そこでExcelのソルバーの機能を使って計算で求めた出現点・消滅点・放射点が実際のそれと一致するような出現位置・消滅位置を求めます。
もし観測データが正確で流星が放射点の方から現れたのであれば出現位置、消滅位置を決定することができます。
残差=計算値と観測地の差=が大きいときや非現実的な結果が得られる場合は実際の放射点が入力したものと違うことを意味しています。特に流星群に属さない散在流星だった場合は悲惨な結果になります (^^;;
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計算に使用するExcelファイル
「ダウンロード Excel_Meteo_13.xls (220.0K)」
実際に計算している様子(データはダミーだということにしておいてください)
計算結果はSVGにすることができますので、それを利用して経路図を作ったり放射点を中心にした星図から放射点と出現・消滅点の位置関係を確認することができます。
詳しいことは
「決定された流星の実経路をSVGで地図にプロットする」
「計算した流星の経路を表示するための星図の作り方」
などを参考にしてください。Excelファイルで作るSVGを使えばこんな図ができます。
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