一枚の写真と放射点から流星の実経路を計算してみた
ふつう流星の実経路を決定するためには2枚の写真が必要ですが、流星群に属する流星であれば放射点が一定していることを利用して実経路を特定することが可能なはず、というのが前記事「一枚の写真だけで流星の経路を計算する方法」の結論です。
さっそくやってみました。そしてすでに実経路が決定されているふたご座流星群の流星について算出された経路を検証してみました。
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今回対象にするのは2014年12月14日22時15分45秒~49秒に撮影された流星です。この流星については
1. 離れた二箇所からの写真があり経路を特定することができました。
2. 経路から見てふたご座流星群に属する流星であると思われます。
参考
「同じ流星が撮影できた?ふたご座流星群」
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画像からの座標の読み取りとかちょっと雑なところもあったのでこれまでの分析結果を見直しあらたに経路図を作成しました。と言っても前回と大幅に変わっているわけでもありません。
次に「一枚の写真だけで流星の経路を計算する方法」に書いた方法で私の撮った写真のみから実経路を決定してみました。
ちょっと経路を示す線の傾きが違っているようです。
とにかく重ねてみます。
出現点に関しては両者ほとんど一致しています。消滅点には経度・緯度も(ちょっと?)違っていますし高度も8kmほど差が出ています。
これを見てなんだ合ってないではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私としては一枚の写真から特定した経路としては上出来だと思うのですがいかがでしょうか。
図からも明らかなように実経路から求めた放射点は今回計算に使った放射点(理科年表の値)とは一致しません。放射点というのはそういうものなのかそれとも画像の読み取りや計算方法に問題があるのかまだまだ検討は必要です。
次にこの経路を計算したExcelファイルを用意し計算のやり方を書きますので撮影地点と撮影時刻がわかっている流星の写真をお持ちの方はぜひ試していただければと思います。
(「流星の経路を一枚の写真と放射点から計算する - 原理とExcelファイル」に続く)
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関連
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