インダクタンスの測り方 (5)
どれも全体的に中途半端な記事です。まず
「インダクタンスの測り方・まとめ」
を読んでいただいてからの方がいいと思います。
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“インダクタンスの測り方”はタイトルにあるとおりこれが5個目です。
前記事「インダクタンスの測り方 (4)」ではちょっと明かりが見えてきた的な記事を書いたのですが今回はどうでしょう (^^;;
ブリッジを使います。
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今回の実験回路もそう複雑ではありません。
交流ブリッジもいろいろ考えられるわけですが、これがいちばん計算が簡単そうに見えました。Lx、Rxが測定対象のインダクタンスと等価直列抵抗です。
上の図の電圧計(昔風にいうと検流計?)の指示がゼロになる条件を考えます。要するに電圧計の左側と右側の電圧が同じになればいいわけで
R1 / (R2 + 1/jωC ) = ( Rx + jωL ) / R3
つまり
R1 * R3 = (Rx + jωL ) * ( R2 + 1/jωC )
がなりたてばいいわけです。この式は
Rx*R2 + L/C - R1*R3 + j * (R2*ωL - Rx/ωC) = 0
となります。この式が成り立つためには実部・虚部いずれも0である必要があります。けっきょく
Rx*R2 + L/C - R1*R3 = 0
R2*ωL - Rx/ωC = 0
が電圧計が0を示す条件です。逆に電圧計が0を示したとすればこの式が成り立っているわけでここからインダクタンスLと等価直列抵抗Rxを求めることができます。
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上の回路にだいたいの回路定数が書き込んでありますが、もちろんこれは適当に決めたわけではないです。これまでの実験からLは100mH程度、Rxは300Ω程度ということがわかっているのでそれを前提に精度よく(感度よく)平衡点を見つけられるような定数にしてあります。
前回の直列共振周波数を調べる方法では多少の高調波はあんまり問題にはなりませんでしたが、今回は高調波があると平衡点がわかりづらくなるので信号源の正弦波は一度ローパスフィルターを通すようにしてあります。
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実験結果の一つを記します。
周波数: 503.4Hz
R1: 397.4Ω
R2: 385.9Ω
R3: 464.6Ω
C: 1.03uF
ブリッジの入力電圧: 157mV
平衡時の電圧: 0.89mV
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平衡時の電圧がこれだけ小さくなっているということは心配した高調波の影響はほとんどないように見えます。
このデータからLとRxを算出してみました。
L = 74mH
Rx = 290Ω
前記事では L=100mH で確定、みたいなことを書いたばっかりですが違った結果が出てしまいました。
条件を変えてやってみたらおもしろい結果が出てきました。
周波数: 368Hz、L=84mH、Rx=250Ω
周波数: 503Hz、L=74mH、Rx=290Ω (上の結果)
周波数: 502Hz、L=73mH、Rx=300Ω (二回目)
周波数: 1560Hz、L=45mH、Rx=510Ω (一回目)
周波数: 1565Hz、L=47mH、Rx=540Ω (二回目)
これだけの結果を見ると周波数が高くなるほどインダクタンスが減っているようにも見えます。
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ほんとうに周波数が高くなるほどインダクタンスが減っているのか、それにはなにか理由があるのか?
まだまだこのテーマは続きます。
「続・インダクタンスの測り方 - 5 - 交流ブリッジ」へ
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実際にやってみるとR1、R2の調整がとても微妙です。ここは多回転の可変抵抗が必須です。調整がクリティカルということは測定の精度をよくできるかもという期待ももてます。
平衡点を見出すためにはR1を調整して電圧計の指示がいちばん下がるところを見つけ、次にR2を調整して電圧計の指示がいちばん下がるところを見つけ、またR1の調整をして、それからまたR2の調整をして、というようなことを繰り返す必要があります。面倒と言えば面倒ですがそれほどストレスになるわけでもありません。
平衡点の近くでは電圧計の感度を最大にできます。
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コメント
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いろんな測定のネタがあるのですね(; ̄O ̄)
私もそろそろ周波数を可変できるようになってきたので色々試せそうです(¬_¬)
でも、その前に寄り道もしたいところです。
投稿: 惑 | 2015年1月21日 (水) 19時46分
はい、他にもいっぱい方法があると思います。
これまでリレーのコイルというあやしいものを使っていましたが、今日まともな素性のインダクタを入手しました。これからはこれを使ってこれまでの実験を検証しようと思っています。
投稿: セッピーナ | 2015年1月21日 (水) 21時24分