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2015年1月26日 (月)

ウィーンブリッジ発振回路の振幅制限には使えそうにないFET?

ウィーンブリッジ発振回路の帰還量(増幅率)と波形の関係」を書いて以来ウィーンブリッジ発振回路の出力波形をどうやったらきれにできるか(高調波を少なくできるか)いろいろやってきました。

高調波は振幅が大きくなってオペアンプの非直線領域を使ってしまうからでる。だったら振幅制限をすれば高調波は少なくなるはず、と考えてどうやって振幅制限をすればいいかもいろいろ実験しました。実用的にはFETを使うしかないだろう思い様々な工夫をしました。特定の周波数で実験すると満足の行く波形が得られるのですが出力周波数範囲を広くとるとどうしてもクリーンな正弦波が得られません。

なぜなのか?について考えたこと試したことを書きます。

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最初振幅制限の回路を通してヘンな帰還がかかっているのではないかと思いました。ただ信号をができるだけ振幅制限回路に行かないようにしてもあんまり改善しません。

ひょっとしたらFETが持つ非直線性に原因があるのではないかと思い始めました。抵抗値を電圧でコントロールできる抵抗としてFETを使っているわけですがオームの法則がなりたたない抵抗になっているのではないかということです。

そこでこんな実験をしてみました。
Wienbridgefet

上の回路は信号源の出力を抵抗で分圧しているだけです。下の回路では分圧用抵抗R2の代わりにFETを使っています。上の回路と下の回路で高調波の比率が違っていればFETがあやしいということになります。

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まずできるだけきれいな正弦波が得られる信号源が実験に必要です。これには「PIC/16F1705のDAC(DAコンバータ)を使ってみた(ソース付き)」で作った正弦波発振器(?)を利用します。DACを使った正弦波の生成は原理的に高調波から逃れられないのですがじつはとてもきれいな正弦波が得られます。

上の回路の出力はこんなでした。
Pic_2

もっと低いレベルに高調波やサンプリング周波数とその高調波が出てはいるのですが純粋な正弦波と言っていいほどの波形が得られます。これはローパスフィルターも何も使っておらずPICの出力を内蔵のオペアンプを(バッファとして)通しただけのものです。

では下の回路はどうなったかというとこんなでした。
Picfet

信号源にはなかった高調波が見られます。

やっぱりFETの非直線性が原因で高調波が出てしまうようです。

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なつめ球やサーミスタを使う方法を検討した方がいいかもしれませんが、FETを使うとすれば慎重に設計する必要がありそうです。

1. 使用しているFETは適切なものか?(ちなみに上の実験で使ったのは2SK30です)

2. FETの動作点は適切か?

3. FETに印加される電圧/電流は適切か?

4. 非直線性の影響が出にくい設計になっているか?
  (「ウィーンブリッジ発振回路の歪率(高調波歪)を小さくする工夫」)

少なくともFETで振幅制限すればそれだけで高調波が減るというものではなさそうです。

上の3.に関してFETに印加される電圧を小さくするというのは確かに効果的だと思います。ただそうすると制御できる範囲が狭くなり広い周波数範囲で安定した動作をさせるというのが難しくなるようです。

そこそこきれいで安定した正弦波信号源が必要というかたには私はPICを使う方法をお勧めします(ただこの場合高い入力インピーダンスをバッファを通すのは必須です。それをしないと高調波がとんでもないことになります。また数kHzが発振周波数の上限になると思います)

  ==> 波形の美しさを求めるなら今のところナツメ球がいちばんいいようです。

      「もっとも波形がきれいなウィーンブリッジ発振回路

     でも安定度が今一つでなんとかできないか試行錯誤中です。

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FETを振幅制限に使うとどんな場合も高調波が多いというわけではないです。
ウィーンブリッジ発振回路でFETによる振幅制限したときの一例を示すと....
Wbfet

ただこういう状態を常に保つのはなかなかむずかしいです。
どうやったらいいのか試行錯誤中です。で、試行錯誤に疲れもうPICでいいやとなるわけです。

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趣味の電子工作

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コルピッツ発振回路の発振条件と発振周波数 (1)

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PIC/16F1705のDAC(DAコンバータ)を使ってみた(ソース付き)
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PICのDAC(DAコンバータ)を使ってみた
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