I2C/SPI大気圧センサーLPS25HとLPS331APの精度を比較する - 2 - 分解能
「I2C/SPI大気圧センサーLPS331APとLPS25Hの精度を比較する (1)」でデータシート上の精度をチェックしましたがこれから実際に測定した結果を調べていきます。
確度(不確かさ)は気象庁のデータとの突き合わせが必要でこれがいろいろと手間ですのでまず最初に分解能を調べてみます。
LPS25Hの使い方については書き始めています。
「I2C/SPI大気圧センサーLPS25Hの使い方 - 1 - 実装」
LPS331APについてはこれまでいろいろと書いてきました。例えば
「PICでI2C - 大気圧・温度センサーLPS331APの使い方」
があります。
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前回の記事で5分間ほど室内で測定した結果のグラフを示しましたが、細部がもっとよくわかるような形にまとめてみます。
これは“設置場所を変えながら”と書いたのですが、床においたセンサーを1.7m高い位置に移動し、また床に戻すという操作を数十秒毎に繰り返しています。
1.7m高い位置においてある115秒から10秒間、床においてある155秒から10秒間の平均と標準偏差を見てみます。
1.7m高い位置
LPS331 平均 1006.71hPa 標準偏差 0.065hPa
LPS25H 平均 1011.92hPa 標準偏差 0.054hPa
床においたとき
LPS331 平均 1006.90hPa 標準偏差 0.071hPa
LPS25H 平均 1012.13hPa 標準偏差 0.079hPa
1.7mの高低差による気圧の差は約0.2hPaですからこの結果を見るとLPS25HもLPS331APも確かにこの1.7mの高低差による気圧の変化をとらえることができているようです。
「I2C大気圧温度センサーLPS331の驚くべき分解能」
ここで標準偏差が0.05~0.08hPaとなっていますがこれが何に起因するかは「大気圧センサーLPS331APの正しい使い方」で課題となったところです。
これには二つの考え方があります。
1. 気圧が細かく変動している
2. デバイスのノイズ
もし1.だとすればLPS25H、LPS331APそれぞれが細かく変動しているとしてもその差の変動はかなり小さくなるはずです。
一方2.だとすれば二つのデバイスの差にも大きな変動があるはずです。
図を見るとそれぞれのデバイスの変動より大きくなっているようです。これも同じように平均値と標準偏差を求めてみます。
1.7m高い位置
LPS25H - LPS331AP 平均 5.21hPa 標準偏差 0.078hPa
床においたとき
LPS25H - LPS331AP 平均 5.24hPa 標準偏差 0.107hPa
となっています。個別の変動がランダムなノイズに起因すると考えたとき予想される測定値の差の標準偏差は
1.7m高い位置 sqrt(0.065^2+0.054^2) = 0.085hPa
床においたとき sqrt(0.071^2+0.079^2)= 0.107hPa
となります。これは実際の測定値の差の標準偏差に近い値です。
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以上から今回の測定結果については次のように考えていいと思います。
(言うまでもなく私の手元にあるLPS25HとLPS331APに関する考察です)
1. LPS25HはLPS331APより5.2hPa高い気圧を示しています。
2. いずれも1.7mの高度差による気圧の差を識別するだけの分解能があります。
実用的な意味ではこれらの分解能は0.05hPaと考えておけばよさそうです。
1mの高度差も十分識別できそうです。
3. 測定値の変動はそのほとんどがデバイスのノイズに起因するものと思われます。
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