I2C/SPI大気圧センサーLPS331APとLPS25Hの精度を比較する (1)
「台風18号による東京の気圧変化 2014/10/05-08」などで活躍したLPS331APなんですがきむしげさん(きむ茶工房ガレージハウス )によるともう販売されておらず後継機種(?)としてLPS25Hが販売されているそうです。
そこでLPS25Hを買ってきてLPS331APと測定値を比較してみることにしました。
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その後気象庁の測定値とも比較してみました。
「海面更正気圧の計算結果を気象庁とくらべてみた - I2C大気圧センサーLPS25H+LPS331AP」
「大気圧センサー」という以上測定器なわけですからその精度が気になります。
まず分解能はいずれも1/4096hPaです。PICで測定するときはXCコンパイラのデフォルトの24bit浮動小数点数では足らず32bit浮動小数点数を使う必要があるという高分解能です。
私はfloat,doubleとも32bitにしてコンパイルしていますがdoubleだけ32bitにして大気圧に関するところだけdoubleを使うということでいいと思います。もっとも実質的な分解能はそこまでないのでデフォルトの24bitのままでも問題はないでしょう。
次に精度なのですがRelative accuracy over pressureとAbsolute accuracy pressure
over temperatureという二つの項目が規定されています。
Relative accuracy over pressureはいずれも±0.1hPa Typ.となっています。もしこれが確度であればものすごい精度ですが、ざんねんながらこれは測定値の直線性を言っているだけのようです。
どうやら Absolute accuracy pressure over temperature が確度のようです。こちらについては
LPS331AP:
P = 800 to 1100 mbar、T = 0~+80 °C において±2mbar
LPS25H:
P = 260 to 1260 hPa、T = 20~+60 °C において±0.2mbar
となっています。これだけ見ると(室温で使うことを前提にすれば)LPS25Hの方が圧倒的な高精度のように見えますがじつはそうでもありません。この数値はTyp.つまり典型値なのです。
LPS331APはについてはAbsolute accuracy pressure over temperature の最小値-3.2mbarと最大値2.6mbarが明記してあるのですが、LPS25Hにはこれがありません。つまりハズレをつかんだらどういうことになるのかよくわかりません。
これからの記事でじっくりLPS331APとLPS25Hの測定値の精度(確度、不確かさ)を検証していきたいと思いますが結論だけ書いておくと
少なくとも私が入手したものについてはLPS25HよりLPS331APの方が信用できる
という結果になっています。
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測定結果の一例
5分間ほど1秒おきに測定した結果です。途中で数十秒ごとにセンサーの設置位置を変えています。
「PIC/I2C大気圧センサーLPS331APの測定値をSDカード(SPI)に記録する - はじめに」を使っています。
このときの気圧はアメダスのデータから考えると1011hPa程度だったと思われます。
なんだLPS25Hの方が精度がいいではないか、というのは早とちりです。
これは生の測定値であって海面更正気圧ではないからです。
この測定結果から得られる内容については
「I2C/SPI大気圧センサーLPS25HとLPS331APの精度を比較する - 2 分解能」
にあります。
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LPS331APについては
「PICでI2C - 大気圧・温度センサー LPS331の使い方」
など書いています。
LPS25Hについてはこれから記事を書く予定ですが、この二つのセンサーの使い方については
「きむ茶工房ガレージハウス - 気圧センサー(LPS25H)で大気圧を測定して見ます」(PIC)
「気圧センサー(LPS331AP/LPS25H)で大気圧を測定して見ます」(Arduino)
が参考になるでしょう。私の書いた記事(+これから書く記事)よりずっと役に立つと思います。
(「I2C/SPI大気圧センサーLPS25Hの使い方 - 1 - 実装」に続く)
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