“簡単に作った”交流電圧計(ミリバル)の周波数特性
「交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方」で作ったミリバルの周波数特性を調べてみました。
と言っても“なんちゃって”です。入力にはバイナリーカウンターで8MHzを分周したものを使っています。つまり入力波形は正弦波ではなくて矩形波です。またバイナリーカウンターは回路構成が同じだからその出力は一定値のはずだという前提でやっています。
そこを理解して読んでいただければ“なんちゃって”なりの何かは得ることができると思います。
もし直線性よりできるだけ広い周波数範囲で電圧を測りたいということであれば高周波電圧計のような作りの方がいいと思います。
「ダイオードによる整流電圧の周波数特性 - ミリバルとの比較」
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実験には「交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方」で作ったミリバルを使いますが一点だけ違いがあります。入力側に0.1uFのコンデンサーを入れてあります。言うまでもなく直流分をカットするためです。
オペアンプには072Dを使っています。FET入力のためバイアス電流が小さく200mVレンジでの使用も可能です。ダイオードはふつうのスイッチング用ダイオードです。すみません型番は忘れました。
信号源は「24ビットバイナリーカウンター」で作ったバイナリーカウンターに8MHzの水晶発振器を接続したものを使います。各ステージから必要な周波数の信号(矩形波)を取り出します。
こんな結果になりました。せっかくですので「DMM交流電圧の周波数特性を調べてみた」の結果といっしょにグラフにしました。
まず低域の特性がよくありません。これは直流カット用のコンデンサーが0.1uFのせいでしょう。このミリバルはあんまり入力インピーダンスが高くないので1uFくらいにした方がよさそうです。これはやる前からわかっていたのですが手の届く範囲には0.1uFしかなくてつい使ってしまいました。
0.1uFの100Hzでのリアクタンスは16kΩなので100Hzくらでもけっこう測定値が違ってきそうなのにそうなっていないのは矩形波で高調波が多いからでしょう。
次に気がつくのは1000Hzと2000Hzの間にある“段差”です。胸に手を当てて考えたら原因がわかりました。バイナリカウンターは12ステージのものを二段重ねにして使っているのですがデバイスが違います。前段が74HC4040AP、後段がTC4040BPです。2000Hzまでは74HC4040の出力が、1000Hz以下はTC4040BPの出力を使います。どうやらこの二つは出力条件が違っていたみたいです。
あとは40kHzより高い周波数に見られるピークでしょうか。これは負帰還が正常にかからなくなったためだと思います。つまりこの領域は反転増幅回路として正常に機能しなくなっているということでしょうか。
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全体的に見ると周波数特性は良好なのではないでしょうか。入力は矩形波でした。正弦波であれば100kHzを超えるところまでちゃんと測定できるのではないかと思えます。
周波数特性に限って言えばそれなりのお値段のDMMよりよさそうです。
もう少しちゃんとした実験ができたらまた記事にしたいと思います。
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関連
「交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方」
「DMM交流電圧の周波数特性を調べてみた」
「ダイオードによる整流電圧の周波数特性 - ミリバルとの比較」
「24ビットバイナリーカウンター」
「ウィーンブリッジ発振回路の帰還量(増幅率)と波形の関係」
「ウィーンブリッジ発振回路の発振条件 - Excelで複素数の計算」
「続・インダクタンスの測り方 - 5 - 交流ブリッジ」
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