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2015年1月26日 (月)

インダクタンスの測り方・まとめ

「インダクタンスの測り方」というテーマで記事を書いていたら収拾がつかなくなってきたのでまとめ記事みたいなのを書くことにしました。

といってもまだ「インダクタンスの測り方」をテーマとした記事は書き続けていますのでこの記事を読めばすべてが理解できるというものでもないです。

だいたい“方向性”はつかめてきましたので表は精度の高い方法と思われる順に並べ直しました。ただ測定条件や測定対象のインダクタンスによって測定の難易度や精度は変わりますので表の上の方にある方法がどのような場合も精度がいいとは限りません。
特に共振周波数、発振周波数を使うものは測定に使うコンデンサーの品質・精度が結果に大きな影響を与えます

μHオーダーの測定はまだ一例しかありませんが、これはこれから増やしていきたいと思います。

=======

手法 記事 特徴・備考 LHL10NB104J
100mH±5%
@ 1kHz
240Ω
の実測結果
最初に読んでおいていただいた方がよさそうな記事 LCRメータの仕組みと作り方

インダクタンスの測定にコンデンサは使うべきでない!?
相互インダクタンス 相互インダクタンスを測ってみたらヘンなことになった
自己共振周波数 コイル(インダクタ)の自己共振周波数を測ってみた
自動平衡ブリッジ+ベクトル電圧計 準備中 参考
自動平衡ブリッジの原理と回路の作り方
ベクトル電圧計 - 複素数としての電圧・電流を測る方法 - 原理
相互インダクタンスを測ってみたらヘンなことになった

98.9±1[mH]
197±3[Ω]

99.5[mH]
200[Ω]
自動平衡ブリッジを使い並列共振周波数からインダクタンスを求めます。 インダクタンス測定法 - LC並列共振周波数測定装置 共振周波数からインダクタンスを求めるのですが周波数に対する挙動から抵抗分を求めることもできます。
手法としての精度はいいのですが、測定結果は並列にするコンデンサーのキャパシタンスの精度に依存します
周波数をスイープしながらの測定と測定値の記録が必要でPICなどを使って測定を合理化しないとたいへんです。
LC並列共振周波数からインダクタンスを求めるときの誤差
98±1[mH]
207±3[Ω]
(コンデンサのESRがゼロで静電容量の値が正しいと仮定したとき)

193[Ω]
(コンデンサのESR(14Ω)を除いた等価直列抵抗)

参考 コンデンサのESR
PICで作るキャパシタンス/ESRメータの測定法と(予想される)精度」にあるPET-Rがこのとき使用したコンデンサです。
ベクトル電圧計で複素インピーダンスを求めます インダクタ(コイル)の複素インピーダンスを測ってみた 電圧・電流を複素数として扱うのでインダクターの抵抗分とリアクタンス分を求めることができます。
左の記事にあるようにけっこう精度もよさそうですし高周波領域での測定もある程度はできると思います。
98[mH]
206[Ω]
コンデンサーと直列にして共振周波数を測ります。 インダクタンスの測り方 (4) 等価直列抵抗が大きい場合、つまりQが小さい場合共振点があまり明瞭ではありません(安定した信号源が必要です)
しかし等価直列抵抗によるインダクタンス値の測定結果に対する影響は小さいですし、等価直列抵抗の算出も簡単そうです。
また信号源の高調波の影響を受けにくい方法です。
高周波用インダクターには適していると思います(高周波用インダクターの場合は並列共振回路を使った方が簡単かも)
オペアンプでコルピッツ発振回路を作り発振周波数を測ります。 インダクタンスの測り方 (3) 発振周波数は等価直列抵抗の影響を強く受けます。またこの方法で等価直列抵抗の値を求めるのはけっこう手間な気がします。
等価直列抵抗の影響がでにくい(=Qの高い)高周波用インダクターのインダクタンス測定に向いた方法でしょう。
コルピッツ発振回路の発振条件 - LCだけでは決まらない発振周波数
ピアース発振回路を作り発振周波数を測ります。 参考
ほよほよのブログ  - 初めてのインダクタンス計測
上のコルピッツとやり方は同じですので(私は自分ではまだやっていませんが)性格的にはコルピッツに似たものになりそうです。
上のとは違ってずっと高い周波数での測定ができますのでインダクタンスの小さいインダクタの測定に向いていると思います。
交流ブリッジを作り平衡点を求めます。 続・インダクタンスの測り方 - 5 - 交流ブリッジ
インダクタンスの測り方 (5)
インダクタンス値と等価直列抵抗をいっしょに求めることができます。
高調波の影響に注意する必要がありますが、高調波の影響の程度は結果からある程度判断できます。
精度のよい測定ができそうですがそのためには平衡点を求めるために使う可変抵抗は分解能が高いものが必要です。
高周波での測定は部品の選定に注意が必要でしょう。
112[mH]
254Ω
@ 824Hz
抵抗とインダクターを直列にし抵抗(またはインダクター)の端子電圧を測ります。 インダクタンスの測り方 (2) 手軽に測定できますが、等価直列抵抗を求めるときは条件(抵抗の抵抗値)を変えて複数回測定する必要があります。
信号源の高調波の影響を受けやすそうです。
発振回路のLに測定対象Lを直列に追加し発振周波数の変化からインダクタンスを求めます。
微小インダクタンス向け

微小インダクタンスの測定 - 1 - μH以下の測定をめざして

左の記事の例は0.05μHの分解能があります。
がんばればもっと行けそうです。
要するに測れるのは測れるのですが、小さな値になるほど、どこの(何の)インダクタンスを測っているのかよくわからない、というような面もあります。

LMC555でLR発振回路を作り周波数からインダクタンスを求めます。 インダクタンスのとっても簡単な測り方 簡単ですが精度は期待しないでください。
コンデンサは不要です
こんなこともできる程度の記事です。
でも上の交流ブリッジよりちゃんとした結果が出てます (^^)
105[mH]
定率で増加する電流をインダクターに流し端子電圧を測ります。 インダクタンスの測り方 インダクタンスの定義に沿った測定法です。ある程度インダクタンスの大きなものでないと測定が難しいと思います。
供給する電流源を作ったり変化する電圧を測定する方法が必要と面倒な方法です。また正弦波で測定しているわけではないのでインダクターの周波数特性を調べるといった目的には向かない方法でしょう。

他にもいろいろ方法がありそうです。

例えば

  「弛張発振器を作って周波数を測ります」
    ===>  「インダクタンスのとっても簡単な測り方

  「並列共振回路を作って共振周波数を測ります」
    ===>  「インダクタンス測定法 - LC並列共振周波数測定装置

などなど.....

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