海面更正気圧の計算法 - 気象庁「気象観測の手引」による
気象庁のハンドブックに基づく海面更正気圧の計算法について書きます。計算用のExcelファイルも用意しました。LibreOfficeなどでも動くと思います。
以前
「海面更正気圧を気象庁とくらべてみた - I2C大気圧温度センサーLPS331」
を書いたときExcelファイルもダウンロードできるようにしたつもりだったのですがそうなってなかったのであらためてこういう記事を書く次第です。
気象庁は「海面更正気圧」ではなく「海面気圧」という言葉を使っているようですが....
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理屈を知りたいという方はちゃんと気象庁の
「気象観測の手引き[PDF:1,825KB] 」
をご覧になった方がいいと思います。なんでもいいから計算できればいいと言う方は
「ダウンロード Excel_Prs_01.xls (34.0K)」
を使っていただければと思います。簡単な説明は最後に書きます。
C列にあるのをそのままD列以後にコピーすればいいように作ってあります。
それから“計算例”と言うシートがありますがこれは次回のブログネタです。
==> 「海面更正気圧の計算結果を気象庁とくらべてみた - I2C大気圧センサーLPS25H+LPS331AP」
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計算するときの値の設定の仕方について説明しておきます。
現地気圧:
気圧計の測定値そのものです。
専門家の場合はどうするかは「手引」にあります。
重力加速度:
ほんとうは実際の値を入力すべきでしょうが9.8で問題ないです。
9.7とか10.0だとかだと結果がちょっとだけ違ってきます。
Excelには「手引」にあった値がそのまま入っています。
理科年表の日本各地の重力値実測データによれば宮古島を除いて9.79~9.80ms-2の範囲にありました。
宮古島にしても9.79ms-2をほんのちょっと切っているだけです。
乾燥空気の気体定数:
これは物理定数なのでそのまま使います。
気になる方は理科年表あたりにあると思うので確認してください。
標高:
「国土地理院 - 地理院地図」などを利用してちゃんと調べます。
1m違うとだいたい0.1hPa違ってきます。
気象庁の手引には0.1mまで調べろと書いてありましたが素人にはちょっとムリでしょうし必要もないでしょう。
なお「手引」では“気象庁では海抜 800m以上の地点については,海面更正は実施していない”とのことです(これは気象庁のFAQみたいのにも書いてあったような)
気温:
厳密な意味で“気温”を測るというのは難しいケースもあると思います。
というか不確かさのはっきりした温度計をお持ちの方も少ないと思います。
ただ幸いなことに5度が10度とか20度とかなっていない限りだいじょうぶです。
私は室内で気圧を測って練馬のアメダスの気温を使うということもやっています (^^;;
(換気扇を止めるなどすれば室内の気圧は(密閉していない限り)屋外と同じになります)
検算
「手引」に例がありますのでそれを計算してみます。
4.4hPa補正するという結果が出ればOKです。
「手引」は小数点以下2位まで示すと4.38とありましたが実際計算してみたら4.39でした。
たぶん途中で有効数字を考えながら丸めていった結果とExcelで何も考えずに計算した結果の違いだと思います。
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計算法
Excel風に書くとこうなります。
P0 = P - P * ( exp( g*Z / (R*Tvm) -1 )
P0: 海面気圧
P: 現地気圧
g: 重力加速度(9.8ms-2でOK)
Z: 標高(1mまでちゃんと調べる)
R: 乾燥空気の気体定数(287.05m2s-2K-2)
Tvm: 海面からZまでの平均の仮温度
Tvmは次式で計算します。
Tvm = 273.15 + tm + εm
ここで
tm = t + 0.0025 * Z
εm = A * tm ^2 + B * tm + C
です。
A、B、Cは定数なのですが温度範囲によって異なる定数を使います。
Excelファイルあるいは上の画像の下の方にある表を参照してください。
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「海面更正気圧を気象庁とくらべてみた - I2C大気圧温度センサーLPS331」
「台風18号による東京の気圧変化 2014/10/05-08」
「I2C/SPI大気圧センサーLPS331APとLPS25Hを比較する (1)」
など
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