海面更正気圧の計算結果を気象庁とくらべてみた - I2C大気圧センサーLPS25H+LPS331AP
秋葉原で売っている大気圧センサの示す現地気圧から海面気圧を計算し気象庁の発表値と比較してみようという企画です。
これは一度やりました。
「海面更正気圧を気象庁とくらべてみた - I2C大気圧温度センサーLPS331」
今回はLPS331APの他にLPS25Hも参加しています。
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海面気圧の計算法は
「海面更正気圧の計算法 - 気象庁「気象観測の手引」による」
に書いたとおりです。
まず気象庁(東京管区気象台)で測定した結果と現地(私のおうち)で測定した結果と比較して意味があるのかという点から始めます。
大気圧は気温なんかと違って少し離れたくらいではあんまり変化しません。これは等高線を見ればわかります。台風とか爆弾低気圧とかそんなのがこない限り気象庁と10kmくらいしか離れていないとこで測っても気象庁とだいたい同じ値を示すはずです。
気圧は局所的に高低ができてもすぐにその影響は拡散してしまいます。ここが気温とは違うところです。
実際東京とかなり離れた熊谷を比較してもほとんど気圧の差がないことが多いです。
ということで比較を始めます。
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この結果をもとに考えます。
まず2月13日と2月21日のデータです。
じつは最近無精しています。寒いし結露がいやなので室内で気圧を測っています。上に書いたように気圧というのは(換気扇でも動いていない限り)室内と屋外でそんなに違いはないはずです。ただこれをやると海面気圧を求めるのに必要な気温がわからなくなります。
これは東京管区気象台よりさらに近い練馬の気温で代用することにします。
「海面更正気圧の計算法 - 気象庁「気象観測の手引」による」に書いたように気温が多少__あくまで“多少”です__違っても海面気圧にはほとんど影響しないからです。
LPS331APは前回同様好成績です13日は気象庁のデータに対して-0.5hPa、21日は-0.3hPaとなっています。一方LPS25Hはちょっといただけません。13日が+4.2hPa、21日は+5.5hPaとなっています。
あくまで“私が持っている331、25Hは”という話なのではありますが、「きむ茶工房ガレージハウス - 気圧センサー(LPS25H)で大気圧を測定して見ます」を拝見しても同じような傾向があるようでLPS25Hはちょっと人に進めづらくなっています。
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これは室内で測ったケースでしたが朝屋外で測ったものが見つかりました。三番目の16日のものです。これはちゃんと自分で測った気温を使っています。
ただし気温はLPS331H/25Hで測ったものではありません。これらの温度は私はあんまり信用していません。とは言っても気温が海面気圧に与える影響はそんなに大きくないのでLPS331H/25Hの示す温度を使ってもぜんぜん差し支えありません。
それから気温は練馬とは0.4度しか違いませんでした。室内で現地気圧を求めて練馬の気温で海面気圧を算出するというのも別に問題なさそうです。
今度はLPS331APが+2.1hPa、LPS25Hが+4.4hPaとどちらもかなり違います。気圧の勾配が大きかったのかと思い熊谷のデータを見たら0.2hPaしか違いませんでした。このケースは誤差が大きいようです。
気圧は上の2ケースの間にありますから、これだけ見ると気温が低いときは気圧の測定値の誤差が大きくなるようにも見えます。
探したらこの6時間前に室内で測ったデータがありました。これが4番めのケースです。
LPS331APが+0.7hPaでまあまあ、LPS25Hは+5.0hPaで相変わらずです。
となると冬場は室内で測って練馬(つまり観測地近くのアメダス)の気温を使って海面気圧を求めた方がいいように思えてきます。
前回の比較ではLPS331APが割りといい成績を残していますが、そのときの気温は24度~28度でした。
たったこれだけのデータではなんとも言えないのですが、以上LPS331APあるいはLPS25Hをお持ちの方、導入検討中の方のご参考まで。
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「海面更正気圧を気象庁とくらべてみた - I2C大気圧温度センサーLPS331」
「台風18号による東京の気圧変化 2014/10/05-08」
「I2C/SPI大気圧センサーLPS331APとLPS25Hを比較する (1)」
など
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コメント
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この話題になると出てくるminです。
LPS××は、センサー温度から補正値を計算して補正してやらないと、特に低温域では誤差が大きいです。下記URLは当方が昨年10月から今年3月2日までで観測した、LPS331APセンサー温度と気圧測定誤差のグラフです。
http://blog-imgs-76.fc2.com/n/o/c/noctambulant/Ts-r150302.png
2次の多項式で近似すると、TsをLPS331APセンサー温度、Eを測定誤差として
E = 0.003497027*Ts^2 -0.245028502*Ts + 3.561234972
(グラフ中の値と微妙に違っていますが)
これで補正してやると残差の標準偏差が0.26hPa位になります。
セッピーナさんのセンサーにそのまま上式が適用できるかわかりませんが、ご参考までに。
投稿: min | 2015年3月 4日 (水) 00時59分
わざわざありがとうございます m(._.)m
なるほどそういうことでしたか。
ということは夏でも冬でも室内で気圧を測った方がよさそうですね (^^;;
投稿: セッピーナ | 2015年3月 4日 (水) 01時40分
いろいろ参考にさせていただいています。
ちょっと次元の異なる話になるかもしれませんが
気圧(QNH、inHg)と気温は飛行場で飛行機に対して無線で連絡しています。チャンスがあったら近くの飛行場で比較してみるつもりでいます。
今の自宅と空港(自宅から南東5nmほど)の値。
LPS25H 3003 31.6
RJNS 2997 33
今はまったく手を出していませんが1970年台に天文に手を出して当時はちょっと特殊な高橋3枚玉フローライト・アポクロマート 8cm(F15) 。
PC-8001で中野主一さんのマイコン宇宙講座を動かしたり、音響カプラでコメットデータを送ってもらったりしていました。
新婚旅行は1980年に小谷の清さんの民宿(星の家)でした。
観測用では、TriX、103aを多用していましたが観賞用写真ではマミヤプレス 250mmF5 6×9コニカ・GX-3200がオリオンのベスト作品を生んでいます。
1982年に引っ越してから自宅には今もステラハウスのコスモドーム(1.8m)があります。
以下の塩沢均は当時一緒に活動していました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9%E6%B2%A2%E5%9D%87
投稿: yoshimix | 2015年8月 7日 (金) 13時33分
今、LPS311に変えてみました。
LPS311 2982 33.31
RJNS 2994 32
投稿: yoshimix | 2015年8月 7日 (金) 14時51分
コメントと貴重な情報ありがとうございます m(._.)m
リンク先を拝見したのですが幅広い趣味をお持ちなんですね。
確かにATIS(ボルメットも?)を聞けば空港の気圧がわかりますね。これまで思いつきませんでした。
他の方の測定結果も踏まえ331APはほぼ適正な気圧を示し、25Hは若干(5~6hPaくらい)高めの気圧を示すという傾向があるという結論(?)になっていましたが、データを拝見すると25Hが4hPaくらい高め、331APが4hPaくらい低めということでしょうか。やっぱり個体差はそれなりにあるようですね。
RJNS=静岡空港ということでしょうか。航空無線が聞ける受信機はあるので機会があったらRJTTに行って測定値と比較してみたいと思います。
私は空港の気圧(QNH)というのは現地気圧だと思っていたのですが、気象庁の説明を読むと海面更正気圧に近いものなんですね。これも知りませんでした。
投稿: セッピーナ | 2015年8月 7日 (金) 17時09分