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2015年2月18日 (水)

サーミスタで正確な温度を測るコツ - 基準抵抗(R0)、B定数、熱拡散係数、...

この記事はサーミスタでより正しい温度を求めるにはどうしたらいいかを書いたつもりだったのですが、この記事を読んだ方が同じことをするのはすごくたいへんだと思います。

精度を追求される方には

   「サーミスタで正確な温度を求める方法 - 抵抗値-温度変換計算の精度と誤差」 

をおすすめします。具体的な計算式や実際に測定した(算出した)結果を測温抵抗体と比較した精度・誤差のグラフがあります。

この記事を書いてからずいぶん経ち、ある程度まとまったものも書いてきましたので最新の記事を紹介させていただきます。

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サーミスタの基本特性である基準抵抗とB定数から温度を求めるという基本的なところは

  「サーミスタで温度を測る - 温度と抵抗値の相互変換 - B定数について

にあります。サーミスタの抵抗値から温度を求める方法と温度=抵抗値の対照表があります。1℃の単位で温度がわかればいいということであればこの記事で十分です。

B定数の温度による変化を考慮してより高い精度で温度を測りたい場合は

  「サーミスタによる温度測定の精度 - 2 - B定数の温度特性

があり、また具体的な計算式や実際に5℃~65℃から測定した精度(誤差)を調べたものは

  「サーミスタで正確な温度を求める方法 - 抵抗値-温度変換計算の精度と誤差」 

にあります。R0とB定数だけではあんまり正確な温度が求まらないことがわかります。

自己加熱については
  「サーミスタ温度測定の精度と誤差 - 熱放散定数と自己加熱
製品特性のばらつきによる誤差については
  「サーミスタ温度測定の精度と誤差 - 製品のばらつきによる不確かさ」  
にあります。

PICで温度を測るときのプログラム例は

  「PICで作るお手軽サーミスタ温度計 (2) - ソース付き

にありますが、これはもっとも基本的な計算法を使っていますので精度が物足りないかもしれません。「サーミスタで正確な温度を求める方法 - 抵抗値-温度変換計算の精度と誤差」にある式を利用していただければ精度は向上します。

サーミスタによる温度測定で問題になる自己発熱については
  「サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた
  「(アルミ管入り)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた
  「(水中の)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた

  「サーミスタ/測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)の測り方
に測定例があります。

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温度測定がしたいのであって特にサーミスタにこだわらないと言う方は
  「PICで作る温度計のセンサー比較(サーミスタ、熱電対、白金測温抵抗体、...)
  「温度センサ(サーミスタ・熱電対・(白金)測温抵抗体)の誤差
が参考になると思います。

精度にこだわるのであれば測温抵抗体(白金薄膜抵抗)がおすすめです。

  「(白金)測温抵抗体(白金薄膜抵抗)の使い方 - 基礎編というか入門編というか....

最初はちょっとめんどうかもしれませんが、一度作ってしまえば“この温度は正しいんだろうか?”なんて悩まなくてすみます。

(2015.06.23)
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温度検知用と銘打ったNTCサーミスタは計算式どおりでもけっこう正確な温度を知ることができますが、より精度の高い温度を測るにはどうしたらいいかということについて書いてみます。

今回は“結果”に重点をおきました。実験方法の詳細については別に記事にしました。
  ==> 「続・サーミスタで正確な温度を測るコツ - 基準抵抗(R0)、B定数、熱拡散係数、...

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サーミスタの基準抵抗(25度における抵抗値)とB定数から抵抗値から温度を知るための計算式については「サーミスタ温度計の精度を調べる - 1」に書きましたので、そこは省略しさっそく本題に入ります。

じつは抵抗値(と基準抵抗、B係数)から温度を算出する計算式を使うだけでもけっこう正確な温度がわかります。
5度弱から30度強までの範囲で600点ほど計測し抵抗値から算出した温度と実際の温度の差をグラフにしてみました。
Test01

ふつうに使っているサーミスタTh1の方は温度が下がるにつれて差が増えていきますがそれでも1度しか違いません。じゅうぶん使いものになるのではないでしょうか。

Th1 R0=10.00kΩ、 B=3380K、 熱拡散係数=∞mW/K、 B係数の温度係数=0K/V
Th2 R0=10.00kΩ、 B=3380K、 熱拡散係数=∞mW/K、 B係数の温度係数=0K/V

最後の項目は温度係数としてありますが、実際はサーミスタの電圧降下に対するB定数の変化を温度係数としています。

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この温度が低いほど差が広がるという現象には理由があります。
温度を算出するのにB定数を使っているわけですが、このB定数は高い温度で測ったものです。今回使ったサーミスタ NTSA0XH103FE1B0 ではデータシートを見ると25deg.C~50deg.Cの抵抗値からB定数を決定しています。実際にはB定数は温度に依存しており定数を決定するときの温度よりずっと低い温度で測った今度の実験に適用するにはムリがあります。

この温度でのB定数がいくつになるかは資料がないので、逆にこの温度帯で適切と思われるB定数を求めた上で再度比較してみました。
Testb

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最初の結果よりかなり改善しています。こんどは高い温度での様子がヘンですが、これにも理由があります。

今回の実験ではサーミスタに電流を流しその電圧降下から抵抗値を求めるのですが、電流が流れそれに相当する電圧降下が発生すればとうぜんその積の電力が消費されその結果サーミスタの温度は上がります。この場合高い温度ほど測定結果が不正確になるはずです。実際上のグラフはそうなっています。またこの計測のために使われる消費電力によってどれだけ温度が上昇するかは熱拡散係数として表されます。

Th1 R0=10.00kΩ、 B=3190K、 熱拡散係数=∞mW/K、 B係数の温度係数=0K/V
Th2 R0=10.00kΩ、 B=2940K、 熱拡散係数=∞mW/K、 B係数の温度係数=0K/V

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いったんB定数をもとの値3380Kに戻し、できるだけ妥当な温度を示すと思われる熱拡散係数を求めて計算結果をグラフにしてみます。
Testsigma

さほど改善されているわけではありませんがB定数とは違って高温の方の結果がよくなっています。

Th1 R0=10.00kΩ、 B=3380K、 熱拡散係数=0.41mW/K、 B係数の温度係数=0K/V
Th2 R0=10.00kΩ、 B=3380K、 熱拡散係数=0.19mW/K、 B係数の温度係数=0K/V

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今度はB定数と熱拡散係数の両方を調整してみます。
Testbsigma

ここまでくると結果に文句を言いたくなる方はあんまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

Th1 R0=10.00kΩ、 B=3226K、 熱拡散係数=0.84mW/K、 B係数の温度係数=0K/V
Th2 R0=10.00kΩ、 B=3033K、 熱拡散係数=0.30mW/K、 B係数の温度係数=0K/V

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結果はもっと改善することができます。これまでB定数は常に一定の値として扱ってきましたが実際は温度の関数です。温度の係数と考えるのがふつうでしょうがそれでは面倒くさくなるのでB定数はサーミスタでの電圧降下の関数であるとし__さらに基準抵抗もより結果がよくなるような値を求め__もっとも結果がよくなるような条件を探してみました。

するとこんな結果が得られました。
Testbsigmadb

もう完璧と言っていいんではないでしょうか (^^)

Th1 R0= 9.95kΩ、 B=3284K、 熱拡散係数=1.50mW/K、 B係数の温度係数=-105K/V
Th2 R0=10.03kΩ、 B=3099K、 熱拡散係数=0.28mW/K、 B係数の温度係数=-167K/V

熱拡散係数はサーミスタの設置方法によって変化しますので、これでどんな場合も正確に測ることができるということにはなりません。ただ熱拡散係数の影響による測定値の変化は比較的簡単に実測できます。より詳しいことは「サーミスタや白金抵抗温度計の自己発熱の影響を補正する方法」にあります。

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続・サーミスタで正確な温度を測るコツ - 基準抵抗(R0)、B定数、熱拡散係数、...

サーミスタ温度計の精度を調べる - 1
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