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2015年2月27日 (金)

ベース電流(IB)とベース電圧(VBE)、コレクタ電流(IC)の関係を調べてみた - 積分回路とMCP3208を使う

ベース電流と電圧(pn接合の電圧降下)のまとも(?)な関係は

  「ログアンプ - ベース電流(IB)とベース電圧(VBE)の関係

にあります。

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コレクタ電圧とコレクタ電流の関係は(ちょっと手間取りましたが)「続々・コレクタ電圧(ICE)とコレクタ電流(IC)の関係を調べてみた - 積分回路とMCP3208を使う」で一応の決着を見ましたので次にベース電流とベース電圧、ベース電流とコレクタ電流の関係を見てみます。
この二つは同時に測定することができます。

現在構築中の自動計測システム(?)のテストを兼ねています。
  (「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ - ハード編

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今回はコレクタ電圧を固定しておいてベース電流を変化させる仕組みが必要になりますが、ベース電流を変化させるところはこれまでのものをそのまま使えます。コレクタ電圧を固定するところだけ追加すればいいはずです。
実験回路はこうしました。
Vceicccircuit

コレクタ電圧を固定するところはボルテージフォロアの出力を使います。出力電圧はVin+に入力された電圧とイコールになり出力抵抗も実質0になるのでVin+の入力電圧を可変抵抗で決めれば済みます。
今回はコレクタ電圧はひとつのケースでしかやらないことにしたのでベース電流の最大値を決めるための可変抵抗の分圧をそのまま利用してしまいました。コレクタ電圧を変えて実験したい場合は別に可変抵抗を用意すればいいです。

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ベース電流に対するベース電圧とコレクタ電流のグラフです。
Vceiccibvbeic_2


コレクタ電流はベース電流に比例して増加しています。この傾きは10μAに対し1.8mAになっているので180ということになり、これがhFEということになります。

ベース電流が小さいときコレクタ電流がベース電流に比例していません。これはおそらく差動増幅器の回路定数のバランスがとれていないのだと思います。
今回使った差動増幅器は教科書でよく見かけるもので原理的には確かに差動増幅器なのですが実際の回路で差動増幅器として機能するかというとちょっと疑問を感じてしまいます(信号源の出力インピーダンスを考慮する必要があり、PICのDAコンバータ出力のように出力インピーダンスが動的に変化するものだと手のうちようがありません)
差動増幅器については「インスツルメンテーションアンプ」というテーマでまた別に記事にしたいと思います。

ベース電圧はベース電流が増えても0.4Vくらいから頭打ちになります。せいぜい0.7Vくらいまでしか増えていません。急カーブの曲線になっていますが、これは
  「pn接合の順方向電圧(VBE)と電流(IB)の関係
  「pn接合の理想係数を測る
の記事に書いたようにベース電流を対数で表せば直線になるはずです。対数グラフを作ってみました。
Vceiccibvbe

残念ながら直線になっていません (^^;;

この原因はベース電圧の測定の仕方が悪かったのだと思います。
今回ベース電圧を直接測定していますが、ベース電流が小さいときでもベース電圧はけっこうあり、つまり内部抵抗が高いわけでADコンバーターの入力抵抗で誤差が発生してしまったのだと思います。

これに対する対策は二つおもいつきます。

一つは次のような回路を使う方法です。
Vceicb1circuit

この回路ではR11での電圧降下を測定してまずベース電流を求めます。そしてそれから今度はR2の電圧降下を計算します。R11とR2の中点の電圧からR2の電圧降下を引いたものがベース電圧になります。こうすればADコンバーターの内部抵抗の影響を受けずにベース電圧を測ることができるはずです。

もうひとつの方法は
  「自動平衡ブリッジの原理と回路の作り方
に書いた自動平衡ブリッジの手法を使う方法です。これは単にベース電流とベース電圧の関係だけ求めたいというときの方法にはなりますが、比較的正確な測定ができるものと思います。

今回の実験はこれで打ち切りにしベース電流・電圧の関係は自動平衡ブリッジを使った方法を新たに記事にしたいと思っています。

   ===> 「ログアンプ - ベース電流(IB)とベース電圧(VBE)の関係
        (無事直線的なグラフが得られました)

前記事と今回の記事を書くために使った全実験データ
ぜんぶのデータを採るのに20分強かかっていますが、これは必要のない周波数測定を行っているためで実際はこの半分以下の時間で同様のデータを取得できるはずです。
Photo_2

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測定装置の全体像について
  「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ - ハード編
  「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計のソース - main()

電圧を作りだしている方法について
  「VFコンバータ(VCO)の製作(3) - 自動周波数特性測定器に向けて

MCP3208による電圧測定について
  「PIC18F26K22でSPI - 8ch/ADコンバータ MCP3208の使い方(ソース付き)

SDカードへの記録について
  「PIC/I2C大気圧センサーLPS331APの測定値をSDカード(SPI)に記録する - はじめに

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