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2015年2月 7日 (土)

Excelで解く過渡現象 - LCR回路

微分方程式とか持ち出さずにLCR回路でどういう現象が起きるかExcelで解いてみようという企画です。

実質的には微分方程式を解いているのと同じことになるわけですが....

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過渡現象のことをちゃんと知りたかったらググって断片的な知識を得るより教科書でちゃんと勉強した方がいいです。本屋さんに行けばいくらでもありますが、ネットでも閲覧できるものがあります。

  「第9章 過渡現象」  <== URLが違っていたので訂正しました。すみません m(._.)m

東京都市大学 工学部 電気電子工学科のもののようです。たどり方がよくわからず教科書がたまたま閲覧できる状態になっているのかもしれません。

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まずこのような回路を考えます。
Cm

そしてこの回路にある時間までは回路にかかる電圧で突然1Vが加えられたという状態を想定し、1/100000秒ごとにどのように回路の状態が変化していくかを考えてみました。


まず記号を定義します。

t: 経過時間
E: 回路に加えられている電圧
I: 回路に流れる電流
ER: 抵抗の端子電圧
EC: コンデンサーの端子電圧
EL: コイルの端子電圧

Δt: 時間の刻み、今回は1/100000秒

上の記号に数字をつけ回路に電圧が加えられてからのΔtを単位にした時間経過を示します。

例えば
t0: 電圧が印加された時刻
t1: 電圧が加えられてからΔt秒後の時刻、以下同様
tn: 電圧が加えられてからΔt*n秒後の時刻
ER10: t10における抵抗の端子電圧
ECn: 電圧が加えられてからtn後のコンデンサーの端子電圧

--------------

まず回路に使われている素子がどのような性質を持っているか考えます。
抵抗の抵抗値をR、コンデンサーの静電容量(キャパシタンス)をC、コイルのインダクタンスをLとします。

回路を構成するL、C、Rそれぞれの端子電圧を合計したものは回路に加えられた電圧Eに一致します。またL、C、Rにはそれぞれ同じ電流が流れます。
  <==  キルヒホッフの法則

抵抗:
    ERn = R * In です。これ以外何もないです。

コンデンサー:
    流れ込んだ電流の総量に比例する端子電圧になります。
    つまり電流が流れこむとその分電圧が上がっていきます。

    tn-1における端子電圧がECn-1、回路の電流がIn-1だとすると
      ECn = ECn-1 + (In-1 * Δt) / C
    となります(正確に書くと“と考える”なのかも)
    In-1 * Δt はΔtの時間にコンデンサーに流れ込んだ電荷の量です。
    これを静電容量Cで割った分だけ電圧が上昇するわけです。

コイル:
    端子電圧は流れる電流の変化に比例します。
    つまり  ELn = ( In - In-1 ) / Δt * L となるのですが、これを変形して得られる
      In = In-1 + ELn / L * Δt
    を使います。なぜかというとこうしないと計算が進められないからです (^^;;

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これらを整理し次のように計算していきます。
すでにtn-1での計算が終わっているものとします。

    ERn = In-1 * R
    ECn = ECn-1 + (In-1 * Δt) / C
    ELn = E - ERn - ECn
    In = In-1 + ELn / L * Δt

これでtnにおける電圧電流がぜんぶ求まりました。次にtn+1の計算を行います。

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以上のような計算をExcelのシートにして計算してみました。

    「ダウンロード LCR.xls (64.5K)

そしてグラフにするとこんなことになります。
Excel


ついでに同じ条件でLTspiceでシミュレーションしてみました。
Ltspice

同じ条件で実験したものもあります。
3

上がコイルの端子電圧、下がコンデンサの端子電圧です。

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コメント

どうも教科書にうまく飛んでくれないようです(ノ_<)
交流のところがもう少し分かってきたら過渡現象にも進みたいです。

ご指摘ありがとうございます m(._.)m
URLが間違ってましたので訂正しておきました。
過渡現象は難しいと言えば難しいですがコンデンサーやコイルの本質がどういうものかわかってくれば直感的に理解できる部分もあります。
焦らず少しずつ進みましょう (^^)

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