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2015年2月 8日 (日)

もっとも波形がきれいなウィーンブリッジ発振回路 - 1

ウィーンブリッジ発振回路で波形をきれいにしようとすると振幅制限が必要なのですが、これがけっこう問題です。

よくFETが使われるのですがどうしても高調波が残ります。FET自体がもつ非直線性が問題なようです(「ウィーンブリッジ発振回路の振幅制限には使えそうにないFET?」)
他にもいろいろ試してみましたがなかなかうまく行きません(詳細は記事末尾にリンクがある記事にあります)

そこで今回は素子の直線性に問題がなさそうな古典的な方法__なつめ球__を使ってみました。

とても美しい正弦波を得られました。しかし問題も残されています。

  ===> “解決編”が「もっとも波形がきれいなウィーンブリッジ発振回路 - 2」にあります。

=====

実験中の様子です。
Imgp86761000

強引にリード線をはんだづけして使っています。こうやって見るとナツメ球は巨大です (^^;;

波形
Natsumewave

これじゃよくわからないのでスペクトラムを見てみます。
Natsumespectrum_2

美しいです。これPICで作った「PIC16F1705の8ビットDACを使って(実用的)正弦波発振器を作る」の波形より美しいです。わずかに第三高調波が見えるだけです。


------

なぜナツメ球が振幅制限に使えるかと言うとその抵抗値が温度によって__つまり流れる電流によって__大きく変わるからです。

ナツメ球には100V、5Wと表示してあります。これから計算すると抵抗値は2kΩです。でもDMMで測ると200Ωしかありませんでした。これは白熱電球の特長です。

試しに5Vの電池につないだら17mA流れました。300Ωです。このあたりが使えそうです。

一般的(?)なウィーンブリッジ発振回路はこうです。
Wbfet

この回路のR4と2SK30のところをナツメ球に変えるだけです。ダイオードで出力電圧を検出する部分なんかも不要になります。

つまりこうなります。
Natsumecircuit

250Ωくらいで使うとすると帰還抵抗R5は500Ωということになります。かなり電流が流れますので注意が必要です。負荷が重くなると電源電圧に対する出力振幅が小さくなるので電源電圧は高めにとっておいた方がいいでしょう。電力損失など問題ないか確認も必要です。

現在帰還抵抗500Ω~550Ωくらいのところでテストしています。

上に書いたように得られる波形はすばらしくきれいです。ただ一点大問題があります。電源投入時や周波数を変えたとき出力振幅が激しく変動し落ち着くまで十数秒かかります。さらに安定しきれないようです。

回路定数を変えたり回路構成を工夫することによって安定させることができるのか?
今はそれが課題です。

(「もっとも波形がきれいなウィーンブリッジ発振回路 - 2」へ続く)
------

  「もっとも波形がきれいなウィーンブリッジ発振回路 - 1」 (この記事)
  「もっとも波形がきれいなウィーンブリッジ発振回路 - 2

  「ウィーンブリッジ発振回路の帰還量(増幅率)と波形の関係
  「ウィーンブリッジ発振回路の発振条件 - Excelで複素数の計算
  「ウィーンブリッジ発振回路の歪率(高調波歪)を小さくする工夫
  「“ふつう”のサーミスタをウィーンブリッジ発振器のリミッタ(振幅制限)に使う方法
  「“ふつう”のサーミスタをウィーンブリッジ発振器のリミッタ(振幅制限)に使う方法 (2)
  「ウィーンブリッジ発振器の振幅制限には使えそうにないCdS
  「ウィーンブリッジ発振回路の振幅制限には使えそうにないFET?

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コメント

すごく美しい正弦波ですね。
振幅制限になぜ使えるのか原理はよくわかりませんが(FETのときから^^;)、温度と抵抗の関係グラフ上にウィーンブリッジにとっての安定点があるということなのでしょうか?
次々に目標が遠のいていく感じです^^;

発振すれば(振幅がよほど大きくない限り)この波形ですからFETで苦労したのがバカみたいです。
発振が大きくなればナツメ球で消費される電力が増え抵抗値が上がる==>増幅度が下がる
小さくなれば消費電力が減り抵抗値が下がる==>増幅度が上がる
====> けっきょく一定のところに落ち着く
はずなんですが、細かい振動がずっと続いているようです。増幅度調整のループでも発振している感じです。
安定する点はあるんだろうかと不安になっています (^^;;
実用だったら多少歪んでいても安定性重視で行ききれいな波形が必要だったらローパスフィルターを通す、というのが現実的かもしれません。
もう完全に趣味の領域です (^^;;

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