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2015年2月22日 (日)

超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sを使った周波数カウンターの限界

超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sを使った周波数カウンターの実力」でAging Offsetの機能を使うとDS3234Sの1PPS出力を使った周波数カウンターの測定値が0.05ppm(20MHzの測定に対して1Hz)くらいまで向上するようだということを書きました。

今回このことについてもう少し詳細に調べた結果を書きます。ただ途中まで読んで否定的な印象をもたれる方がいらっしゃると困るので最初に結論を書いておきます。

1.  そのまま使ってもデータシートにあるとおり2ppm(20MHzに対し40Hz)の確度は確実に確保できるものと思われます。

2. 室温での使用については校正した上で注意して使えば1ppm以下の確度も期待できそうです(もう少しがんばれそうな気もします)

3. 校正はGPSの1PPS出力と比較するか、RTCの機能を用いて時刻の進み遅れをチェックします。

4. 校正した結果を測定結果に反映するためにはAging Offsetの機能を使います。Aging Offsetの機能を使った場合低温(10度以下)、高温(35度以上)での精度が悪化するものと予想されます。

5. 急激な環境温度の変化には弱いのでその点には注意してください。

6. じつはそれなりの水晶発振器を使った方が確度の高い測定ができるかも....

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超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sを使った周波数カウンターの実力」では周波数の分解能は1Hzでした。測定対象周波数が20MHzですから0.05ppmの分解能ということになります。ゲートタイムを16秒にしてさらに周波数分解能をあげて測定してみました。
02220730ds3234s16s

これは前回と違ってAging Offsetに値(24)を設定していますので測定結果はかなり正しい値(GPSの1PPS出力で測定したものを“正しい値”と考えています)

これを見るとDS3234Sの1PPS出力を周波数測定に使った場合急激な温度変化が問題になりそうなことがわかります(このケースについて言えばAging Offsetの値を大きくしすぎておりもう少し小さい値を使えば正しい値に絡むようなグラフになったと思います)

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急激な温度変化と書きましたが上の例は30分で1度の変化ですからたいしたことはありません。もっと急激な変化があったらどうなるか調べてみました。外に放り出したら10分間で10度下がりました。
02220848ds3234s10deg

今回は上に述べた現象が盛大に起きています。最初はGPSでの測定値とほとんど同じだった周波数が一時的に25Hzも大きくなっています。温度が落ち着くにつれ表示も落ち着いていきます。
なお落ち着いたと言っても最後の方では実際の周波数より10Hz高くなっています。最初に書いたようにAging Offsetを使った場合10度以下では急激に精度が悪化するようなのでそういう意味ではこれは最悪のケースでの結果ではないかと思います。

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ところでこのグラフを見て気づくのは測定対象にしている秋月で買った水晶発振器「クリスタルオシレータ(20MHz)SG-8002DC(3.3V)」の堂々たる周波数の安定ぶりです。

10度以上温度が変わったのに発振周波数は3Hzくらいしか変化していません。温度係数でいうと0.015ppm/Kということになります。

これで周波数カウンターを作って周波数の偏差分補正した方が正確な周波数カウンターができるんじゃないでしょうか (^^;;

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