超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sを使った周波数カウンターの実力
高精度をうたう製品も多いですが“超高精度”とまで書くのはめったにみかけないような気がします。ちなみに秋月電子通商さんの検索窓で“超高精度”を探したらこの製品を含め二つしかありませんでした。
先日書いた「GPS/RTC(DS3234)の1PPS出力を利用した超高精度周波数カウンター」を使いどのくらい“超高精度”なのか調べてみました。
DS3234Sは発振周波数のトリミングが可能です。室温で使うのであればこの記事にあるよりさらに一桁近く確度を上げられると思います。
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いくら精度を調べると言っても正確な周波数源があるわけではないので20MHzの水晶発振器の周波数測定結果をGPSの1PPS出力をタイムゲートに使った測定と比較することにします。
面倒なので両方を交互に測定し結果をSDカードに記録するようにしました。このような回路を用います。
NANDを四つ使った(つまり7400を使った)回路です。PICのRA4ピンの状態によて周波数測定用のT1Gピンへ接続される信号を切替えます。RA4がHighであればDS3234Sの、LowであればGM-5157Aの1PPSが使われます。
これで一回ごとに切り替えて測定するつもりだったのですが、じつはちょっとした手違いがあり2回ずつ交代で測ることになっています。
ちょっと動かしてみたらこんな結果が得られました。
途中に2点DS3234Sのデータにへんなのが混じっていますが、今の段階でこれがどういうことか判断するのはムリなのでここでは全体的な傾向を見ます。
GM-5157Aの周波数測定結果は測定開始時に19.999943MHzを、10分後の測定終了時に19.999945MHzを示しています。一方DS3234Sは19.999922MHzから19.999925MHzを示しています。
だいたい20Hz違っています。20MHzで20Hzの違いですからちょうど1ppm=100万分の一の誤差ということになります(DS3234Sのデータシートは摂氏0度~40度で2ppm以下と主張していました)
20MHzで20Hzの違いというのをどう感じるかは人によって違うと思いますが私はじゅうぶん高精度だと思います。この+1ppmというのはRTCが一日に0.09秒進み、一ヶ月で3秒くらい進むことを意味しています。
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GPS受信モジュールの測定結果は2回続けて測ったとき1Hz違っているものが多いですがこれはジッタなのかどうかまだわかりません。測定対象周波数が19.9999225MHzであればこういう現象がおきますから。
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ところで測定対象とした水晶発振器は秋月で買った「クリスタルオシレータ(20MHz)SG-8002DC(3.3V)」です。上の図からみるようにわずか-3ppmしか違っていません。この水晶発振器で周波数カウンターを作っても十分なような気もします。
この水晶発振器はスペックとしては±50ppmなのですがこれは-20~70度Cの範囲でということのようです。
引き続く測定を続けており、DS3234Sと水晶発振器の温度特性がどうなっているか調べてみたいと思います。
(「ほんとうに超高精度かもしれないRTC・DS3234Sを使った周波数カウンター」に続く)
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関連
「PICでSPI - 超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sの使い方」 (ソース付き)
「PICでSPI - 超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sの実装」
「RTC(リアルタイムクロック)の時刻を合わせる方法 - DS3234Sを例に」
「超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sは一ヶ月に0.2秒進む」
「超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sを使った周波数カウンターの実力」
「超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sを使った周波数カウンターの限界」
「測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧表)」
「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計のソース - main()」
「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)」
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