「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」を使ってみる - 1
秋月電子通商さんの商品カタログで“超高精度”で検索すると製品が二つヒットするということを先日書きましたがその一つがこれです。
秋月の製品説明には
周波数確度は1ppm以内に調整されています(工場出荷時)
とあり期待が高まります。また
外部制御端子により、±6ppmの範囲で調整できます
ともあり遊び心をくすぐります。たとえばこんなことに使えます。
「超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた」
「VCTCXO/VM39S5G+GPS/TIMEPULSE+PLLで0.01Hzの周波数偏差をめざす」
「GPS受信モジュールNEO-6MのTIMEPULSE出力の周波数安定度」
「標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作」
「JJY(標準電波/電波時計)に同期したTCXO(VM39S5G)の周波数安定度」
なお私が購入したのは12.8MHzのものです。ちょっと半端ですが秋月で店員さんに他の周波数はないか聞いたらSMDならあるとのことだったのであきらめてこれにしました。
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まず最初に問題になるのが出力レベルです。データシートには
Output Wave From: Clipped Sine wave. Wave form code is “S”
Output Voltage Level: 1.0 V p-p min
Output Format: DC block, AC coupled
とあります(“From”というのはヘンですがデータシートからそのまま引用したものです)
ちょっと扱いにくい感じですがとりあえずバッファを入れて使うことにします。
R1 2.7kΩ、R3 200kΩとしましたが、負荷が重いときはR1 1kΩ、R3 100kΩくらいの方がよさそうです。
データシートには
Output Load: 10kΩ // 15pF
とありますのでこれでもまあいいんじゃないでしょうか。もっとちゃんとしたいのですが手持ちの部品を使ってできるだけ簡単に作れるとなるとこれしか思いつかなくて....
なお右側の端子の説明に“(buffered)”と書いてあるのはそのままPIC(18F26K22)のT1CKI端子に接続されているのではなくいったん同様のバッファを通してから接続されるからです。
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“周波数確度は1ppm以内に調整されています”と聞くと周波数測定にもおのずと力がはります。「確度0.0005ppmの周波数測定 - GPSの1PPS出力を使った高精度周波数カウンタ」で使った手法で測定精度(不確かさ)をあげます。
タイムゲート信号にはGPS受信モジュールの1PPS(データシートによれば精度 ±10nsRMS、少なくとも±100nsは確実に確保されています)としてゲート信号を16秒にします。これで分解能0.06Hz、不確かさ ±0.003ppmでの測定が可能になります。
上の図の左半分はタイムゲート信号を切り替えるためのマルチプレクサになっているのですが今回は使っているのはGM-5157Aの1PPSだけです。
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6時間ウォーミングアップをした上で周波数を測定してみました。
204800432/16 = 12,800,027.00Hz ±0.03Hz
27Hz、つまり2.1ppm上にずれていました。
データシートには
±0.3 ppm max. for a ±5% input voltage change
±0.3 ppm max. for a ±10% loading condition change
とあり、電源電圧は10%くらい(?)高め、負荷は上に書いたように適当、で使っているのでこのくらい違ってもしようがないような気はするのですが....
まず電源電圧を5.00[V]±0.01[V]くらいに調整した上でまた測ってみたいと思います。
==> 発振周波数の電源電圧による変化 - 「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」
けっきょく私の早とちりでちゃんと1ppm以内に収まっていました。
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この実験を行っている“装置”については
「PIC+SPI+I2C 技術要素一覧表(自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ)」
にあります。
そのほかの関連記事(とそのリスト)
「「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」を使ってみる - 1」
「発振周波数の電源電圧による変化 - 「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」」
「VM39S5G(VCTCXO)の外部制御電圧と発振周波数の関係 - 超高精度・温度補償型水晶発振器」 (この記事)
「VM39S5G(VCTCXO)を使ってみた - 2 - 電源電圧」
「超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた」
「標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作」
GPS/RTC(DS3234)の1PPS出力を利用した超高精度周波数カウンター
確度0.0005ppmの周波数測定 - GPSの1PPS出力を使った高精度周波数カウンタ
ほんとうに超高精度かもしれないRTC・DS3234Sを使った周波数カウンター
超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sを使った周波数カウンターの実力
超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sを使った周波数カウンターの限界
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