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2015年3月10日 (火)

微小インダクタンスの測定 - 1 - μH以下の測定をめざして

タイトルにあるとおり数μHあるいはそれ以下のインダクタンスを測ろうという試みです。
正直手こずっています。

=====

測定方法は「微小インダクタンス測定に向けての試み」に、その原理は「インダクタンスのとっても簡単な測り方」に書いたとおりです。通常のCRではなくLRを使って構成した“555”発振器の発振周波数の変化からインダクタンスの増減を測定します。

抵抗Rには1kΩを使います。この抵抗が小さいほど発振周波数が下がるので測りやすいのですがさすがに1kΩ以下は(回路に流れる電流が大きくなるので)ちょっと抵抗があります。300Ωくらいだったら行けそうですが。

発振周波数を決めるためのコイルLには約500μHのものを用意しました(なぜ“約”なのかというと可変インダクタしかなくて“工場出荷時のインダクタンス:約500μH”と書いてあったからです)

今回は回路図だけでは不十分だと思うので写真も紹介します。
(クリックすると拡大されます)
Imgp87541200

手を近づけたり触ったりして回路に影響を与えることがないようにL1の追加はリレーを使っています。測定対象はフェライトコアにブレッドボード用ジャンパーを巻きつけて作ります。写真は“2T”になっています。

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こういう測定結果が得られます。
21_2

L1(測定対象インダクタ)を入れる前の周波数をf1、入れた後の周波数をf2とすると

  L1 ≒ L * ( f1 - f2 ) / f1

でインダクタンスが求まるはずです。巻き数ごとのインダクタンスを求めてみました。

  1T  3.6μH
  2T  4.7μH
  3T  9.8μH


巻き数が増えるとインダクタンスが増えますが増え方がヘンです。

------

測定対象としているインダクタンスはとても小さいのでちょっとしたことで結果が大きく変わるはずです。
2c

左側の回路を想定しているわけですが、L1は配線やリレーを介して接続されています。そうすると右側のような等価回路が考えられます。

そこでL1なしで__つまりショートして__測定してみました。
Imgp875312001

これが上のグラフのいちばん右側の“0T”のところです。
これはL1をショートしL2のインダクタンスを測っていることになります。

結果は 3.1μH となり意外に大きなインダクタンス値を示しています。

上の等価回路だとするとこれを最初の測定値から引けばよさそうです。そうすると

  1T  0.5μH
  2T  1.6μH
  3T  6.7μH


となります。なんとなくもっともらしい結果です。

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自分に都合のいいように等価回路を考えた、と見えなくもないです。S1にも直列にインダクタンスが入っていると考えなければ釣り合いがとれません。
またLは6.5Ω程度の直流抵抗をもっており、またあちこちに浮遊容量があるわけでこれらがどう影響するかも検討する必要があります。

現在のところ、測れるような気がする、というところでしょうか。

補足

2Tのケースについては周波数測定10回の平均を見ると

  短絡時の周波数  708,981Hz ±16Hz (1σ)
  測定時の周波数  702,362Hz ±15Hz (1σ)

でした。これからすると1/10000以上の分解能があります。つまり今回の実験だと0.05μH以上の分解能があるということになります。
もっとも何の(どこの)インダクタンスを測っているのかというのがよくわかりませんが....
また分解能が高いというだけで得られたインダクタンスの不確かさとなるとそれは別問題です。

------

関連記事

  「インダクタンスの測り方・まとめ

  趣味の測定(?) (ほんとはこれまで書いた記事の一覧です)
    (各種の測定に関する記事の一覧が記事の最初にあります)

  PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)
    現在作成中の装置の概要と技術要素ごとの記事へのリンクがあります。
    周波数カウンタについては
    「GPS/RTC(DS3234)の1PPS出力を利用した超高精度周波数カウンター」    

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コメント

1回巻いただけでも結構大きなインダクタンスになるのですね。
リレーで遠隔操作できるのはいいアイデアですね。きっとソリッドステートリレーですよね。
私は電磁式のならもってるのですが、この場合は回路へ大影響になりそう^^;
やるとしたらPICでタイマーかけてOn/Offですかね。
もうデータシートをお読みかも知れませんが、dsPICはDO、REPEAT命令があってさらにそれ専用のレジスタがあって均一なループ内命令実行ができるみたいです。他にもコールフレームやらPUSH・POPなどもう普通のCPUですね。

いえいえ、これはただの電磁式リレーです。
磁心があるからそんなにもれていないんじゃないかという思い込みでやってます。
直流で動いているわけだし特に問題ないんじゃないでしょうか (^^;;
ON、OFFの動きを逆にすれば影響がわかりますね。影響があるなら磁心のある500μHの透磁率の変化なのかも....
dsPIC、すごいですね。最近のものだともっとすごいということなんでしょうか。
もうキリがないですね。少し高くてもオールマイティー的なものがあるといいのですがどうも帯に短し襷に長しという感じがします。
12bit以上のADC、10bit以上のDAC、32bitタイマーが構成できる、SIP,I2Cがいっしょに使える、32kとか64kのメモリーくらいでいいんですが。

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