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2015年3月 4日 (水)

周波数特性自動測定装置 - 1 - はじめに(LC直列共振回路の共振周波数)

アンプの周波数特性とかLCR回路の周波数特性を自動的に測るということを以前から考えていました。周波数を少しずつ変えながら電流なり電圧なりを測るというのは“人力”でやるのは疲れます。
“スタート”ボタンを押して放っておけば周波数を変えながら測定した結果をSDカードに保存してくれるという“システム”です。あとは記録されたファイルをExcelで読みこめばすぐにグラフを作れます。

=====

こういう装置を作成するのに必要な技術要素には次のものがあります。
1. 外部からの電圧などで周波数が変わっていく正弦波発振器
2. 発振周波数を測定する周波数カウンタ
3. 信号レベル(と位相)を測定する(ベクトル)電圧計

このうち3.はずいぶん前に作りました。
  「交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方

最近ベクトル電圧計として使えるものも作りました。
  「ちょっと凝った交流電圧計(ミリバル)の作り方 - 1

2.に関しては最近進展がありました。
  「確度0.0005ppmの周波数測定 - GPSの1PPS出力を使った高精度周波数カウンタ

今回の件にはあんまり意味がありませんが温度補償型水晶発振器の温度係数(12.8MHzに対し0.44[Hz/℃]の変化)を測定できるだけの精度(分解能+確度)があります。

で、1.が問題でした。必要とされる条件は

  A. 周波数に無関係に振幅が一定であること
  B. 低歪率(高調波がほとんどないこと)
  C. (外部から電圧などで)周波数を連続的に変化させることができること

などがあります。この三つを満たすものを作るというのは“趣味の電子工作”レベルだと意外に難しいです。A.とB.を満たすものは作れました。
  「PIC16F1705の8ビットDACを使って(実用的)正弦波発振器を作る

ウィーンブリッジ発振回路などと比べると波形はきれいで発振周波数や振幅は完璧に一定しているのですが残念ながらC.の条件を満たすことができません。発振周波数が“離散的”になってしまいます。

“周波数特性自動測定装置”の完成もまだまだ先かと思っていたのですが、最近ほよほよ さんが上の三つの条件をあっさりクリアする画期的なアイデアを記事にされました。
  「周波数可変な正弦波発生回路

まだまだ遠い将来の目標と思っていたものが突然現実のものとなりました。

これから“周波数特性自動装置”について何回かにわけて書こうと思っていますが、どういうことができるかだけ先にお見せしたいと思います。

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インダクタンスの測り方 (4)」で直列共振回路の共振周波数からインダクタンスを求めるということをやったのですがそのときはウィーンブリッジ発振回路を使いました。
この方法は発振回路の発振周波数からインダクタンスを求める方法とは違ってESRの影響を受けないというメリットがあります。ただそのときの実験はなんとか結果らしきものは出したのですが出力振幅が安定せずもやもやした感じで終わってしまいました。

そこで今回作成したものを使って再度実験してみました。
Lcrser_3

途中に段差みたいなのがありますが、これはできるだけ一様に周波数が変化するように途中で周波数を変化させるための電圧を作っている積分回路に入っている抵抗を取り替えたところです。

こうやって結果をグラフを見ると完全に余計なことをしてしまいました。いちばんたいせつなピークのところでそれをやってしまっています (^^;;

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  趣味の測定(?) (記事一覧)
    (各種の測定に関する記事の一覧があります)

  PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)
    (実験に使った“装置”の概要と技術要素ごとの記事へのリンクがあります)

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趣味の実験」カテゴリの記事

コメント

完成(?)おめでとうございますヽ(´▽`)/
周波数特性自動測定装置!すごいです!カッコよすぎです!

装置にかけて放っておけばSDカードに記録できて、結果をそのままエクセルで読めてグラフが出るということですよね。半導体メーカーもこんな感じで製品の性能測定してるのかも。

グラフに段差があるもののピーク周波数の位置の特定には影響なさそうな気もしますね。
根気が足りない私だと荒い測定でパラボラフィッティング(2次曲線ではなさそうですが)なんかで済ましてしまいそう^^;
この装置、次々精密に測れるわけで実験が楽しくて夜も寝られないのでは^^

まだブレッドボード上での実験なのですがなんとかメドが立ちました (^^)
これもほよほよさんの大発明のおかげです。ありがとうございました m(._.)m
プロ用は内蔵ハードディクスに保存、イーサネットとかGPIBで転送、みたいな感じらしいです。
でもこれでも基本的な機能は同じですよね (^^;;
このグラフは500点くらいの測定結果から作っています。よほどの根気がないと手動じゃムリでしょう。
これから各部分を見なおして行くのですが、まず最初はミリバルのシングルエンド化でしょうか。
今回は間に合わず周波数の測定はフォトカプラを介して行っています (^^;;

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