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2015年3月 4日 (水)

一歩進んだ交流電圧計(ミリバル)の製作 - 1

以前とても簡単に作れ意外とちゃんと使えるミリバルの記事を書きました。
今回はそこまで簡単ではないのですがもっといろんなことに使えるミリバルについて書きます。

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交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方」の何が問題かというと出力がグランドから浮いていることです。テスター(DMM)に低電圧の交流電圧レンジがないから、とかDMMの交流電圧レンジは周波数特性が悪いから、という理由で使うのであればぜんぜん問題なく使えるのですが、例えば「周波数特性自動測定装置 - 1 - はじめに(LC直列共振回路の共振周波数)」みたいなので使おうとするととたんに困ってしまいます。

電圧をADコンバータ+PICで測定(+記録)しようとすると“測定対象回路+ミリバル”と“ADコンバータ+PIC”の回路の電源を別にするかアイソレートされたDC-DCコンバータを用意する必要がありめんどうです。

めんどうなだけなら我慢で済むのですが電源を二つ用意しても解決しないケースがあります。「周波数特性自動測定装置」では電圧を測るとともに周波数を測定する必要があります。周波数を測るとなると測定対象回路とPICの回路を直接接続しなければなりません。それができないので「周波数特性自動測定装置」のときは苦肉の策で周波数はフォトカプラーを介して測定しました (^^;;

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要するに出力がグランドに対する電圧として求められればいろんな悩みから解放されます。いわゆるシングルエンド出力が必要ということになります。

これはいろいろあるようですが、まず「新日本無線株式會社 半導体インフォメーション - オペアンプの応用回路例集」をのぞいてみます。このページは説明はないのですが基本的なオペアンプ回路がいろいろあげてありますので、うろ覚えの回路を確認するようなとき便利です。
ついでに書いておくと「新日本無線株式會社 半導体インフォメーション - よくある質問」もオペアンプのところなんかをひと通り読んでおくと役に立つ(=わけのわからないトラブルで悩む必要がなくなる)と思います。

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全波整流回路もありました。そのままだとどういう動きをするかわかりにくいと思いますので入力が+1Vと-1Vのときの動きを書き込んだものを用意しました。

+1Vのとき
Se011v

-1Vのとき
Se011v_3

要するに入力が+1Vでも-1Vでも出力は+1Vになるということで全波整流ができてしかもそれがグランドに対する電圧として得られます。

数式を見ないとなんとなく落ち着かないと言う方はこちらをどうぞ。
  「東北学院大学 工学部 機械知能工学科 熊谷研究室 オペアンプで始めるアナログ回路

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入力が+のときの出力は
  Vout = Vin * R5 * ( R2 / ( R1 * R3 )  - 1/R4 )

入力が-のときの出力は
  Vout = - Vin * R5 / R4

となり、これらから

  R2 * R4 / (R1 * R3) = 2

を満たせば全波整流(の平均値を求める)回路として働くことがわかります。

次の記事で実際の製作に入りたいと思います。

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ところで「新日本無線株式會社 半導体インフォメーション - オペアンプの応用回路例集」にはR5と直列に可変抵抗が入っています。これはおそらく出力電圧を正弦波の場合の実効値とするためでしょう。

それからR6とR7はバイアス電流対策だと思います。こういう場合入力抵抗と同じになるように設定します。もっともこれだけでバイアス電流が0とみなせる、なんてことにはならないわけでR6、R7の抵抗値にそんなに神経質になる必要はないでしょう。

(「一歩進んだ交流電圧計(ミリバル)の製作 - 2」に続く)
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  交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方
  ベクトル電圧計 - 複素数としての電圧・電流を測る方法 - 原理
  一歩進んだ交流電圧計(ミリバル)の製作 - 1 仕組み
  一歩進んだ交流電圧計(ミリバル)の製作 - 2 抵抗を選ぶ
  一歩進んだ交流電圧計(ミリバル)の製作 - 3 仮製作

  趣味の測定(?) (ほんとはこれまで書いた記事の一覧です)
    (各種の測定に関する記事の一覧が記事の最初にあります)

  PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)
    (現在作成中の装置の概要と技術要素ごとの記事へのリンクがあります)

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