« 金属皮膜抵抗(0.1%)の温度係数を測ってみた - タクマン電子 RN14C2B 10kΩ(千石電商) | トップページ | PIC16F1705のDAコンバータを使った正弦波発振器(発生器) - 改良版 »

2015年3月15日 (日)

秋月電子通商の金属皮膜抵抗器の話 - KOA MF1/4CC2002F 20kΩ

秋月で一袋(100本入り)100円300円で売られている金属皮膜抵抗器があります。単価で言うとかなりお安いので心配になるのですが、れっきとしたKOA株式会社の製品です。
秋月のサイトでは1%、100ppmとなっていますが、じつは温度係数は±50ppmの製品であり実際に測っても25ppm/K以下だったというのは「金属皮膜抵抗(茶帯)の温度係数を測ってみた - KOA MF1/4CC2002F 20kΩ (秋月電子通商)」に書いたとおりです。

今回は抵抗値のバラ付き具合はどんなものだか調べてみました。

=========

抵抗値を測るのには抵抗計が必要なわけですが、あんまり精度のいいものはもっていません。三和電気計器のPC700というDMMで測りました。60.00kΩレンジの確度は±0.1%±3dgt.なので20kΩの抵抗の測定だと確度は±0.5%ということになります。それを頭に入れて以下読んでいただければと思います(とは言えタクマン電子の0.1%ものの10kΩ抵抗をこのDMMで測ったらちゃんと10.00kΩと表示されましたからそこまでひどくはないと思います)

-------

袋からぜんぶ取り出し(すでに使っているものを除き)97本の抵抗値を測ってみました。
Koa20k

抵抗値が19.96kΩ近辺に集中しておりほとんどばらつきがないことがわかります。標準偏差はわずか0.1%です。
(仮に私のDMMが正確だとすると)抵抗値は19.8kΩ~20.2Ωの間になければならないわけですが余裕でクリアしています。

先日「一歩進んだ交流電圧計(ミリバル)の製作 - 2」で交流電圧計やインスツルメンテーションアンプを作ろうとして抵抗の選別に苦労したのはいったいなんだったのだろうと悔やまれます。
交流電圧計ではできるだけ抵抗値が同じ抵抗が5本必要なのですが、0.01kΩまで一致しているという条件でもこの中から15組作れますし、0.1%以内ということであれば適当に5本抜き出すだけでもたいてい問題なさそうです。

------

関連記事
  「精密抵抗のお値段 - 抵抗器の精度と価格の関係

   「金属皮膜抵抗と炭素皮膜抵抗の温度係数を測ってみた - まとめ
  「金属皮膜抵抗(茶帯)の温度係数を測ってみた - KOA MF1/4CC2002F 20kΩ (秋月電子通商)
  「金属皮膜抵抗(紫帯)の温度係数を測ってみた - タクマン電子 10kΩ
  「金属皮膜抵抗(緑帯)の温度係数を測ってみた Linkman - 10kΩ
  「金属皮膜抵抗(緑帯)の(室温での)温度係数を測ってみた(暫定版)
  「金属皮膜抵抗(茶帯)の(室温での)温度係数を測ってみた(暫定版)
  「炭素皮膜抵抗の温度係数を測ってみた(暫定版)

  「自動平衡ブリッジの原理と回路の作り方
    (今回測定に使った方法です)

  記事一覧(天文、電子工作、測定)
    (各種の測定に関する記事の一覧が記事の最初にあります)

  PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)
    (今回の測定に使った装置の概要と技術要素ごとの記事へのリンクがあります)

 趣味の電子工作
    PIC
  趣味の気象観測
  趣味の実験
  時刻と時間
    GPS受信モジュール

« 金属皮膜抵抗(0.1%)の温度係数を測ってみた - タクマン電子 RN14C2B 10kΩ(千石電商) | トップページ | PIC16F1705のDAコンバータを使った正弦波発振器(発生器) - 改良版 »

趣味の実験」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、
セッピーナさんの記事に触発されて、秋月の金属皮膜抵抗20kΩ1%の
抵抗値を測ってみました。


50本測ってみると、分布が全く正規分布にならず、ほぼ19.96K±0.03KΩの
一様分布に見えてます。
つまり、実力値では19.96kΩ±0.15%の抵抗ということになります。


私の用途では、絶対値ではなく抵抗比が正確であることが
重要なのですが、温特が25ppmだと少し大きすぎるかな。
でも、価格が安いのでこれで試してみようと思ってます。


ちなみに、用途とは、きわめて正確な分圧器(1:10, 1:100)を作ることで、
温特さえよければ、1ppm以下の精度を実現することも不可能ではない
hamon register dividerという方法をとります。
これは、面白いトリックですので、ご興味があれば、
http://conradhoffman.com/HamonResistor.html
あたりをご覧ください。


測定は、手元の6 1/2桁のDMMで規格上は20KΩレンジで80ppmぐらいの精度が
あるはずですが、較正していないので現在の精度は不明ですが、他のDMMとの
比較で100ppm程度は保持できているように思えます。
分解能は0.1Ωで読めます。

では。

興味深いコメントありがとうございます m(._.)m
6 1/2、80ppmとはうらやましいものをお使いですね。たいていの場合問題になるのは電圧比、抵抗比なのですが、やっぱり不確かさの小さい測定器にはあこがれがあります (^^;;
それから分圧器の作り方もありがとうございます。これから読んでみます(英語は日本語の10倍くらい時間がかかるもので....)
ところで19.96kΩ±0.15%という結果はほとんど同じですね。
許容誤差というのはその範囲内にあることを保証するというような意味でしょうから不確かさの評価をするようなときは一様分布と考えるべきなような気がしますがどうなんでしょう。
それから温度係数は抵抗に限らず悩みの種ですね。炭素皮膜だと抵抗値によってかなり温度係数が違うようですが近いうち金属皮膜の1kと100kで確かめてみたいと思っています。
温度係数を考えるが面倒なので、PID制御風のミニ恒温槽を作って基準電圧源を入れてしまえ、みたいなことを計画中ですがまだ完成していません。

ある規格値を狙って作るような場合には、正規分布になる気がしますが、
調整によって規格を満たす場合はかならずしもそうならないかもしれません。
経済的理由から、不必要に細かくは追い込まずに、領域に入ったらOKという
調整を行うのが合理的でしょう。


だとすると、このKOAの抵抗が、19.96K±0.03KΩという結果から考えて、
トリミングは0.06KΩステップということになるのかなあ?


でも、なぜ20KΩを外しているのかがわからないところです。
ひょっとして、経年変化とか、はんだ付けの熱衝撃で抵抗値が
大きくなることを予期して小さ目に作っているとか、、


安定な電圧源ですけど、
変動要因は、温度だけではなく、経年変化もありますから、恒温槽内であっても値は変化します。

安定な電圧源としてはTIのREF102Cという埋め込みツェナーを使った
基準電圧ICで10Vを作るというのが、定番のようです。
1000円ぐらいですね。

これは、温度変動、長期安定性といった要因ではほとんど変動せず優秀です。
2.5ppm/度、20ppm/1000時間が規格です(メタル缶パッケージはもっと安定だが、廃品種)
この値を見ても、長期安定度は温度特性よりも大きな要因になりそうです。

ただし、自分で微調整しないと、10.0000Vというわけにはいかないのが欠点です。


規格だけ見ると、maxim のmax6350CPAが同程度以上によさそうなのですが、電圧源として自作した例はREF102Cの方が多いです。

ちなみに、6桁のDMMは、ヤフオクに出てるのを、必死に目利きすれば
2万円台で手に入ります。
その中でも、Agilentの34401Aは、長期安定性、電源投入直後の変動とかいろんな点で
よくできたDMMです。ただ、オークションだと、はずれを引く可能性が常にあります。
私はババを引いたこともある分、目は肥えました。
絶対的な安心感だと、新品を買うのが一番ですが、13万ぐらいしますから、、、


周波数計測についても、そのうち。。。

抵抗値の許容誤差は全温度範囲の変動まで含めたものというのがどこかのメーカの資料にあったような気がします。もしそうなら25℃近辺で(平均が)定格値になっていなくてもおかしくはないのかもしれません。
基準電圧源の経年変化って大きいんですね。DMMはちょっと買う気になれない(自分で作るのが目標 (^^;; )のですが基準電圧源はほしいです。
電圧値の不確かさが小さいことが要求されることはほとんどなく、あっても±0.1%も必要なことはないのですが安定性はとことん追求したいので来週になったらREF102Cが手元にあったりして.... (^^;;

セッピーナさん、

最近、抵抗の精度にはまってますが、秋月の金属皮膜を何種類か入手しました。
金属皮膜は店頭に置いてないので、店員に頼んで奥の棚から出してもらわないと買えません。

その時、時間がなかったのでよく確認せずに買ったのですが、2KΩだけは、
KOAじゃなくて、利久電器のRO-25CKFというものでした。
仕様によれば、温度係数がKOAの50ppm/度にくらべ、100ppm/度と大きいものです。
失敗しちゃったと思いましたけど、仕方ないことです。


で、家に帰って適当にTCRを測ったら(単に手で温めただけ)、全然抵抗値が変わらないのです。


あれ??って思って、ホットブローで100度ぐらいまで温めても0.01%ぐらいしか変わらない。
この変動も、TCRを測ったのか、抵抗と測定端子の間の熱起電力を測ったのかわからない状態。
2,3本測ってみてもみんな同じ傾向でした。


もしこれが本当なら、この抵抗のTCRは数ppmの実力値ということになります。誰も、保証してくれないけど。

貴重な情報ありがとうございます。
マルツの10本300円のLinkman以上の実力ではありませんか!
それはぜひ購入したいと思います。次の買い出し予定日まで在庫があればいいのですが (^^)
精度、精度、と言っていますが抵抗値が変化しないのがいちばんですからね。
ちょっとわくわくします (^^;;

手元にある金属皮膜の抵抗全部の温度係数をナンチャッテで測ってみました。
500KΩと1MΩは、秋月ではなく、同じKOAのシリーズを売っている千石での入手です(同じく1袋300円)


私には、セッピーナさんのようにまともな温度計測はできないので、ホットブロー(設定温度100度)を抵抗に当て、
最も抵抗値が変化した時の差分を記録し、元の抵抗との比をとりました(ppm表記)。
抵抗の温度が何度なのかは、分かりませんが、
室温(27度)を下限として、温度差70度ぐらいだと思います。


したがって、表記の値を70で割るとナンチャッテ温度係数(ppm/度)が得られます。
#有効数位1ケタと思ってください。


下記は、2KΩ以外は、KOAです。

1K 350ppm
2K 200ppm(利久)
5.1K 1900ppm(個体1)
5.1K 2000ppm(個体2)
10K 1500ppm
20K 1500ppm
51K 1200ppm
100K 430ppm
200K 2900ppm
500K 3900ppm
1M 1500ppm


1K,2Kの変化の小ささが目立ってます。
100Kの値が他と調和しませんが。再度測っても、だいたい同じです。


ちなみに、セッピーナさんが測った20KΩの温度係数が23ppmと書かれてますから、
上記の測定が超いい加減な割には近い値が得られています。(1500ppm/70度=21ppm/度)
# こういうのが一番怪しいのだが。


この調子で、上記の1KΩ, 2KΩの温度係数を算出すると、
5ppm/度と3ppm/度と言う驚異的な値になります。
にわかには信じがたい。

利久がすごいのか、抵抗範囲(1~2KΩ)は各社とも性能が良いのか?

ますますおもしろくなって来ましたね (^^)
炭素皮膜は抵抗値によって温度係数がかなり違うらしいですが金属皮膜も多少はそういう傾向はあるんでしょうね。
KOAの金属皮膜は20kΩの他に1kΩと100kΩを持っていましたので(私の場合は室温付近での微分温度係数ということになりますが)測ってみたいと思います。
結果が出たら新たに記事を書くようにします。
==> http://seppina.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/--koa-mf14cc100.html
     に1kΩの測定結果があります。

仕様値の温度係数には振り回されますね。タクマン電子の0.1%には(いい意味で)だまされました。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 秋月電子通商の金属皮膜抵抗器の話 - KOA MF1/4CC2002F 20kΩ:

« 金属皮膜抵抗(0.1%)の温度係数を測ってみた - タクマン電子 RN14C2B 10kΩ(千石電商) | トップページ | PIC16F1705のDAコンバータを使った正弦波発振器(発生器) - 改良版 »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ