オペアンプのオフセット電圧とバイアス電流の測定 - PIC16F1705
CMOS入力オペアンプのフェムトアンペア級のバイアス電流を測ろうというのが目標なのですが、まず手始めにPIC16F1705に内蔵されているオペアンプを調べてみました。
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「PIC16F1705のオペアンプの周波数特性」にPIC16F1705のオペアンプは“OPAxSP: Op Amp Speed/Power Select bit”の設定で周波数特性が一桁くらい変わるようだということを書きました。
だったら意図的にローパスフィルタ的な使い方をするのでもなければいつも“high GBWP mode”で使えばいいではないかという話にもなりますがじつはこのOPAxSPの設定によって周波数特性だけでなくその他の電気的特性も変わってくるようです。
こういう回路でオフセット電圧とバイアス電流を測ってみました。
こんなんで測れてしまうところがさびしすぎますが、結果はこうなりました。図の電圧計の読みです。
OPAxSP=0 | OPAxSP=1 | |||
S1 ON | S1 OFF | S1 ON | S1 OFF | |
OPA1 | -14mV | -19mV | 1mV | 26mV |
OPA2 | 9mV | 19mV | -3mV | 11mV |
“S1 ON”で“オフセット電圧”が、“S1 OFF”で“オフセット電圧+(-側の)バイアス電流 * 2MΩ”が測れます。
オフセット電圧が数mV~十数mV、バイアス電流(IB-)が数nA~十数nAになっています。
“OPAxSP=1”にしたら周波数特性はよくなるがオフセット電圧やバイアス電流が増える、という結果だったら納得できるのですがそうはなっていません。オフセット電圧は“OPAxSP=0”の方が増え、バイアス電流は“OPAxSP=1”の方が増えるようです。
「“S1 ON”で“オフセット電圧”」というのは間違っていますがこの値であれば誤差の範囲でしょう。
それからこのオペアンプの初段はOPA1の“S1 ON”のときだけバイアス電流の向きが逆になっています。オペアンプとしてはヘンな気がしますが、PICのオペアンプの入力は内部的にはいろいろつながっているみたいなのであんまり深く考えないことにします。
これが一般的な傾向なのか、私がテストしたものがたまたまこうだったのか、いくつかPIC16F1705を用意して調べてみればわかるわけですが、このオペアンプはいまのところ交流アンプとしてしか使っていないのでこれ以上テストする意欲がわきません。
ただOPAxSPの設定を変えるとこういう現象が起きるということは覚えておいた方がよさそうです。
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