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2015年3月31日 (火)

誤解している人が多そうなコンデンサの“ESR”の意味

コンデンサの抵抗分(抵抗的な要素)のことをESR=等価直列抵抗と言うわけですが、これをほんとに“ふつうの抵抗”だと思っている方もいらっしゃるようです。
じつはそうではないということをちょっと書きます。

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“抵抗”にはいろいろ特長があるのですが、その一つとしてその値が周波数に依存しないことがあります。

だからESRも周波数に依存しないと思っている方もいらっしゃるようですが、現実にはそうではないです。これは例えば「株式会社村田製作所 - コンデンサのインピーダンスESRの周波数特性とは?」を見ればわかります。

(低い周波数では)ESRは周波数が高くなるほど小さくなっていきます

ESRは一般的には周波数が高くなるに連れ一定値に近づきそこから反転し大きくなっていきます。

ESR=等価直列抵抗の“抵抗”の意味は“周波数に依存しない”ということとはちょっと違います。

(理想的な)コンデンサは電圧が印加されると電流が流れ電荷を貯め、印加される電圧が下がると電荷を放出します。つまりエネルギーのやりとりをするだけでエネルギーを消費することはありません。インピーダンスが1/jωCと純虚数になるのはそういうことを意味しています。

ところが実際のコンデンサは種類によって違いますがエネルギーを消費します。この“エネルギーを消費する”というのはインピーダンスでいうと R+1/jωC と表現されるということを意味します。インピーダンスの実数部分はエネルギーを消費し、虚数部分はエネルギーをやりとりするだけで消費しません。

この R がESRです。このRはコンデンサの中でエネルギーが消費されるということを言っているだけでそれが周波数とどういう関係にあるかは何も言っていません。

もっとも “R+1/jωC”という式を見ると“R”と定数っぽく書いてあるのでESRというのはふつうの抵抗だと思ってしまう人も多そうです。実際は“R(ω)”なわけです。

エネルギーを消費するものとしては“ふつうの抵抗”もあります。ただ“ふつうの抵抗”はエネルギーの消費量は周波数に依存しないわけでESRは周波数に依存するという時点で“ふつうの抵抗”とは違うことがわかります(とは言ってもリード線抵抗みたいに“ふつうの抵抗”に相当するものも含まれています)

コンデンサの中で起きる電力の損失を抵抗が原因だと仮定したとき、つまり電力の損失と同じだけの電力を消費する抵抗の値、がESRです。

特定の周波数で見たとき一見コンデンサと直列に抵抗が入っているように見えるわけですが、その抵抗の値は周波数が変化してコンデンサの内部で発生する電力の損失が変化するのにあわせて変化していくわけです。

これはインダクタでも同様です。インダクタの場合は巻線の抵抗によって消費される電力つまり銅損とコアの渦電流などによって消費される電力(つまり鉄損など)がありますが、この銅損と鉄損を合わせてものが抵抗に起因するものと仮定したときの抵抗の値がESRです。鉄損は周波数に依存しますのでインダクタのESRも周波数によって変化します。

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ところでなぜESRを“ふつうの抵抗”みたいに考えてしまう方が多いのかというと、たぶん電解コンデンサの特性も理由の一つではないかと思います。

電解コンデンサの(低い周波数での)ESRは周波数依存性があまりなく“ふつうの抵抗”のように振る舞うからです。

そういう意味では電解コンデンサ(の低い周波数での挙動)にしか興味がなければESRは“ふつうの抵抗”と考えてもあながち誤りとはいえないのかもしれません。

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以上です。ESRは何に起因するかという肝心なことが書いてなくてすみません m(._.)m

太陽誘電株式会社 - コンデンサ・インダクタ・EMCの基礎知識」は参考になると思います。つまりこの記事の“誤解している”というのは3ページに書いてあるようなことだと思い込んでしまって実際は5ページに書いてあるような挙動を示すことに気がついていない方がいるということを言っています。

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関連

  「記事一覧(測定、電子工作、天文計算
  「LCRメータの仕組みと作り方
  「自動平衡ブリッジの原理と回路の作り方
  「コンデンサーの容量とESR・誘電正接(tan δ)を測ってみた

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コメント

誤解してました^^;
ESRが周波数に依存するとは考えてませんでした。
私のもっている教科書では、水につけた電解コンデンサに交流を流して温度が上がらない実験で、電力を消費しないことを説明してます。
毎回ためになることばかりですo(_ _)oペコッ

これ、私も悩んだのですが“ESRの分だけ電力を消費する”という解釈がよくなくて“消費された電力が抵抗によるものと考えたときの抵抗値がESR”と解釈してすっきりしました。
こういうのは専門家・メーカーが素人向けに説明してくれればいいのですが、そういう方たちにはあたりまえすぎてわざわざ書くほどのことではないと思われているのではないかと思います。
じつはフィルムコンデンサのESR測定で予想外の現象が発生していてどう考えたらいいかわからず記事が書けなくなっています (^^;;

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