金属皮膜抵抗(緑帯)の温度係数を測ってみた Linkman - 10kΩ
精密抵抗と言われるような抵抗になると温度係数を測定するのもなかなかたいへんです。
測定対象は加熱し大きな温度変化を与えます。一方測定回路は室温に保たれておりそんなに大きな温度変化はありません。このことから測定回路には多少精度の悪い(温度係数が大きい)抵抗を使っても測定対象の温度係数を測れるのではないかと考えたのですが甘かったです。
測定回路を改善し再び温度係数の測定を行ってみました。
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抵抗器の温度係数についてはまとめ記事を作りました。
「金属皮膜抵抗と炭素皮膜抵抗の温度係数を測ってみた - まとめ」
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「金属皮膜抵抗(緑帯)の(室温での)温度係数を測ってみた(暫定版)」で“あやしい”500kΩの抵抗を使っているのはそういう抵抗値の精密抵抗の手持ちがないからです。
「精密抵抗のお値段 - 抵抗器の精度と価格の関係」をご覧いただければわかるように精密抵抗自体そんなに入手が困難というものではありませんが、精度が高くなるについてお値段もうなぎのぼりに高くなります。いろんな抵抗値のものを用意しておくというのはなかなかできません。
今回は回路を工夫してチャレンジします。
最初のオペアンプの帰還抵抗は10kΩに戻し、オペアンプを一個追加してこちらで分解能を上げるようにします。この構成であれば手持ちのものを使っても測定回路の抵抗をすべて精密抵抗(緑帯 0.5%、25ppm/Kあるいは紫帯 0.1% 50ppm/K)で用意できます。
また今回測定の対象にしている抵抗
「【LMFQ50S-103D】小型1/2W精密金皮抵抗 10kΩ (10本入り) 茶黒黒赤緑 」
は温度が数度変化したくらいではとても温度係数を測定できそうにないので加熱用ヒータ(75Ωの抵抗3本直列にしたものを4個並列)の電源を5Vから12Vに変更しました。
これで熱出力(?)は6倍くらいになり4個のうち2個を使うだけでも室温との温度差はこれまでの倍以上にできる加熱が可能です(「温度を一定に保つ方法 - ミニ恒温槽の作成に向けて(3)」参照)
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結果です。
グラフを見ればわかるとおり測定の分解能がぜんぜん足りてないです。
なんとなく“傾向”は出ているのですが....
やっぱり数百kΩの精密抵抗が必要なようです。
この結果を信じるとこの抵抗の温度係数は8ppm/K~19ppm/Kくらいです。
温度上昇時 15.3±3.3ppm/K
温度下降時 10.9±2.9ppm/K
テスタ(DMM)の1デジットはフルスケールの1/2000~1/6000くらいが一般的でしょう。500ppm~170ppmに相当しますのでこの抵抗の抵抗値を測ると温度が10度変わっても最後の桁が変わるか変わらないかくらいの変化だと思います(DMMの温度係数の方が大きいなんてこともあるかもしれません)
実験の経過です。
なお実験の最初、途中(温度の変化の向きが変わるところ)、最後でオフセットを確認したのですが0.002~0.003Vと一定していました。0.001Vが60ppmに相当するのですが....
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関連記事
「金属皮膜抵抗(緑帯)の(室温での)温度係数を測ってみた(暫定版)」
「金属皮膜抵抗(茶帯)の(室温での)温度係数を測ってみた(暫定版)」
「炭素皮膜抵抗の温度係数を測ってみた(暫定版)」
「自動平衡ブリッジの原理と回路の作り方」
(今回測定に使った方法です)
記事一覧(天文、電子工作、測定)
(各種の測定に関する記事の一覧が記事の最初にあります)
PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)
(今回の測定に使った装置の概要と技術要素ごとの記事へのリンクがあります)
「精密抵抗のお値段 - 抵抗器の精度と価格の関係」
(お金さえだせば温度係数がどうのこうのということに悩まされずに済みます)
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