MCP3425の精度を調べてみた - 16bitADコンバータの分解能
最近は測定結果をSDカードに保存しておいてあとでExcelで分析するというやり方なので電圧測定はもっぱらADコンバータを使うことになります。
前から気になっているのはADコンバータにはどの程度の精度(確度・不確かさ、分解能、直線性等)があるかということです。
今回はまず16bitADコンバータであるMCP3425の分解能を調べた結果です。
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測定方法はこんな感じです。
(それぞれのブロックの詳細は記事の最後にあるリンクをご覧いただければと思います)
まず制御電圧発生器で2Vくらいから毎分0.001Vくらいずつ低下していく電圧を作ります。
電圧の低下速度は(室温が変化しなければ、そして雑音を無視すれば)正確に直線的に低下するようになっています。
調べてみたらノイズがのっているようだったので電圧源とADコンバータの間には0.1μFのコンデンサーを入れてあります。
これだと丸一日かけても2Vから0Vまで低下させることができませんので6分間だけやってみました。これで8mVくらい電圧が変化します。
MCP3425の16bitという意味はフルスケール2Vで使ったとき0.0000625Vつまり62.5μVの分解能があることを意味します。結果を見ると2.00Vから1.99Vまで読み取り電圧もスムーズに低下しています。
赤いグラフはこのとき参照用に測定していた12bitADコンバータMCP3208の結果です。
こちらの方はなんとなく精度が悪く感じますが、4bitも分解能が違うのでとうぜんです。MCP3425と違ってかなりノイズがあるように見えますがデバイス自身のノイズか外部からのノイズかは未確認です。下のグラフを見るとわかるようにMCP3425の結果にはノイズらしきものはみあたらないのでデバイス自身のノイズのようにも見えますが、実際やっているとMCP3208の方がMCP3425よりノイズに弱いようですから外部からのノイズの可能性があります。
それからMCP3208の結果はMCP3425と比較して4mVくらい低くなっていますが、これはMCP3208の精度(確度)が悪いということではなく基準にした電圧源の確度が低いことを意味しているだけです。MCP3208は基準電圧を内蔵していないのです。
MCP3208については別に記事にしたいと思います。
上のグラフをを拡大してみます。
これは1.5分間の0.0025Vの動きです。
ここまで拡大すると分解能62.5μVでステップ的に変化しているのがわかるようになります。
この図で注目したいのはどのデータをとっても一つ前のデータの値と同じか小さくなっていることです。要するにノイズ的なものはほとんどないようです。線形近似した直線との差はあっても1デジットです。
この結果だけから、MCP3425は確かに16bitの分解能がある、とは言えないのですが、16bitの分解能があることを否定する結果は出なかった、とは言えると思います。
さらに測定電圧の確度や直線性についても検討して行きたいと思います。
(測定確度や直線性に関する記事に続きます)
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制御電圧発生器
「LC並列共振周波数からインダクタンスを求めるときの誤差」の最初の図の左端
16bitADコンバータMCP3425
「PICでI2C - ADコンバーター・MCP3425の使い方」
「MCP3425のもうちょっと詳しい使い方(ソース付き)」
「MCP3425の精度を調べてみた - 16bitADコンバータの分解能」 (この記事)
「じつはマイナスの電圧もちょっとは測れる16bitADコンバータMCP3425」
「ADコンバータでマイナスの電圧を測るとどうなるか? - MCP3425編」
「16bitADコンバータMCP3425とPICで作る白金抵抗温度計 - 1」
12bitADコンバータ
「PIC18F26K22でSPI - 8ch/ADコンバータ MCP3208の使い方(ソース付き)」
RTC
「PICでSPI - 超高精度SPIバスRTC(リアルタイムクロック)DS3234Sの使い方」
SDカード
「PICでSPI SDカードを読み書きする」
PIC18F26K22
「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)」
「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計のソース - main()」
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