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2015年3月11日 (水)

金属皮膜抵抗(茶帯)の(室温での)温度係数を測ってみた(暫定版)

この記事を読んで、なんだ金属皮膜抵抗と言ってもたいしたことはないじゃないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは誤解です。
この後“緑帯”(±0.5%)、“紫帯”(±0.1%)の記事を書くつもりです。それをご覧いただければ金属皮膜抵抗の“すごさ”を理解していただけると思います。


  ===> 「金属皮膜抵抗と炭素皮膜抵抗の温度係数を測ってみた - まとめ

ちゃんとした製品は茶帯(±1%)でも温度係数は良好です。

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温度係数は例えば25℃から125℃にあげたら抵抗値がΔR変化したときΔR/(125-25)として定義されます。この記事では例えば25℃から26℃にあげたらどれだけ抵抗値が変化するかというのを温度係数と言っています。だからカタログ値とは意味が違います。でもこっちの方が“実用的”じゃないでしょうか。

炭素皮膜抵抗の温度係数を測ってみた(暫定版)」に続き今度は金属皮膜抵抗の温度係数です。今回も暫定版になっていますが、理由は測定方法の説明を読んでいただければわかっていただけると思います。

測定対象の抵抗はいくつかの抵抗値の金属皮膜抵抗をパック詰めして売っていたのを通販で購入したものです。「一歩進んだ交流電圧計(ミリバル)の製作 - 2」にある写真をご覧いただければわかりますが“ちょっとあやしい”金属皮膜抵抗です。

最初に書いたとおり茶帯(±1%)に引き続き“緑帯”(±0.5%)版、“紫帯”(±0.1%)版を予定しています。この記事をご覧になって“がっかり”された方は期待してください (^^)

茶帯ももっと素性がしっかりしたものを入手し再度試して見る予定です。
  ===>  
金属皮膜抵抗(茶帯)の温度係数を測ってみた - KOA MF1/4CC2002F 20kΩ (秋月電子通商)

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まず結果を示します。
Aitendo10k100k

けっこう温度係数(の絶対値)が大きいです。ただ最初に書いたように温度係数は100度の温度範囲で定義されるものなのである温度での(微分)温度係数が大きいから(定義上の)温度係数が大きいということにはなりません。

この温度係数-330ppmは温度が3度変わると抵抗値は-1000ppmつまり-0.1%変化することを意味しています。25℃で10,000Ωだったら28℃では9,990Ωになるということになります。

私みたいに電流もそんなに流さず室温で使うのが前提という人間には“ちょっとどうにかしてほしい”と思わせる結果になっています (^^;;

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測定回路です。
Aitendo10k100k_2

この回路は「自動平衡ブリッジの原理と回路の作り方」で紹介したもので測定は「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)」に書いたものを使ってSDカードにCSVファイルで記録しています。

この回路ではRxの抵抗値はこの式で求められます。

  Rx = ( VRef - Vcenter ) / ( Vout / R1 - Vcenter / R3 )

この方法はR1を大きくすると(またVrefを高くすると)Rxの微小な変化をとらえることができることが特長です。

全体的に精度が要求されます。

RrefはLDOレギュレータTA48M033Fの出力です。このレギュレータの出力は温度変化が小さく「pn接合の順方向電圧(VBE)と温度の関係 -2 測定方法」にあるように電源にニッケル水素電池を使い5℃から20℃まで変化しても出力は3mVしか変化しませんでした(こういう電圧の測定は三和電気計器のPC700で行っています。このレンジの測定確度は(使用条件を満たして使った場合)± (0.08% rdg + 2dgt)です)

Vcenterは多回転半固定抵抗で作るのですが、仮にこの抵抗の温度係数がある程度大きくても分圧は一定に保たれるはず、と考えました。実際Vcenterは測定中±1mVの範囲に収まっています。

R3は緑帯の金属皮膜抵抗を使っています。これから記事にしますがこの抵抗はとても(室温での)温度係数が小さいものです。

R4が問題でじつは測定対象の抵抗と同じ型番の抵抗と思われるものを使っています。ただ室温はほぼ一定の状態で測定を行っているので仮に温度係数が大きくてもそれほど影響はないはずです。この抵抗についてはできるだけ早く緑帯あるいは紫帯に置き換える予定です(これがタイトルを“暫定版”とした理由です)

今回の測定中の容器内温度と室温のグラフはこうなっています。
室温はほとんどあんまり変化していません。
Aitendo10k100k2

このグラフから考えると仮にR4が測定対象と同じ温度係数だとしても結果に対する影響は数十分の一数分の一になっているはずです。

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関連記事

  「炭素皮膜抵抗の温度係数を測ってみた(暫定版)

  「自動平衡ブリッジの原理と回路の作り方
    (今回測定に使った方法です)

  記事一覧(天文、電子工作、測定)
    (各種の測定に関する記事の一覧が記事の最初にあります)

  PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)
    (今回の測定に使った装置の概要と技術要素ごとの記事へのリンクがあります)

  「精密抵抗のお値段 - 抵抗器の精度と価格の関係
    (お金さえだせば温度係数がどうのこうのということに悩まされずに済みます)

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