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2015年3月 7日 (土)

微小インダクタンス測定に向けての試み

ここでいう微小インダクタンスというのは1μHあるいはそれ以下のインダクタンスのことを言います

この記事は実際に微小インダクタンスを測定したということではありませんが、こういう方法でできるのではないかという方法を試してみました。

===> 実際に測定してみた、という記事は

    「微小インダクタンスの測定 - 1 - μH以下の測定をめざして

    です。

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前記事「インダクタンスのとっても簡単な測り方」に書いた方法ではあまり小さいインダクタンスの測定はできません。インダクタンスが小さくなると発振周波数が上がります。デバイスの発振周波数には限度がありますので、微小インダクタンスの測定では発振周波数を下げるために抵抗の値を小さくする必要があります。でもこれにも限度があります。デバイスが流せる電流にも限度があるからです。

そこで回路を少し変えます。
555smalll

S1が閉じてある状態では発振周波数はLとRで決まります。ここでS1をオフにするとこんどはL+L1とRで発振周波数が決まります。

L1がLの1/100の大きさであれば発振周波数は(だいたい)1/100下がります。これから微小インダクタンスL1の測定が可能なはずです。

この方法は発振周波数の測定分解能がどの程度あるかでどのくらい小さいインダクタンスが測れるかが決まります。もし必要とするインダクタンスの有効数字が1桁であれば測定分解能ギリギリのところまでのインダクタンスが測れます。

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Lに4.7mHのコイルを使い、L1にはフェライトコアに線材を一回巻きつけたものを使います。
抵抗は2kΩの金属皮膜抵抗にしました。

スイッチS1と書きましたが実際はブレッドボードでジャンパーを抜き差しするだけです。フェライトコアは線材の力で空中に浮いているだけという不安定な状態でした。

それでもジャンパーを抜き差しするたびに発振周波数が上下するのをなんとなく確認できました。

555smalll_2

L1の有無で60Hzくらい変化しているようです。このことからL1はLの60/221,000のインダクタンスを持つことが予想されます。具体的な値は1.3μHということになります。

この1.3μHが妥当かどうかはわかりません。フェライトコアに一巻きした場合のインピーダンスは10MHzで数十Ωというところのようですから、オーダー的には合っています。

今回は4.7mHのインダクタンスを使いましたが実際にはもっと小さいものも使えます。もしそれでもこれだけの周波数安定度が確保できれば1μH以下のインダクタンスも有効数字1~2桁であれば測定できないこともなさそうな気がしてきました。

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なおこのくらいの分解能を要求する実験になるとおそろしく微妙なところがあります。
測定開始時点で周波数が急激に上がっていきますがこれはおそらく抵抗に電流が流れるため発熱して抵抗値が変わって行くためではないかと思います。
また途中で周波数が大きく変化しているとことがありますがこれは手を近づけたため発生する浮遊容量の影響ではないかと思います。
そもそもコイルを二つ使っているわけですから相互誘導にも気を配る必要があります。

そういうことを考えるとこの記事の結論は「ひょっとしたら測れるかもしれない」程度のものです。

“急激に上がる”とか“大きく変化する”とか書いていますが、これはあくまで相対的なものです。“急激”とか“大きく“と言ってもその変化は発振周波数の1/10,000程度のものでしかありません。

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  「インダクタンスの測り方・まとめ

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    (各種の測定に関する記事の一覧が記事の最初にあります)

  PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)
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コメント

LMC555を使うことは考え付きませんでしたが、私も小さなインダクタンスのちょい足しで共振周波数が変わる方法を考えていたのでこれをみて少し後悔してます^^;
値のわかっている大きめの空芯コイルの中に小さなコイルを入れて、あえて相互インダクタンスで測るという方法もあるのではと思いました(空想レベル)。あ、でもこれはMRIに人間を入れるような感じで確立されている手法なのかも^^;

はい、これ仕組みは簡単なんですが実際にやるのはいろいろたいへんそうです。
私は(難しくなりそうなので)相互誘導は徹底排除の方針です (^^;;
ぜひ相互誘導版をお願いします。

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