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2015年3月22日 (日)

交流電圧計(ミリバル+高周波電圧計+ベクトル電圧計)の周波数特性

VFコンバータ(VCO)LT1799は外付けの抵抗の抵抗値で周波数を自由に変えることができます。これを使ってこれまで作った交流電圧計などの周波数特性を調べてみました。
周波数特性と言えばとうぜん正弦波で調べるべきなのですが、ここではLT1799の出力そのまま、つまり矩形波を使っています。調べられる方にとっては正弦波よりずいぶんと厳しい条件になると思います。

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これまで同じような記事を何度か書いていますが、今回の“調査対象”は三つあります。

1. オペアンプを使った全波整流回路

ふつう交流電圧計と言ったらこれになると思います。今回はもとの波形の2倍の振幅の半波整流波形を加えて全波整流波形を作る方式をとったものです。
以前記事にした「交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方」に比べるとちょっと複雑になりますが出力がグランドに対する電圧として得られるというメリットがあります。
一歩進んだ交流電圧計(ミリバル)の製作 - 1」から始まる記事で作成したものでオペアンプにはNJM2747V、ダイオードには1N4148を使っています。
実験結果は「交流電圧計(ミリバル)と高周波電圧計の周波数特性 - VFC(LT1799)の出力」にあるものを流用しています。そのためVFCと電圧計の間に072Dで作ったボルテージフォロアが入っているというところが他のとは違います(このボルテージフォロアが1MHzくらいだったら問題なく使えることは確認済みです)

2. 高周波電圧計方式

これは「交流電圧計(ミリバル)を作る - 高周波電圧計 - 1」に書いたものでダイオード(ショットキーバリアダイオード SD103A)と1000pFのコンデンサ2組で倍電圧整流回路を作ってあります。コンデンサの容量が大きいのはどちらかというと低めの周波数の測定を目的にしているからです。

3. ベクトル電圧計

これは「ベクトル電圧計・複素数としての電圧・電流を測る方法 - 原理」から始まる記事で書いたものです。もともとLCRメータに使う電圧とともに位相も測れる電圧計なのですが、二つの入力に同じ信号を入れると実効値の自乗が得られるのでただの交流電圧計として使うことができます。「四象限アナログ乗算器(マルチプライヤー)EL4083の使い方 - 1」にあるEL4083を使って作りました。

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結果はこうなりました。
10010m00

いちばんもっともらしい結果が出ているのは言うまでもなく高周波電圧計方式です。
数MHzのところから電圧が下がって行きますが、これは電圧計の特性ではなくLT1799の特性のような気がします。3.3Vで動かしておりその場合の最高出力周波数は20MHzとなっているのでだんだん出力電圧が下がってもおかしくなさそうです。
これはLT1799を5V(この場合30MHzまで出力可能)にしてどうなるか見てみたいです。

次にベクトル電圧計ですが、これは健闘しています。これまた数MHzのところまでフラットになっています。その後電圧が上昇して行くのですがこれは明らかにおかしいです。
矩形波の場合実効値は振幅(尖頭値)の半分になるので仮にLT1799がフルスイングの出力があるとしても電源電圧の半分(1.65V)を超えることはありえないからです。
使っているEL4083は動作条件によって周波数特性が違ってくるので、もっと詰めて行けば10MHzくらいまでは使えそうに思います。

最後にオペアンプを使った“ふつう”の交流電圧計なのですが、意外とパッとしません。
100kHzの手前から電圧が落ち始めてしまいます。以前「交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方」で作ったものは1MHz近くまで伸びていました(「簡単に作った交流電圧計(ミリバル)の周波数特性」)のでオペアンプの選択を間違ったのかもしれません。
比較的ユニティゲイン周波数が大きいので選んだ2747Vを使っています。以前の記事で作ったときは072Dを使っていました。
オペアンプの特性比較(オフセット電圧、バイアス電流、スルーレート他)」を確認すると072Dはユニティゲイン周波数は2747Vの半分の5MHzしかないのですが、スルーレートは2747Vの6倍ちかく(20V/μs)あります。オペアンプを使った整流回路はダイオードの非直線性が原因でゼロクロスのとき急激にオペアンプの出力電圧が上昇/下降しますのでスルーレートの差が影響しているのかもしれません。ここは今後の課題になります。

測定方法
10010m00c

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関連
  「記事一覧(測定、電子工作、天文計算
  「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ(技術要素一覧)
  「PIC+SPI+I2C 自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計のソース - main()

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