VM39S5G(VCTCXO)の外部制御電圧と発振周波数の関係 - 超高精度・温度補償型水晶発振器
前記事でVM39S5Gの電源電圧に対する発振周波数の変化を調べ40[Hz/V]であることがわかりました。今回は外部制御電圧と発振周波数の関係を実測してみました。
なお外部制御電圧で周波数が変えられるということは(PLLの)VCOとして使えることを意味しています。実際に使用した例が
「超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた」
「VCTCXO/VM39S5G+GPS/TIMEPULSE+PLLで0.01Hzの周波数偏差をめざす」
「GPS受信モジュールNEO-6MのTIMEPULSE出力の周波数安定度」
「標準電波にVCTCXO・VM39S5GをPLLで同期してみた - 長波JJY受信機の製作」
「JJY(標準電波/電波時計)に同期したTCXO(VM39S5G)の周波数安定度」
にあります。
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VM39S5Gには外部から電圧を与えて周波数を微調整するための端子があります。データシートには
Electrical Frequency Tuning: ±6~±12ppm for +2.5V±2.0V
と書いてあります。これだけ読むと外部制御電圧を2.5Vにすると外部制御電圧を与えずに使ったときと発振周波数が同じになるように見えますが、(少なくとも私が入手したものについては)じつはそうではなく周波数が一致するのは1.625Vでした。
外部制御電圧と発振周波数の変化はこのようになっていました。
外部制御電圧が1.445Vのとき発振周波数は 12,800,000,00Hz(+/-0.03Hz)になりましたが、もちろんこれは私が測定に使用した電源電圧(5.009V)や室温(20.2度C)での話で諸条件によって発振周波数が規定値になる外部制御電圧は変わってきます。
注目の電圧の変化に対する周波数の変化ですが80Hz/Vになっています。つまり外部制御電圧が12.5mV上昇すると発振周波数は1Hz高くなります。
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電源電圧の影響は40Hz/Vでした。もし電源電圧から外部制御電圧を作っていると(外部制御電圧が電源電圧の3割程度であることから)トータルで65Hz/Vの変化率ということになります。
データシートには
Slope: Polarity Positive
Increase control voltage increases output frequency.
Negative slope is also available
とあります。もし変化率が-130Hz/Vであれば電源電圧に対する変化率と打ち消し合って発振周波数が電源電圧にほとんど影響を受けなくなりそうなものですがそうそううまくいかないものなんでしょうか (^^;;
そろそろ温度変化に対する発振周波数の変化の調査に入るわけですが、その前に電源電圧ができるだけ定電圧になるようにしておきたいと思います。
(「VM39S5G(VCTCXO)を使ってみた - 2 - 電源電圧と出力レベル」
「VM39S5G(VCTCXO) - 温度補償型水晶発振器の温度係数を測る」へ続く)
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この実験を行っている“装置”については
「PIC+SPI+I2C 技術要素一覧表(自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ)」
にあります。
そのほかの関連記事(とそのリスト)
「「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」を使ってみる - 1」
「発振周波数の電源電圧による変化 - 「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」」
「VM39S5G(VCTCXO)の外部制御電圧と発振周波数の関係 - 超高精度・温度補償型水晶発振器」 (この記事)
「VM39S5G(VCTCXO)を使ってみた - 2 - 電源電圧」
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