VM39S5G(VCTCXO)を使ってみた - 2 - 電源電圧と出力レベル
VM39S5Gがどんなものだかだんだんわかってきたのでそろそろ本格的なテスト....周波数安定度とか温度と発振周波数の関係.....を行いたいと思います。
これから使われる方にも参考になるかもしれないのでこんな感じでやってますというのを書きます。
温度係数については記事にしました。
「VM39S5G(VCTCXO) - 温度補償型水晶発振器の温度係数を測る」
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まず注意したいのはVM39S5Gの電源電圧の変化の影響です。
「発振周波数の電源電圧による変化 - 「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」」に書いたように電源電圧が0.1V変化すると発振周波数は4Hz変化します。
0.3Vで12Hz、1ppmになります。秋月の製品紹介には
周波数確度は1ppm以内に調整されています(工場出荷時)。
とあります。やっぱりこんなことで数Hzでも動いてしまえば問題でしょう。実際私も2.1ppmも違っていたと騒いだわけですから。
周波数の微調整を行うための“外部制御電圧”は「VM39S5G(VCTCXO)の外部制御電圧と発振周波数の関係 - 超高精度・温度補償型水晶発振器」に書いたように0.1Vで8Hz変化します。もし外部制御電圧を電源を分圧して作っていると電源電圧による変動とあわせて0.1Vで6Hz~7Hzくらい動いてしまうことになります。
私の場合はニッケル水素4本で動作させているため電源を安定させるためにはドロップアウトの小さいレギュレータが必要になります。秋月で扱っている製品だとTA48M05F(三端子正出力ロードロップアウトレギュレータ)あたりが使えるかもしれません。3.3V出力のA48M033Fは実際に使っていて気温が15度変化しても電圧は0.003Vしか変化しませんでしたので安心して使えそうです。
VM39S5Gの消費電流はとても小さいので基準電圧源を使うという手もありそうです。そのくらいやる意味は十分にあります。
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と言ってもどれも手元にないのでこんな方法で解決することにしました。
上に書いたように3.3Vの電圧はじゅうぶん信頼できるのでこれを基準にしたシャントレギュレータを作りました。まだ実測していないのですが消費電流は1.5mAとなっていますのでこれでドロップアウトは0.15Vにできるはずです。
R2の100Ωをもっと小さくすればドロップアウトをもっと小さくできますが、電源電圧が高くなったときそれなりの電流がオペアンプにシンクされますので注意が必要です。
そもそもこの方式の場合はどのくらい電流をシンクできるかはきちんと調べてからやった方がいいです。
5VのLDOレギュレータTA4805Sが引き出しの中に落ちていたので使ってみました。負荷電流2mA弱だとドロップアウトは0.19Vでした。出力電圧が好都合なことに4.95Vと若干低めで5.15Vの入力電圧があれば問題ないことになります。ニッケル水素4個の電圧は5.5V~5.6Vあり上のような工夫しなくてもこれで問題なく行けそうです。出力電圧の温度係数が気になりますが、これは3.3Vの実績から考えるとそんなに心配しなくいいような気がします。もちろんちゃんと調べてから使いますが。
それから信号出力が比較的小さいので用途の合わせて増幅する必要が出てくると思います。右側が手軽な(部品数が少ない)増幅方法だと思います。ここはググればいろいろ見つかると思うのでそういうのを参考にしてください。
上の回路でもR4を1k、R5を100kにするとフルスイングに近い出力がとれるようです。実用的にはこれで問題ないかも。
なお2SC1815はfT=80MHzとなっていますが、この回路定数だとコレクタ電流は2.5mA流れますのでデータシートから言うとfTは200MHz超に上昇しているはずです。10MHz、20MHzくらいはぜんぜん問題ないでしょう。
参考までに書いておくとコレクタ電流50mAだとfTは500MHzを超えるそうです (^^;;
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軽く2時間ほど動かしてみました。
電源電圧、外部制御電圧の変化
まあまあ安定しています。細かい変動があるので周波数変調がかかっているかも (^^;;
(細かい変動には電源電圧を測っているADコンバータ側の問題も含まれていると思います)
気温と発振周波数偏差の変化
発振周波数が気温とリンクしているように見えないこともないです。
電圧が大きく変動しているところでも一見周波数は安定しているように見えますがもちろんそんなことはないです。そういうときの周波数はこのグラフのはるか上(あるいははるか下)にあるので見えないだけです。電圧計と結ぶリードをはずしたので測定電圧がむちゃくちゃな値を表示しているというところもあります。最初の30分くらいのデータはあんまり意味がないです。
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この実験を行っている“装置”については
「PIC+SPI+I2C 技術要素一覧表(自記温湿度計+気圧計+8ch電圧計+周波数カウンタ)」
にあります。
そのほかの関連記事(とそのリスト)
「「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」を使ってみる - 1」
「発振周波数の電源電圧による変化 - 「超高精度・温度補償型水晶発振器VCTCXO・VM39S5G」」
「VM39S5G(VCTCXO)の外部制御電圧と発振周波数の関係 - 超高精度・温度補償型水晶発振器」
「VM39S5G(VCTCXO)を使ってみた - 2 - 電源電圧と出力レベル」
「VM39S5G(VCTCXO) - 温度補償型水晶発振器の温度係数を測る」
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