白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 2
流す電流を変えたときの白金測温抵抗体(秋月で買った白金薄膜抵抗)の温度変化を見ると電流が増えると温度が上がっているようです。そこでもっと詳しく調べてみます。
===
「白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 1」のデータをもとにして温度変化のグラフに最小二乗法(に準じた方法)で作成した直線を書き込んでみます(温度変化が直線的なところだけ抜き出してやってます)
空気中(左側)でも水中(右側)でも電流が増えると温度が上がっているようです。
---------
まず空気中の変化の方を見てみます。
電流が大きい方が0.03℃ほど高めの温度になっています。電流は倍になっていますから発熱量は4倍です。となると電流が小さいのと大きいのの差は三倍分ですから電流が流れていないと考えたときの温度は電流が小さいときの温度より0.01℃低いということになります。
もっともこの方法の分解能はそれよりずっと大きいわけですから“自己発熱は無視してかまわない”ことになります。
ところでグラフを見ると電流が1mAのときより2mAのときの方が分解能が高いです。あたりまえの話ですがこういうのを見ているうちに測定電流を2mAにしてしまおうかという誘惑にかられます。
--------
次に水中の様子を見てみます。
これも同じ0.03℃です。となると分析結果は上と同じになるわけですが、これは明らかにおかしいです。空中と水中では熱抵抗がぜんぜん違います。自己発熱による温度上昇が同じになるとは思えません(「(水中の)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」)
これはおそらく端子電圧を測ったときの操作に問題があったのではないかと思います。
試しに小さい方の電流1.08538mAを1.08530mAとしてグラフを作りなおしてみます。
空気中の方も水中の方もグラフがだいたいつながりました。こっちの方が正解のようにも見えます。
これだけですぐに結論を出せるわけでもないのですが、このアルミ管に入れた白金薄膜抵抗については少なくとも“自己発熱は無視して構わない”という結論は出してもよさそうです。
---------
関連
「記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」
趣味の実験
趣味の気象観測
趣味の電子工作
PIC
「正確な温度を求めて (1)」
「氷点 - 摂氏0度の作り方」
「サーミスタや白金抵抗温度計の自己発熱の影響を補正する方法」
「(趣味の)白金抵抗温度計の製作 - 準備編」
「16bitADコンバータMCP3425とPICで作る白金抵抗温度計 - 1」
「(趣味の)白金薄膜抵抗温度計の作り方 - 誤差について」
「自己発熱を測定してわかる白金測温抵抗体の扱いにくさ」
「白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 1」
「サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」
「(アルミ管入り)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」
「(水中の)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」
「温度センサー3種の精度比較(摂氏0度~40度編)」
参考
「白金抵抗温度計の校正とその使い方 - JCSS:計量法認定」
「JEMIC 計測サークルニュースVol.26, No.2 ~ 4 連載(1997) - 浜田登喜夫 - 白金抵抗温度計の校正とその使い方」
« 白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 1 | トップページ | 定電流回路(VIコンバータ)の安定性を調べてみた »
「趣味の実験」カテゴリの記事
- 100Ω抵抗器の端子間で発生した火花放電(沿面放電)(2018.07.18)
- Amazonで買った「400000V高電圧発生モジュール」の出力極性(2018.07.15)
- 高電圧モジュールの放電開始電圧 - 針状電極間の放電(2018.07.11)
- 高電圧モジュールの放電開始電圧 - 円筒電極と針状電極(2018.07.09)
- 放電開始電圧をパッシェンの法則から知る(2018.07.07)
この記事へのコメントは終了しました。
« 白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 1 | トップページ | 定電流回路(VIコンバータ)の安定性を調べてみた »
コメント