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2015年4月27日 (月)

白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 2

流す電流を変えたときの白金測温抵抗体(秋月で買った白金薄膜抵抗)の温度変化を見ると電流が増えると温度が上がっているようです。そこでもっと詳しく調べてみます。

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白金測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)を測ってみた - 1」のデータをもとにして温度変化のグラフに最小二乗法(に準じた方法)で作成した直線を書き込んでみます(温度変化が直線的なところだけ抜き出してやってます)
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空気中(左側)でも水中(右側)でも電流が増えると温度が上がっているようです。

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まず空気中の変化の方を見てみます。
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電流が大きい方が0.03℃ほど高めの温度になっています。電流は倍になっていますから発熱量は4倍です。となると電流が小さいのと大きいのの差は三倍分ですから電流が流れていないと考えたときの温度は電流が小さいときの温度より0.01℃低いということになります。

もっともこの方法の分解能はそれよりずっと大きいわけですから“自己発熱は無視してかまわない”ことになります。

ところでグラフを見ると電流が1mAのときより2mAのときの方が分解能が高いです。あたりまえの話ですがこういうのを見ているうちに測定電流を2mAにしてしまおうかという誘惑にかられます。

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次に水中の様子を見てみます。
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これも同じ0.03℃です。となると分析結果は上と同じになるわけですが、これは明らかにおかしいです。空中と水中では熱抵抗がぜんぜん違います。自己発熱による温度上昇が同じになるとは思えません(「(水中の)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」)

これはおそらく端子電圧を測ったときの操作に問題があったのではないかと思います。

試しに小さい方の電流1.08538mAを1.08530mAとしてグラフを作りなおしてみます。
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空気中の方も水中の方もグラフがだいたいつながりました。こっちの方が正解のようにも見えます。

これだけですぐに結論を出せるわけでもないのですが、このアルミ管に入れた白金薄膜抵抗については少なくとも“自己発熱は無視して構わない”という結論は出してもよさそうです。

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  参考
    「白金抵抗温度計の校正とその使い方 - JCSS:計量法認定
    「JEMIC 計測サークルニュースVol.26, No.2 ~ 4 連載(1997) - 浜田登喜夫 - 白金抵抗温度計の校正とその使い方

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