コンデンサ - ESR(誘電正接、tanδ、DF)とキャパシタンス(静電容量)の測定 - まとめ
最近コンデンサのESRやキャパシタンスを測ることをテーマに記事を書きすぎて自分でもよくわからなくなってきたのでまとめてみます。
「インダクタンスの測り方・まとめ」とも共通するところがあり、また「記事一覧(測定、電子工作、天文計算)」の一部ということになりますのでそういうのも参考になるかもしれません。
======
標準 | 静電容量 (キャパシタンス) |
電圧や抵抗のように何かの物理現象から絶対的な値を決めるということではなく、特定の周波数でのリアクタンスを抵抗と比較するということで決めるようです。 |
定義 | 静電容量 (キャパシタンス) |
“あるもの”に印加された電圧が v で、そのとき流れる電流が i であるとき |
ESR | コンデンサに交流を印加したときコンデンサの内部で消費される(=熱となって失われる電気)エネルギー(理想的なコンデンサであれば電気エネルギーは失われません)が抵抗で消費されたと仮定したときの抵抗値です。ESRは誘電損失に起因するものが主体であってESRに相当する抵抗がコンデンサ内部に実在するという意味ではないことに注意します(だからESRは周波数によって変化します) もっともESRという言葉がコンデンサ内部に実在する抵抗(リード線抵抗など)という意味で使われている場合もあるようです。 「誤解している人が多そうなコンデンサの“ESR”の意味」 参考 「太陽誘電株式会社 - コンデンサ・インダクタ・EMCの基礎知識」 「株式会社村田製作所 - コンデンサのインピーダンスESRの周波数特性とは?」 「ルビコン株式会社 - アルミニウム電解コンデンサの性能」 | |
温度係数 | データシート上の温度係数は室温(例えば25℃)のときの容量 C25 とカテゴリー上限温度(例えば125℃)のときの容量 C125 から ( C125 - C25 ) / ( 125 - 25 ) で算出したものです。 ただこのブログではある温度(例えば25℃)における温度に対する容量(あるいはESR)の変化率つまり dC/dT を温度係数と記したケースが多いです。 参考 「村田製作所 - 静電容量の温度特性」 「TDK - エレクトロニクス入門 - フィルムコンデンサ②」 | |
自己共振周波数 | コンデンサは高い周波数では誘導性リアクタンスとしてふるまいます。容量性から誘導性に変化する周波数が自己共振周波数ということになります。 実際に測るのはけっこうむずかしそうな気がします。 | |
測定方法 | LCRメータ方式 | 自動平衡ブリッジとベクトル電圧計を使う方法でもっとも精度が期待できる方法です。 詳細はこの表の最後の「測定装置製作」にあります。 参考 「日本電気計測器工業会 - 技術解説・デジタルLCRメータ」 |
LC直列回路 共振周波数 |
高調波やESRの影響をほとんど受けないので簡単な割に精度はいいと思います。 測定方法に注意すればESRの測定も可能です。 既知のインダクタンスのコイルがあることが前提です。 「直列共振回路と並列共振回路の共振周波数を測る」 | |
LC並列回路 共振周波数 |
やり方は直列共振周波数を測定する方法と同じです。ESRの影響に注意が必要です。 既知のインダクタンスのコイルがあることが前提です。 「直列共振回路と並列共振回路の共振周波数を測る」 | |
LC発振回路 発振周波数 |
既知のインダクタンスと周波数カウンタがあればキャパシタンスを測定できます。 発振周波数はESRの影響を受ける可能性があるので注意が必要です。 | |
CR回路+ ベクトル電圧計 |
原理的にはLCRメータ方式と同じですが精度的にはちょっと不利でしょう。 インダクタンスの測定の例ですが 「インダクタ(コイル)の複素インピーダンスを測ってみた」 | |
CR回路+ 交流電圧計 |
ESRや高調波の影響を受けやすいのであんまりいい方法ではなさそうです。 複数の周波数の測定でキャパシタンスとESRを求めることができます。 原理はインダクタンス測定の例ですが 「インダクタンスの測り方 (2)」 | |
交流ブリッジ | インダクタンスが正確にわかっているコイルが必要でまた高調波の影響を受けやすいのでキャパシタンスの測定方法としてはちょっとめんどうかもしれません。 「続・インダクタンスの測り方 - 5 - 交流ブリッジ」の方法です。 | |
RC発振回路 発振周波数 |
「インダクタンスのとっても簡単な測り方」に書いたのと同じやり方をRCで行います。 だいたいのキャパシタンスを手軽に知りたいというときは便利な方法です。 きちんと考えてやればけっこうな精度がえられると思います。 | |
一定電流を流し端子電圧を測る | 「インダクタンスの測り方」に書いたのと同じようなやり方です。 電気二重層コンデンサ、大容量電解コンデンサの容量測定だったらこれでしょう。 | |
測定結果 | 測定方法の評価 | 「コンデンサのキャパシタンスとESR測定の現状と課題 - LCRメータ方式」 |
キャパシタンスとESR | 「改訂版・PPS/PP/PETフィルムコンデンサの容量とESRを測ってみた」 | |
温度係数 (キャパシタンス) |
「メタライズドポリエステルフィルムコンデンサの温度係数を測ってみた」 「フイルムコンデンサ・静電容量の温度特性 - PPS(ポリフェニレンスルフィド)とPET(ポリエステル)」 | |
周波数特性 (ESR) |
「コンデンサのESRの周波数特性を測ってみた - PET(ポリエステルフィルム)編」 | |
今になって考えると測定結果に問題があるか内容の再検討が必要と思われる記事 | 上にある記事もいつまにかこちらに移動している可能性があります。 「PICで作るキャパシタンス/ESRメータの測定法と(予想される)精度」 (ESRがかなり大きめに測定されてしまったようです) 「コンデンサのESRと静電容量を比べてみた - PPS、PET、PP、セラミック」 「コンデンサーの容量とESR・誘電正接(tan δ)を測ってみた」 | |
測定装置製作 | LCRメータ | 「LCRメータの仕組みと作り方」 |
« 暫定版・アルミ電解とタンタルコンデンサのESRを測ってみた | トップページ | 暫定版・コンデンサのESRの周波数特性を測ってみた - PET(ポリエステルフィルム)編 »
「趣味の実験」カテゴリの記事
- 100Ω抵抗器の端子間で発生した火花放電(沿面放電)(2018.07.18)
- Amazonで買った「400000V高電圧発生モジュール」の出力極性(2018.07.15)
- 高電圧モジュールの放電開始電圧 - 針状電極間の放電(2018.07.11)
- 高電圧モジュールの放電開始電圧 - 円筒電極と針状電極(2018.07.09)
- 放電開始電圧をパッシェンの法則から知る(2018.07.07)
この記事へのコメントは終了しました。
« 暫定版・アルミ電解とタンタルコンデンサのESRを測ってみた | トップページ | 暫定版・コンデンサのESRの周波数特性を測ってみた - PET(ポリエステルフィルム)編 »
コメント