アナログ乗算器の直線性をチェックしたらDMMもちょっとへんかも
LCRメータのベクトル電圧計には四象限アナログ乗算器EL4083を使っています。
LCRメータの精度を上げるべく努力しているわけですが、EL4083に直線性に問題があれば回路的なところをいくら改良しても無意味です。
そこでEL4083の直線性を調べてみました。
やり方は正弦波発生器を用意し、アナログ乗算器のX入力にはそのまま、Y入力にはアッテネータを通したものを入力します。
こうするとアナログ乗算器の(直流)出力電圧はY入力に比例します。Y入力をDMMのACレンジで測定したものと比較した結果です。
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DMMは低い電圧を正確に測るため0.5V近辺より下は600mVあるいは60mVレンジで測りました。それ以上6Vレンジです。
DMMの電圧に対するベクトル電圧計の測定値、ベクトル電圧計とDMMの測定値の差をグラフにしました。
DMMの測定値とベクトル電圧計の読みはほとんど線形に見えますが細かな違いはあります。
結論だけ書いておきます。
1. アナログ乗算器のオフセット調整が完全にできておらず0.5mVのオフセットが残っていました。
2. 0.5V以下の直線性には問題がなさそうです(DMMとベクトル電圧計が同一の非直線性をもつとは考えにくいので)
3. 0.5V以上ではベクトル電圧計の測定値が低めに出ています。
(これはアナログ乗算器の電源電圧が低く飽和しているのかもしれません)
(今回のケースでは出力が1Vというのは直流1Vに2.8Vppの交流が重畳されています)
そして
4. DMMは600mVレンジと9Vレンジでは0.5V前後の電圧を測定したとき5mVほど測定値が違います。
使用したDMMは1 kHz ~ 3 kHzでは
600mVレンジの確度 ± (2.0 % rdg + 3 dgt)
9Vレンジの確度 ± (3.0 % rdg + 4 dgt)
なのでDMMに問題があるというわけではありません。
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