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2015年4月16日 (木)

続・コンデンサのキャパシタンスとESR測定の現状と課題 - LCRメータ方式

前回入力にリアクタンス分があるモデルで考えるとなんとなくそれらしい結果が得られるようになったと書きました。しばらこれでやっていたのですが測定に慣れてだんだん精度(分解能や再現性)が上がってくるに連れてこのモデルには問題があることがわかってきました。

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コンデンサのキャパシタンスとESR測定の現状と課題 - LCRメータ方式」ある簡単なモデルで測定対象のインピーダンスを算出したときのいちばんはっきりした問題はいろんな値の抵抗のインピーダンスを測定したときに見られます。

1kΩでは(そうなるように調整したわけですから)リアクタンス分は見られないのですが他の抵抗値ではやっぱりリアクタンス分が現れます。
Res_rflin

わずか数Ωの変化でこれだけはっきりした傾向が捉えられるということは回路の安定性が増し測定の腕があがったものと思われます (^^;;

これをもとにこんなモデルを想定します。
Eqzfzin

抵抗を測定したときリアクタンス分がなくなるようなZfとZinの値を求めます。
それぞれに実数部と虚数部がありますから未知数は四個あります。測定結果は9個ありますので問題なくZfとZinを決定できるはずです。

求まったZfとZinを使ってリアクタンス分を算出してみました。
Res_zfzin

測定したすべての抵抗値でリアクタンス分はほとんどゼロになりました。

算出された抵抗値の方を新旧モデルで比べてみます。
Res_zfzinr

ぜんぜん差がありません、抵抗値はモデルにかかわらず正しく求められているようです、と書きたいところですが、実際はZinの抵抗(実数)分つまり1Ωだけの差があります。

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今度はコンデンサの容量とESRを測ってみます。
Res_zfzinesrcap

キャパシタンスはほとんど差がないのですが、ESRがかなり小さくなっています。
旧モデルの結果が正しくないのは間違いないのですが、どのくらい違っているのか、また新モデルがどのくらい正しい(?)のかははっきりしません。

ESRの測定に関してはときどきまったく違う数値を示すことがあります(上のグラフでも右上にそういうのが一個混じっています)
そういうときでも
相互の大小関係や並列・直列にしたときとの整合性はそんなにおかしくないこともあるので測定方法・測定条件について何か大きな見落としをしているような気もしています。

測定結果の一例を示します。

旧モデル
ESRの
測定値[Ω]
旧モデル
容量の
測定値[nF]
新モデル
ESRの
測定値[Ω]
新モデル
容量の
測定値[nF]
“測定値”と書いていますが“測定値(ベクトル電圧計の読み)から算出した値”という意味です。
PET-R 14.9 98.0 8.4 98.4
PET-Y 14.5 102.8 8.2 103.1
並列 7.6 200.4 3.9 201.7 新モデルも旧モデルも個別の測定値との整合性はまあまあ
直列 31.0 50.3 19.4 50.3 個別の測定値から見ると新モデルのESRはちょっと大きめ

これだけでは判断のしようがないです。
もっと精度のいい測定結果を増やしてからでないと結論はでなさそうです。

====> このあたりが正解に近いようです。
      「
改訂版・PPS/PP/PETフィルムコンデンサの容量とESRを測ってみた

---------

関連

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Photo
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  の記事にある水晶発振器

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