暫定版・コンデンサのESRと静電容量を比べてみた - PPS、PET、PP、セラミック
静電容量、ESR(誘電正接)の測定方法についてはまだ書ききれていないのですが、結果もたまってきたのでそれを書いてみます。
この測定結果は現時点(2015.04.20)で考えるとESRがかなり高めの値になっています。
現在測定方法の改善をたびたび行っており最新の測定結果は
「(コンデンサ - ESR(誘電正接、tanδ、DF)とキャパシタンス(静電容量)の測定 - まとめ」
からリンクされているものにあります。この測定で使ったコンデンサの現時点(2015.04.20)での値であれば「改訂版・PPS/PP/PETフィルムコンデンサの容量とESRを測ってみた」にあります。あくまで“現時点(2015.04.20)”です。
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測定方法は後にしてまず結果から。
0.1μF(100nF)のコンデンサ四種類__メタライズドフィルムコンデンサ三種(PPS=ポリフェニレンサルファイド、PET=ポリエチレンテレフタレート/ポリエステル/マイラー、PP=ポリプロピレン)とセラミックコンデンサ__を対象にしました。手持ちのコンデンサの結果ですから一般的な傾向というわけではないです。
横軸をESR、縦軸を静電容量にして実験結果をプロットしてみました。
セラミック以外は2~3回、セラミックは10回近く測っています。フィルムコンデンサは続けて測る限りだいたい同じ値を示します。セラミックは結果がばらついているというより時間が経つに連れて値が変化していく感じです。
ESRについてはPPS<PP<PET<<セラミックの順番になっています。小さければいいというものでもないですが....
一度の測定回数を10回から30回に増やし四種の測定を二回繰り返してみました。
一回ごとの測定結果は(セラミック)を除けばよく一致しています。PPの1回目、2回目、PPSの2回目は10個前後の結果が一点に集まっています。PPSの1回目もそれなりに固まっていますしPETもばらけているわけではありません。
1回目と2回目の測定結果にちょっと“ズレ”がありますが測定回路の“ドリフト”なのでしょう(ただこのPETは温度が3度上がると容量は0.1nFくらい変化するはずなのでESRもいくらかは変化すると思います。室温は測っていてそんなに変化はないようなのですが完全に同じ状態でテストするのはなかなかむずかしいです)
自動平衡ブリッジで測定するときオペアンプの負荷が純リアクタンスにならないように抵抗を入れてあります。この抵抗を300Ωから100Ωに減らしてやってみました。
キャパシタンスについてはほぼ同じ結果が出ているのですがESRが全体的に増えています。この原因がよくわかりません。
測定条件が変化してコンデンサの特性も変化した、計算方法に何か間違いがある、なども考えられますがよく見るとぜんぶ5Ωほど増えているようです。とすると回路のどこかに考慮していない抵抗分があると考えた方がいいのかもしれません。
そう考えると300Ωのときの実験のときにもそういうものがあると考えられます。ここにはグラフがありませんが確かに1kΩのときはESRはもっと小さめに出ていたように思います。
(確度にはあまり自信がありませんが「キャパシタンスメータを作る - ESR・誘電正接の測定精度」は1kΩのときの結果で、確かにESRはちょっと小さめです)
このあたりの事情をはっきりさせないと実験結果にまだ自信がもてそうにありません。
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測定方法の概要
上のブロックダイアグラムの左下自動平衡ブリッジのところ
今回は1Ωを入れての実験はしていません。
Bが実験の対象になるコンデンサです。記事で300Ω、100Ωと書いているのはAの抵抗のことです。
それからオペアンプの出力電流を大きくするため今はU1にはトランジスタのバッファ(エミッタフォロア)を入れてあります(もちろん帰還ループの中に)
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