PICで作るキャパシタンス/ESRメータの測定法と(予想される)精度
この数日コンデンサのキャパシタンス(静電容量)やESR(等価直列抵抗)を測定した結果をまとめてみました。
今回は0.1μFだけのものですがこれを見る限りこれから作ろうとしているキャパシタンスメータは実用に耐えるだけの精度が確保できそうです。
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0.1μF(100nF)のコンデンサー5種の測定を条件を変えながらやってみました。
5種というのは次のものです
PPS | メタライズドポリフェニレンサルファイドフィルムコンデンサ(SMD) |
PP-R | メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ、色が赤 |
PP-O | メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサ、色がオレンジ |
PET-R | メタライズドポリエチレンテレフタレートフィルムコンデンサ、色が赤 (ポリエステル、マイラー) |
PET-R | メタライズドポリエチレンテレフタレートフィルムコンデンサ、色が黄色 (ポリエステル、マイラー) |
回路的には(二相)正弦波発生器のあとに簡単なローパスフィルターを入れたところがこれまでと違います。これによってこれまでまともな結果が出なかったコンデンサ単体を接続したようなケースでもきちんとした結果が出るようになりました。
原理的に高調波の影響はそれほど出ないはずと思っていたのですが....
測定条件は正弦波発生器と自動平衡ブリッジ(反転増幅器)の接続法で
コンデンサ単体
コンデンサ+100Ωの抵抗
コンデンサ+1kΩの抵抗
の三種類でやってみました。他にもオフセットの調整方法やLPFの定数などいろいろ試みています。
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結果です。それぞれのコンデンサの測定結果を横軸キャパシタンス、縦軸ESRでプロットしてみました。
もちろん測定結果はばらついていますがそれぞれのコンデンサごとにグループになっています。特にPPSとPP-Oはキャパシタンスは1nF弱の違い、ESRはほとんど変わらないのですがちゃんと二つのグループに分かれて見えます。
基準インピーダンスとして抵抗値許容差±0.1%の抵抗を使っていることを考えるとキャパシタンスに関しては±0.2%、ESRに関しては±1Ωの確度は確保できそうです。
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上は100nFの測定結果ですが、もちろんこれより大きいあるいは小さいものも測ってみました。測定できるキャパシタンスの範囲は次のように予想しています。
1μF~ | 直列に抵抗を入れれば測定できるのですが確度がかなり落ちそうです。 規定(?)では120Hzで印加電圧を落として測定するようです。 その方向で検討してみたいと思います。 |
0.1μF~10μF | 直列に抵抗を入れれば測定できます。 抵抗なしだとかなりの電流が流れるので回路の負担が上がりますが測定対象の発熱も問題になりそうです。 |
0.01μF~0.2μF | 現状のままコンデンサ単体で測定が可能です。 十分に電流を供給できない場合は抵抗を直列に入れます。 |
0.001μ~0.1μF | 現在自動平衡ブリッジ(反転増幅器)の帰還抵抗は1kΩです。 これを10kΩに変えればいいと思います。 オフセットの影響がシビアになるので検討が必要です。 |
~0.001μ | 現状では難しそうです。 周波数を上げて行うのがいちばん簡単な対応だと思います。 LCRメータだと1MHzということになりますが、10kHz、100kHz、と順次取り組んでみたいと思います。 |
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