サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた
今回の対象は空気中においた(正しくはブレッドボードに突き刺した)NTCサーミスタ NXFT15XH103FA2Bです。
この条件だとデータシートにある熱拡散係数(メーカーの資料には熱放散係数とありました)とたいして変わりはないはずですが、今後の測定に備えて実験方法に問題がないか確かめるために測ってみました。
納得できる結果が得られたらこの後アルミパイプに封入したサーミスタ、さらにそれを水中に入れたものと続けていく予定です。
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「サーミスタ/測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)の測り方」
(自己加熱の影響の時間的経過を示したグラフがあります)
「(アルミ管入り)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」
「(水中の)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた」
「サーミスタ/測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)の測り方」
「目で見るサーミスタの自己発熱 - 熱放散係数を求める」
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こんな回路を使います。
スイッチS1のON/OFFでサーミスタに流れる電流を変化させ自己発熱量をコントロールします。ツェナーの記号は実際には基準電圧源です。
「サーミスタや白金抵抗温度計の自己発熱の影響を補正する方法」に書いたようにこういうときは電流を√2倍にするというのが“実用向き”なのですが、電流を√2倍する仕組みを作るのがめんどうなので適当にやります。
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電圧の変化です。
スイッチを閉じると電流が増えるのでサーミスタの端子電圧は増えます。
基準電圧からこの電圧を引いて抵抗(R2+R3またはR2のみ)の値で割ると流れている電流がわかります。電流がわかったらサーミスタの端子電圧をその電流で割ればサーミスタの抵抗値が求められます。
ちょっとスイッチの切り替えが早すぎたような気もしますがやり直すのがめんどうなのでそのまま続けます。
抵抗値から温度への変換は
Th_T = 1/(log(R1/Rr) / B + 1/298.15) - 273.15;
を使います。R1が測定したサーミスタの抵抗値、Rrが基準になる抵抗値(25℃での抵抗値)、BはB定数です。RrとBはデータシートにある
Rr = 10kΩ±1%
B = 3380K±1% (25℃~50℃の値)
を使います。
念のために書いておくと上の式は近似式(というのか、二つの温度でだけ正しさが保証される式)でこれでRr、Bの誤差に応じた確度の温度が求まるというわけでもありません。とは言ってもそれなりの確度のある温度が得られますし今はそこが問題ではないのでそのまま使いますが、こういうことに興味がある方は「サーミスタで温度を測る - 温度と抵抗値の相互変換 - B定数について」、「サーミスタによる温度測定の精度 - 2 - B定数の温度特性」などを参考にしていただければと思います。
ちょっとあやしいですが、電流の増減にしたがって温度が0.12度変化していると受け取り先に進みます。
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それぞれの電流での発熱量(消費電力) P = RI^2 を求めます。
I=0.061mAのとき P=0.041[mW]
I=0.119mAのとき P=0.156[mW]
0.115mWに対して0.12℃上昇したわけですから
熱拡散係数 = 0.115/0.12 = 0.95[mW/K]
となります(データシートを見たら 1.5[mW/℃] になっていました)
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得られた熱拡散係数から 156μWに対する温度上昇を求めると
0.16 / 0.95 = 0.16[℃]
で0.2度ということになります。
このとき測定した温度23.9℃が正しいと仮定するとこのときの気温は23.7℃だったということになります。
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