直交するコイルの相互インダクタンスを測ったらやっぱりヘンかも?
昨日中心軸が平行なコイルの相互インダクタンスについて書きました。
そして、その二つのコイルを直列にして測るとインダクタンスは二つのコイルの自己インダクタンスに相互インダクタンスの2倍を増減したものよりちょっと大きくなり、その原因はコアが近づくことによって自己インダクタンス自体大きくなっているのでは、ということも書きました。
L1+L2±2M の式で距離が小さくなるとMが大きくなるだけでなくL1+L2も大きくなっていくという意味です。
今回は同じ二つのコイルを中心軸が直交するような配置にしてインダクタンスを測定してみました。
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話の都合上前回の「相互インダクタンスを測ってみたらヘンなことになった」のグラフ(あとで追加した方のグラフです)を示します。
青い線が電流の流れる向きが同じになるようにして測ったインダクタンスつまり L1+L2+2M です。赤い線は L1+L2-2M です。
L1+L2±2M という式だけ見ていると L1+L2 が一定で相互インダクタンス(の2倍)の分だけ増減するように見えますが、実際に測ってみると L1+L2 もコイル間の距離が小さくなるに連れて増加していきます。
L1(L2)がL2(L1)の近くにあるとL2(L1)のコアの影響でL1(L2)の自己インダクタンスが増えるから
というのが昨日の結論というか推理です。
じゃあコイルの中心軸が直交していたらどうなるんだろうというのを調べてみました。
測定条件も前回と同一で測定周波数は1220.7Hz、印加電圧は約1.1Vrmsです。
軸が平行だと再接近時には2.5mHの相互インダクタンスがあったのですが、直交していると同じ距離でも0.5mHしかありません(あれ、直行していても0.5mHもあるんだ、という気持ちもありますが)
一方近づけると自己インダクタンスも増えるという現象はこちらにも見られます。その結果 L1+L2-2M の方は平行なときと距離が近づくほど相互インダクタンスの影響でインダクタンスが小さくなるのとは違って距離が近づくほどインダクタンスが大きくなるという“逆転現象”みたいなのが起きています。
ただ距離が小さくなったときの自己インダクタンスの増え方は軸を平行にしたときほどではありません。
上に書いた“推理”が正しいのか間違っているのかあいかわらずわかりません。
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測定方法は軸の向きが違うこと以外は「相互インダクタンスを測ってみたらヘンなことになった」に書いたものと同じです。“測定機材”についてはこのあとにあるリンクにあります(パーツごとに散らばっています。すみません)
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