熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換 (250℃~1300℃編)
四つに場合分けされますが-200℃から1300℃で使える近似式とそれをExcelシートにしたものを用意しました。
「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」
250℃以上を一つの式で済ませたいということであればこの記事にある近似式の方が便利かもしれません。
またこの記事はK型(クロメル・アルメル)熱電対に対するものです。T型(銅・コンスタンタン)用の近似式は
「T型熱電対の規準起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」
にあります。
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以前-20℃から120℃で使える(Type Kの)熱起電力と温度の相互変換の式を記事にしたのですがその後ほったらかしだったので今回は高温で使える式を考えてみました。
-20℃以下はまた別に記事にします。120℃と250℃の間が歯抜けになってますが新規に式を作るか両側のどちらかに統合するかはこれから考えます。
「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」 (-20℃~120℃編)
この記事には起電力の実測値と規準起電力/近似式を比較した結果があります。
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熱電対の温度と熱起電力の関係はJISで定義(?)されているようです。(JISのサイトはあんまり好きじゃないのでたぶん同じものだと思われる)理科年表の値を使って以下話を進めます。
ここで書くのは入手しやすいタイプK(クロメル-アルメル)の話です。
(タイプT=銅コンスタンタンの熱電対素線を秋葉原で探したのですが見つけられませんでした。たぶんふだん私が行くような種類のお店には売ってないものと思われます)
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熱電対の起電力は冷接点を0℃とした場合だいたい熱接点の温度に比例します。完全に比例するのではなくだいたい比例するから近似式が必要になるわけですが、単純な比例関係にあるとしたらどうなるか見てみます。
1000℃での規準起電力は41.269mVとなっています。そこで温度係数を41.269μV/Kと考えます。
余談ですがこの“1000℃”というのはT68らしいです。T90とどのくらい違うのか気になるのですが、それは1996年以前の理科年表に書いてあるそうです。
温度係数一定として計算した起電力と規準起電力の差はこのようになります。
とうぜん0℃と1000℃は一致しています。200℃以上を見るとなんとなく三次曲線に見えなくもないので(200℃以上のデータだけで)三次曲線をあてはめてみます。いつもと同じでExcelのソルバーを利用します。
200℃以上のデータを使っているのですが、近似式との差はそれ以下の温度についても計算してみました。
起電力の差ではわかりずらいと思うので温度の差に直したグラフも作ってみました。
250℃以上であればまあまあ使えるのではないでしょうか。
ところで式を書く前に書いておきたいことがあります。上の結果を見てもう少しよく一致する式は作れないのかと思う方がいらっしゃるかもしれませんがそういうのを作ってもあんまり意味がないと思います。例えば上のグラフの中ではよく一致していない400℃を例にとります。
この温度では熱電対の許容誤差はClass1で±1.6℃、Class2で±3.0℃です。冷接点の温度を測る温度計の許容誤差が±1℃だとすると近似式を使わなくても発生する誤差はClass1でも±1.9℃、Class2だと±3.2℃あるということになります。つまり近似式が1℃くらい違っているのを心配するなら他にすべきことがあると思います(「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」のグラフ参照)
と書きつつ「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」では温度±0.05℃、起電力±1μVまで追い込みましたが.... (^^;;
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近似式(250℃~1300℃)
温度T[℃]から起電力E[mV]を求める
E = -0.003949*(T/100)^3 + 0.05783*(T/100)^2+3.9449*(T/100)
起電力E[mV]から温度T[℃]を求める
T = 0.0016405*E^3 - 0.10077*E^2 + 25.5881*E
実際に温度を測定するときは
1. 冷接点の温度を測り冷接点の起電力を求めます。
(冷接点はふつう室温だと思うので
「熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」
にある式を使います)
2. 測定した熱電対の起電力(電圧)に1.をプラスします。
3. 上にある起電力から温度を求める式に2.で求めた電圧を代入して温度を求めます。
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