体温計と魔法瓶で校正する白金測温抵抗体 - 36.5度編
やっPICと白金薄膜抵抗で作った温度計の36.5℃での校正が終わりました。
せっかくだからどんな風にして校正しているかも書いておきます。
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体温計と測温抵抗体の取り付け方から
Aが前記事「PICで作ったPt100(白金測温抵抗体)温度計の校正状況 - 42℃編」に書いたオムロンヘルスケアの体温計MC-171L MC-172Lです(MC-171C MC-170とかMC-171Wではないので念のため)
分解能0.01℃、許容誤差±0.05℃(35℃~38℃)はお値段を考えると奇跡の高精度と言ってもいいくらいだと思います。
Bのシース(アルミ管)に白金薄膜抵抗を収めエポキシ系接着剤、バスボンドQなどを組み合わせて防水処理してあります。水面からの位置を体温計の感温部とあわせできるだけ熱的に結合します。
シースには熱抵抗を低くするためにふつうは酸化マグネシウムなどを充填するようですが、ないのでアルミの針金とかシリコングリスとか試行錯誤中です。充填のしやすさを考えるとオイルの方がいいのかも。
Cが白金薄膜抵抗に電流を流すための配線と電圧降下を測定するための配線をまとめたものです。この写真にあるようにいったん下側に引き出し折り返して引き出します。上側に直接引き出すと配線を通して流れる熱で正確な温度が測れなくなることがあるので注意が必要です。
熱電対でもTタイプだと同じような配慮が必要なようです。どんなに細い線材であっても銅の熱抵抗の低さを侮ると痛い目にあいます。
Dは発泡スチロールで作った魔法瓶の蓋です。Eのところに丸く溝みたいなのができていますがこうやって魔法瓶の縁を押し込んで使います。
魔法瓶は外側を触っても氷水が入っているのかお湯が入っているのかわからないぐらい断熱がいいですがフチの部分は氷水が入っているとすぐに結露してしまうのでおそらくここが魔法瓶の最大の弱点だと思います。
もっと下の部分(写真だと発泡スチロールの上の部分)まで断熱材で覆ったほうがいいかもしれませんが上のやり方でも気温との差が10℃くらいだったら中のお湯の温度は1分間に0.01度くらいしか下がりません。
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肝心の測定結果です。
36.5℃で+0.07℃の差があります。体温計の許容誤差が0.05℃なので若干高めに測定してしまっているようです。
白金測温抵抗体の温度係数は3851ppm/K@0℃で、私の使っているクラスBだと3851±12ppm/K@0℃です。
36.5℃での0.07℃の差はだいたい7ppm/Kに相当するので0.07℃の差を補正しても白金測温抵抗体のスペックとの矛盾もありません。何か基準を決めておかないとだんだんぐじゃくじゃになって行くので今回は体温計を正としてこれにあわせて較正したいと思います。
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関連
「Pt100(白金測温抵抗体)の校正状況 - 氷点=0.0℃編」
「PICで作ったPt100(白金測温抵抗体)温度計の校正状況 - 42℃編」
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参考
「白金抵抗温度計の校正とその使い方 - JCSS:計量法認定」
「JEMIC 計測サークルニュースVol.26, No.2 ~ 4 連載(1997) - 浜田登喜夫 - 白金抵抗温度計の校正とその使い方」
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こんにちは。
そんなにいい精度ならひとつ欲しいと思ったのですがMC-171Lは残念ながら見つかりません。
以前サーミスタ温度計を作ったときに、腋の下に体温計と一緒に挟みこんで測定したことがあります^^;;
腋の下は恒温槽だ、とこちらに書いてありましたので。
http://www.soaring.co.jp/rwstuff/041121.htm
投稿: edy | 2015年5月10日 (日) 10時34分
あ~、すみません。型番間違ってました。記事は訂正しておきましたがMC-172Lが正しいです。
指でつまんでいるだけでも時間が経つと体温とそれほど変わらない温度になりますので脇の下なら完璧でしょうね (^^)
今度試して記事にしようかなあ.... (^^;;
投稿: セッピーナ | 2015年5月10日 (日) 12時31分