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2015年5月 2日 (土)

熱電対による温度測定の課題 - K型+インスツルメンテーション(計装)アンプ編

熱電対の起電力の近似式 - 起電力と温度の相互変換」などという記事を書いておいて、こんなことは書きにくいのですが、(理科年表などにある)熱起電力の表を鵜呑みにして起電力から温度を求めればいいと考えるのはどうも間違っているような気がしてきました。

趣味で使うのに入手できるくらいの価格の熱電対温度計の確度というのは意外とたいしたことがないのが多いです。あれは補償式基準接点の補償のための温度計の精度があんまりよくないからだろうと考えていたのですが、メーカーの資料などを読むと個々の熱電対が起電力の表と同じ起電力を持つと期待してはいけないもののようです。つまり基準接点の温度を正確な温度計で測ったとしてもたいして精度は上がらないということです。

そこでまず手元にあるK型熱電対の熱起電力を自分でちゃんと測ってみることにしました。でも測る前に問題が続出しています。

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その後も動作が安定させられずけっきょくOP07系で済ませてしまいました (^^;;
  「
PICとMCP3425で作るK熱電対温度計 - OPA277PAでプリアンプを作る

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使っている熱電対はK型(クロメル=アルメル)でいつもと同じように秋月で入手したものです。
冷接点(基準接点)はガラス瓶に入れてあり温接点も防水してあります。冷接点を0℃としたときなど液体中での測定をやりたかったからです。
Imgp93711000_3


冷接点(基準接点)のコネクターは分解して熱電対素線を直接リード線と接続すればスペースをとらなくていいのですが、いろいろ考えて今回はやめました。

冷接点はやっぱり作りなおしました。
  「
熱電対素線(タイプK、クロメル=アルメル)をハンダ付けしてみた

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測定はタイトルにあるようにインスツルメンテーションアンプを使いました。オペアンプで済ます、オペアンプ三個使って自分で作るという方法もあるのですが費用、手間、そして特性まで考えると何かのときに備えて買ってあったLT1167を使うのがよさそうです。

ちなみにLT1167のデータシートにLT1167とオペアンプで作ったインスツルメンテーションアンプの性能比較があります。

LT1167のピン配列はOP07系のオペアンプに似ています。
Lt1167

2,3ピンは入力ピンでここを熱電対に接続しVin-は抵抗を介してグランドに落としておきます(データシートにあるこの抵抗の抵抗値は10kΩでした)

OP07だったら1,8ピンはオフセット調整に使うわけですが、LT1167はここに増幅率設定用の抵抗を接続します。今は1kΩにしており増幅率は 49.4kΩ/ 1kΩ + 1 で約50倍です。

MCP3425の分解能は最小8μVでK型熱電対の起電力が約40μV/Kですので0.004℃の分解能ということになりますが実際には0.01℃の分解能が確保できれば上出来だと思います。

OP07ではNCとなっている5ピンはLT1167ではVref(参照電圧)になっておりふつうグランドに落として使います。ここでオフセット調整もできるのですが、それをやるとオフセット調整用の電圧の温度特性とか安定性とか考えなければならなくなるので今回はオフセット電圧を測定して測定値を補正する方法をとることにしました。

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さてここからが本題で今どういう問題に直面しているかを書きます。

電源

スイッチング電源を使ったのですがノイズの影響が大きすぎます。いろいろやってノイズを抑えたのですが電磁波としてやってくる分もあるようで今のところ完全に抑えきれていません。「オペアンプを単電源で使う方法 - 5 (RS232CインターフェースICのチャージポンプを使う)」でもダメでした。

ノイズの混入経路は見えてきたので回路構成や実装・配線方法を工夫すれば実用上問題ないくらいにはできそうですが、今はブレッドボードでやっていて配線にも制約があるのでニッケル水素4本を二組用意してやっています。上の分解能は0.01℃くらいというのはニッケル水素でやったときの話です。

   <===  高域のゲインを落としたらどっちも問題なくなったようです。

オフセット

LT1167のデータシートを見ると20μV(Typ.)なので測定対象を考えるとかなり大きいです(実際には10μV前後でした)
ただ温度特性は0.06μV/K(Typ.)、0.3μV/K(Max)と良好ですのでそんなに頻繁にオフセットを測定する必要はなさそうです。

このオフセットに関しては問題だったのはピン2、3の接続点の温度差で発生する熱起電力によるものです。油断すると数十μVはすぐに行きます。温度分布が均一になるような工夫、周囲の温度変化の影響を受けにくくするための対策が必要です。

なおオフセットは、極性を逆にして平均をとる、熱電対を同じ抵抗値(20Ω強)の抵抗に取り替えて電圧を読む、のどちらでもよさそうです。動作が安定していれば同じ結果になります。

原因不明

測定中とつぜんノイズが乗ることがありました。水中にいれてある状態で氷を入れたり撹拌したときに起きやすいようです。いったんセンサーをはずして再接続すると回復するようです。これはどうして起きるのかよくわかりません。

  <===  現象が再現できました。
     装置の位置関係に関係しており発振あるいはそれに近い状態になっていたようです。
     電源対策で高域のゲインを落としましたが、これでだいぶ改善しました。


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冷接点と熱接点を同じ温度にしたら起電力がゼロになるかという基本的なところから検証を始めています。

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参考

岩手大学農学部 岡田益己 - 温度の正しい測り方(3)熱電対の作り方・使い方
    この論文は熱電対を扱う上で参考になると思ういます。


株式会社東京熱学 - 2-3 熱電対の許容差
    次のような記述があります。

JIS C 1602 で規定された熱電対には、それぞれに規準熱起電力が規定されています。この熱起電力に実際の製品の熱起電力をあわせる事は非常に困難なため、ある一定の幅を決めて誤差を許容しています。

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